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詩「波音」
詩「波音」
のどかな公園に鳥が憩い
男は地面に木の枝で
八の字を書いては
何度もなぞっている
まだ陽は高いが
抑えようのない
波音が
男を一気に押し流し
抗おうにも逃れようにも
溺れたままで
太陽ですら治療薬にはならない
こんな日がいつまで続くのか
気づいたときから定まっていたのか
とへとへとになった男だが
休日は長く
果てしなく夜まで遠いと思った
ああ 誰しも
自分の宿命に歩んでいやがる
取り替えられないのは恨みではない
憧れでもない
たとえ必要とされなくても
誤魔化せずに晒される
男の素顔である