【4】
――入学式閉幕――
各自先程割り当てられたクラスに行き各々自分の席に腰かける。
すると黒板モニターに人物が写し出された。
「諸君入学おめでとう!君達の青春が幸せに遂げられる事をここに願う!
学年主任の赤銅カンナだよろしく!」
「では、血判の儀を執り行う
諸君らの力が道徳、倫理に基づいて他者を果ては世界を助ける事に使われる事を願って。
無論、取捨選択も大事だ。
ここは自分には無理だから傍観を決め込むこれも立派な決断だ。
自分に今解決しなければならいことがあるならまず自分を救ってやってくれ。
そしてこれは自分に出来そうだなと思うものは主体的に、能動的に取り組んでいってくれ。
主体者にはなれないがその主体者を応援して変えていく観測者にだってなれる。
大学が知識の多寡は無論、自ら考え表現する場となった今、自ら考え行動していく事を忘れないで公に奉仕する事を以って還元していってくれ。
資本主義社会に於いて“投資” ”消費” “還元”は大切なことだ。
では、終わり次第紙は各自の机に置いておく様に。」
そうこれは力を持った生徒に痛みを教える事によって他者の痛みを知るためのそして敏感になる為の儀式なのである。
「痛…痛ッ」「痛ってぇ!」そんな声が教室内にこだまする。
「よし、終えた者から帰っていいぞ。
それから部活も何にするか決めておけ。
お前らの有り余った力、体力を郊外で使わせる訳にはいかないからな、じゃあ解散!」
2027年に旧東京都への一極集中はピークに達した西暦2068年になった今でも東京一極集中ではなくなったものの未だに関東州一極集中に変わりはない。
そんなお蔭で関東州地方第一魔剣士高等学校は立派な施設が数多建立されていた。
部活は
文化部から
アイドル部{プロデュース部・男性アイドル部・女性アイドル部}
表向きはアイドルの人権の観点から恋愛は禁止されていないがアイドルという商品で見た場合恋愛は商品価値の毀損に当たるため実際は禁止されている様なものである。
生徒の生徒による生徒のためのアイドルで慰労が目的である。
そのためあえて交際の余地が残されている。
実際に交際に至った場合、公言する旨の努力義務が課せられている。
宿泊部{旅館部(和)ホテル部(洋)カジノ部・調理部・バトラー部・メイド部からなる}
主に超富裕層向けの館内完結型
ドローンツーリズム
ジャミングルーム
ホテルは情報が漏れにくく中央の政治家達に好まれる。
カジノ部は銀行からの融資、ジャンケット、資金の回収を主な内容としている。
電子機器部{ゲーム部・ハッカー部}
スポーツ部
{バスケ・サッカー・バレー・野球・水泳・剣道・(ソフト)テニス・自転車競技・アーチェリー・スケート・サーフィン・卓球・射撃}
この学園に対する批判
超少子高齢化による若年層減少による学生の確保のために各学校がこぞってブランディング力を強化している。
そのため、一見過剰ともとれる施設の多さによる学費高騰が本来教育施設という観点から逸脱した学費高騰に生徒家庭が苦しめられているという批判がある。
だが、なんといってもこの学校に入学したのならばやはり魔剣決闘部やファンタジー部だろう。
魔剣決闘部から組合に個人または隊順位登録すると日夜選抜戦が出来る。
ここでの選抜戦が六褒賞大会への出場権を手にできる。
六褒賞大会とは?
一、論文大会(知)
二、和洋折衷スイーツ料理対決(食)
三、学園祭集客対決(資)
四、面白いこと大会(笑)
五、ビューティーコンテスト(美)
六、国際魔剣士大会(武)
生徒達は入学初日から、いや以前からこの大会を楽しみにしていた者達は多い。
観ているだけでも楽しいのだ。
「2週間後には部活、決め終わっていろよ全員入ってもらうからな。兼部もOKだ」
「今、何をすればいいか迷ってる?
だったら迷いなさい」
「遊び尽くしたい?
遊びなさい」
「勉学は勿論大切それが本分
でも義務教育まででも健康で文化的な最低限度の生活は営める
しかしあくまで最低限度だ資本主義社会においては法さえ守っていれば幾らでも金儲けしていい。
そんな儲けたいやつや将来の選択肢を増やしたいやつにとっては勉学は大変重要だ。」
「将来について考えるのも大事。
でもね…今の積み重ねが将来な部分もあるの」
「これから将来は否が応でも考えさせられる様世の中なってんの。
本当、社会に出たらそんな事だらけ。」
「だからせめて今、今だけはこの瞬間だけは、青春に素直になりなさい。」
「それがどんな形なのかは人それぞれ
斜にかまえすぎんじゃないの
嘆いたところで帰ってこない
一度しかないかもしれない大切な大切な時間。」
「若人よ青春に素直たれ!」
「先生は人生の迷子
先生結婚なんてって思ってた
結婚式にお金はかかるし、そのせいでかつて愛し合った旦那と喧嘩も頻発。
旦那が酒に溺れるかもしれない
女に溺れるかもしれない
そんな側面ばっかし見てきた
でも幸せな家庭も確かにあって、家庭、家族とは辛いことばかりじゃない楽しいことだってたくさんある。
大事なのはバランスだけどね
期待しすぎもダメかといっていつまでも穿った見方ばっかしじゃダメ。
たくさんの家庭、家族を通して学んだの。」
「勿論、結婚だけが幸せじゃあない
結婚しないという生き方もあり
でも先生はどうやら結婚したいらしいの
だから先生今まで自分が何してきたのか分からなくなっちゃって
そしてある日見たの奇跡を
子どもが産まれるという奇跡を
その奇跡に両親とも泣いてたの
その後もちゃんと見たわ。
迷いながら共に成長していく両親を
また、新たな青春を送っていくところを。
だから貴方達には真摯に自分の人生に向き合ってほしくて
迷っている子がいるのならまず六褒賞大会とかを目標にしてみるといいんじゃない?
家庭も学校もどちらでも上手くいかなかったら辛いじゃない?
ありきたりな世界、既に知っている世界かもしれないけどそれでもまだ知らない所があって例え家庭と学校という2つのコミュニティで上手くいかなくても世界はこんなにも広いんだものきっと居場所があるわ。」