詩「人々のうた」
詩「人々のうた」
削られた宝石のかけらが気になる
群れをなし序列を作り
優劣を決め、切磋を競い
ひとりひとりの精神の頼りなさ
機械化・・・・
写真に移せない事物が気になる
群居し食卓を囲い
楽しみを頬張り
ひとりひとりの性向の許容
誰かと接せずにはいられない
時の移ろいとは別の永遠を
時の移ろいに追いやられ
心も体も理不尽なまま
遥か昔の事を学びながら
自分が昔に流れることもまた認める
多分、関わり合っても生きていけるので
死なずには済んでいる
気泡化を怖れるならば
汚点を恐れない
なにも変わりはしない人間の性を歩いて
建造物に目を触れずに活字から充ちて行くのは
奇妙なことだけど当たり前のこととして平然と見なされる
目が覚めたら聞こえるだろう
誰かの言葉、文字、感触・・・
自分も応えるだろう
それだけが命の痕跡なのか
大切なことだから伝えていくのに人生を費やして
愛されていくことも愛されぬことも評価にはならない
現在を生き残って来た現在として未だ立っている
伝えたいことは変わらないことだ