黒翼の正体と再定義の代償
【結界外・崖の上】
蒼槍に撃ち抜かれたロアは、血を流しながら地面に倒れていた。
それでも、彼の目からは涙が一滴、静かに零れ落ちていた。
「……これで……終わり、か……?」
ケントは足を引きずりながらロアに近づく。
「……ロア、お前……なぜそんな力を……」
ロアは微かに笑った。
「お前も……見たんだろ?“転生の間”……あそこにいた“存在”が言ったはずだ。
この世界に落とされた魂は、“代償”を払って力を得ると……」
ケントの胸の核が一瞬、軋むような音を鳴らした。
「まさか……お前、“代償”って……」
「俺は……自分の“過去”を消した。名前も、記憶も、故郷も……全部、代償に捧げて、“この力”を得たんだ」
リリアンが後ろから呟いた。
「……それって……それって、転生核の禁術……!」
ロアは空を見上げた。
「最初はただ……この世界を良くしたいと思っただけだった……
でも、気づいたら……全部壊してた。お前たちが正しかったんだな……」
ケントは、静かにロアの手を取った。
「俺たちはまだ間違えながらも、歩いてる。
お前も……ここから始めればいい」
「……ありがとう……ケント……いや、同じ“再構築者”よ……」
その瞬間、ロアの体から黒い翼がボロボロと崩れ落ち、空に溶けていった。
彼の身体は静かに光となり、空へと還っていく――
「……ロア……」
レイが帽子を取り、敬礼のように手を当てた。
「……立派な最後だったよ、あんた」
【その夜・封印都市】
戦いの後、街には静けさが戻っていた。
ケントたちは仮の住居に戻り、束の間の休息を取っていた。
だが――
「ケント、転生核の反応が……おかしいわ」
リリアンが焦った様子で駆け込んでくる。
「は?また何か起きるのか?」
「……“ロアの核”が、完全に消滅してない……
誰かに……引き継がれてる……!!」
「な……!」
その瞬間、遠くの空に巨大な“黒い輪”が浮かび上がる。
そしてそこに、子どものような影が立っていた――
「……お前は……」
その少年は、微笑んだ。
「はじめまして、ケント。僕の名前は“シエル=ロア”。
“再定義の意志”を継ぐ者さ」
見てくれてありがとう
次回もお楽しみに




