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やんごとなき血筋チートで全属性魔法と時空魔法を自在に操る僕は後の覇王となる  作者: イ尹口欠
第四章 開戦の狼煙

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68.今日はちょっと悪いことをしようかと思う。

 ある夜。

 いつも通りソフィアを召喚したが、なにやら様子がおかしい。

 ベッドで丸くならずに四つ足で立ち、彼女は僕に告げた。


「隣国グレアート王国が国境を侵す日取りが決まった。3日後の夜だ、マシュー。連中は宣戦布告もなしに奇襲する腹づもりらしい」


「そうか、分かった。クレイグに伝える」


「ああ。そうするといい。最初の奇襲はオルスト王国の王都に最も近い国境だ。グレアートの連中は広大なこのオルスト王国を丸ごと平らげるつもりでいるぞ」


「そんなことが可能なの?」


「王都を陥落させれば可能だろうな。いかんせんこのオルスト王国は広すぎる。グレアート王国との国境も長過ぎる。端から削るよりも王都を奪って国ごと奪うのが効率が良いと考えた者がいるようだな」


「そうか……王都を落とせば確かにそうなるのか。でもこの国の王都の防衛って……」


「かなり分厚いな。グレアート王国が国境を越えたところで要所には砦があり、王都自体も高い城壁に囲まれておる。簡単には落とせまい。普通なら」


「普通じゃない何かがあるの?」


「そうだ。儂はマシューと契約した以上、マシューの側につく。だから秘密をバラすことに躊躇はない。しかと聞け。相手には騎竜がいる」


「騎竜だって? ――まさかギフトで竜を従えた奴がいるの!?」


「そのようだな。儂も直接は見ていないが、空中からの攻撃を防ぐのは難しかろう? 何より騎竜自体の戦力もある。今回のグレアート王国は本気でオルスト王国を落とすつもりだな」


 今は夜中だ。

 しかし一刻も早く、クレイグにこのことを伝えるべきじゃないのか?

 明日になってからでは対処が遅れていくばかりだ。


「…………どうしたマシュー?」


「今からクレイグに伝えに行くよ」


 僕は寝間着からこっそりと制服に着替える。

 カーレアに気づかれないように〈サイレントルーム〉で音を消す。


「一刻も早く伝えるべきだ。騎竜なんて想定していないだろうから」


「そうだな。その方が良かろう」


「教えてくれてありがとう、ソフィア」


 ひと撫でしてから送還した。

 そして脳裏にクレイグの研究室を思い浮かべる。


「〈テレポート〉」


 僕は夜の研究室へと転移した。




 研究室ではクレイグが机で書き物をしていた。

 何やら難しい顔で苛立ちをぶつけるようにして書き殴っている。

 なるべく驚かせないように、そっと声をかけることにした。


「クレイグ、今いいかな?」


「!?」


 クレイグはビクリと身体を震わせ、呆気にとられたように僕を見上げた。


「な――、マシューお前いつから」


「今だよ。研究の邪魔をして悪いんだけど、伝えなきゃならないことがあったから」


「何があった?」


「ソフィアから聞いたんだけど……」


 僕はクレイグに3日後、グレアート王国が王都に近い国境から奇襲を仕掛けることと、相手に騎竜がいることを伝えた。


 クレイグも騎竜には驚いた様子で、「それは……マズいな」と呟いた。


「すぐに王城に伝えてあげて。対策する時間は限られているでしょう?」


「ああ、助かった。いやまだ助かっていはいないが、情報には感謝する。俺はこれから王城へ向かう。マシューはどうする」


「僕はこのまま屋敷に戻るよ。僕がいてもなんにもならないでしょう?」


「……そうだな。今のマシューにロクな発言権はないからな」


「それじゃ、確かに伝えたから」


 僕はすぐに〈テレポート〉で自室に戻った。




 翌日は普通に魔導院で過ごした。

 放課後に研究室を覗いてみたが、どうやらクレイグは不在らしい。

 入り口でアイリンダが戸惑っていた。


「アイリンダ先輩。クレイグ教授は不在のようですね」


「そうみたい。だけど、聞いていない」


「ええと、昨晩なにかあったらしくて。多分、まだ王城にいます」


「…………えっ」


 アイリンダが目を丸くした。

 頭に疑問符が浮かんでいるのを幻視したが、気にせずに「今日のところは帰ってこないかもしれないので、寮に戻るといいですよ。僕も図書館に行きます」と言った。


「そう。分かった……」


 アイリンダが研究室から立ち去る。

 僕は図書館へと向かった。


 司書のベラレッタに挨拶をして、閉架書庫に入れてもらう。

 すっかり常連だが、今日はちょっと悪いことをしようかと思う。


 こっそりとソフィアを召喚した。


「なにかあったか、マシューよ?」


「うん。古代魔法文明時代の古文書で、ドラゴンへの対処ができるものがないかと思って」


「……なるほどな。あるかもしれんが、ないかもしれんぞ」


「分かっている。できることをしておきたいだけだから。古文書を順番に見てもらえる?」


 僕は持参していた真新しい手袋を〈ストレージ〉から取り出して、古文書がある場所から一冊ずつソフィアに見せていく。

 その中の一冊を見せたところで、ソフィアのヒゲがピンと張った。


「それの中身を少し見せてくれ」


「分かった」


 僕は中身を慎重に開いて、ソフィアに読ませる。

 数ページをめくったところで、ソフィアが「これならば対処できるかもしれぬ」と言った。


「分かった。この一冊を失敬することにしよう」


 僕はソフィアが選んだ一冊を〈ストレージ〉に仕舞い、他の古文書を元の場所へと戻した。

 そしてソフィアを送還する。

 それからはいつも通り、閉館時間まで読書をするのだが、どうしても集中できずに内容が頭に入ってこない。

 結局、数ページも読まないうちにベラレッタが閉館の時間を知らせに来た。


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