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警備員と遅れた怪談

作者: 鴉野 兄貴

「みなさん幽霊とか怖くないですか」



「カラスノくんそれって施設? 侵入者の方が怖い」「……確かに。大抵の場合寝ぼけていたりするだけですもんね」


「『猫の子一匹入れません』と某百貨店の搬出入口での夜間警備で豪語した瞬間に、そこに住み着いている野良猫親子が通ったことならあるぜ」「かわいすぎる」


「車両止まれってお願いやってるのに『警備員の誘導はあくまでお願いだから従う義務ない』と70tクレーンの右折入退場に突っ込んできて警備員のせいと自らの記憶改ざんして証言するヤツが怖い」「マジあかんやつ。あと生きててよかったな其奴」


「そういうカラスノくんはないんかい」

「……拳二つはあるバカでかい翡翠出てきたけどみんな関心なくて、ほっぽっていたら工事の過程でぶっ壊れてお亡くなりになってました」「どこが怖いのさ」

「えっ? 貴重な石が……」

「遺跡とか化石でなくてよかったなー。工事止まるぜ。仕事なくなる」「ヒュエッ!」



「他にないんすか。『もう瘴気感じるここおったら死ぬかも』みたいなやべえ怪談! 何年もいるのに全然聞きませんよそんなネタ! つまんなーい!」


「言うてもカラスノくん、地方のトンネル工事とかお化けより車の方が怖いで」「まぁカラーコーン並べる時マジ怖いですしね」

「こちとら現役バリバリ70過ぎとるんじゃ。オバケみたいに既に死んどる連中より強くて当然やろ」「説得力がありすぎて困る」「俺なんか空襲経験あるで。ほなワシ妖怪かいな」


「オバケなんかどうでもええけど、トンネル工事のカラーコーン積み下ろしでぎっくり腰とかなったら死ぬでカラスノくん。落ち着いてやりや」「はい……」



「あ、でもカラスノくん。瘴気ってか……入った瞬間に『これあかん、逃げな』ってなった現場ならあるわ」「まじすか」

「換気しないでアーク溶接して、一酸化炭素と溶接ヒュームまみれの環境で、作業員さんたちが熱中症もあって次々と出てきて……」「ヒェ……」


(※フィクションです)

(※こんな現場あるわけないじゃないですか)

「溶接ヒュームって何すか。アーク溶接は若い時やりましたけど」

「金属などが微小粒子のガスとして混合され、一帯にたまる現象や。カラスノくんは工場やったろうから換気はしとったやろ?」「ええ」

「総合施設地下とかの設営現場は隣の店舗から抗議くるので換気装置が整ってなかったり使えなかったりするのでマジで注意やねん」

「なお石綿同様法改正されて今だと叱られる。健康被害で訴えられるから本当にダメだぞ」

「ヒュエェ……」


「まぁ、そこまででなくても粉塵飛んでたりするから、昔と違って『客の前でマスクするなんて失礼や』とか言う人もおらんわけで、コロナとか病気とか関係なく施設警備の日でもマスクはもっときぃや」

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