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詩「蓮の咲くところ」「A pot」
詩「蓮の咲くところ」
蓮の咲くところで
貴方に話します
生きていることの歓びと
求めることで
産まれる淋しさを
私の誕生は私を忘れ
足がついた世界で
私は作られていきました
水面に風は吹かず
座ればほどなく
言葉が慰めるでしょう
生者の食らう炎を
ときに時に移らせ
ときに祈りに移らせることで
私は歌うのです
これはなほ
生きている私の刻む音です
詩「A pot 」
行方も知れぬ別れ人
一人で壺の底を見ているだろう
擦り剥くことはわかっているのに
まだ いつまでも
歩き続けることは止めないのだ
この古からの呼び声に
人は恩恵を享受するだろう
そして忘れられないのが
夕闇
隠せることのない想いを
すれ違い 伝えられずに
糧にして行くのだろう