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詩 「一」
詩「一」
小さな私は大きな空に凧が泳いでいて
小さな体に取り込んだ
小さな体は次第に膨らんで
一つの系に沿った
人の意識が傾く限り
いずれかの美しさへの発端は
同じ多相に着地する
小さな私は勘違いをして膨らんだ体を
小さな私が動く体だと思い込んでいた
だけど望んだとしてせいぜい
小さな私の細やかな視線に
誰かが気付くくらいだろう
失った命が小さなものなら
私の命も同じことに
だけど膨らんだ体がどこまでも止めようとしない
育てた命が小さなものでも
淀んだ命も同じことに
破裂する体を夢見てしまう
心地よい悪夢 解体 床ずれ
解らぬままに数字だけ急上昇する
なにが深刻かわかるのに
その解き方がわからない
もどかしさが募る 反発する
次第に静まる 奥底に沈んでいく
晩年、ある人はある人の小さな命の終わりまでを記していく
そこに特別性を印象づけていく
小さな私は記しをも取り込んでしまう
抑圧された自我を拒絶し関わりを遮る
それ故に傷み 自ずと手を伸ばす
傍から見るとその手は膨らんではいない