【3】
「ねぇ、知ってる?」
「何が?」
「吸血鬼事件。」
そう言って口を開き犬歯を覗かせ、がおーとする。
「何そのニュース知らない。」
「全身の血が抜き取られた変死体が世界各国で発見されたんだって!
しかも外傷がないんだって。
びっくりだよね。」
「そんな事件があったんだね。」
「そうなんだよ!
でね!こっからが面白い話でね10年前に出没した謎の物体が太平洋の空に浮かんでるじゃん。
あれは専門家の間では最初は少ししかなくて、特定の地域に見られる未確認航空現象だって言われてたんだけどね、いろんな説があるけど恐らく時計だろうって説が有力でね…」
そう太平洋に突如として出現した謎の物体は時間をかけて徐々に徐々に大きくなっていった。
そして、それらを纏めたものを形容するなら機械仕掛けの時計が分解されたものが散り散りになっているという表現が妥当であろう。
そしてそれを上、つまり宇宙から見ると理解不能な文字(おそらく数字であろうと言われている)が時計を形成している様に見えるのであった。
「それでね、その時計と思しきものが今回の事件と合致する様に赤くなり出したんだって!
ネットでは今回の事件の血が数字になったんじゃないかっめ専らの噂でね。
でね!でね!それでね、なんとその時計と思しきものが赤くなると同時に胎動を始めたんだって!」
「不気味だね。」
「何の時間なんだろうね。」
「地球温暖化での異常気象発生へのタイムリミットとかかなぁ?」
「それだぁ!深山幽谷の地が無くなりつつあるこの世界にこんな未知なものができるなんてワクワクだよー!」
「お宝〜、とか良い意味だと良いんだけどね…
ていうか、私ニュース見てるけどそんな事件聞いたことないんだけど…」
「それはこの事件は箝口令が敷かれてるんだって。
こんな不可解な事件を起こせるのは魔剣士だけだろうってなると魔剣士の制御が出来るおかげで軍事費に予算をあまり費やさずにすんで経済成長してきた西側諸国にとって魔剣士、魔剣師の地位が脅かされる様な噂は立てたくない。
だから秘匿してるんだって…。」
「なるほど。
で、そんな噂話はそういうのが気になる歳頃の子の恰好の肴って訳だね。」
「これが事実だったとしたら、せっかく魔剣士の軍事利用による忌避感からくるデモがやっと沈静化しつつあるのにまた再燃しちゃうよぉ〜。」
「多輝君はどう思う?」
「う〜ん。
風当たりが強くならないといいけど…それに魔剣能持ちにもより一層ここで魔剣のリスクに対する認識を改めてもらう努力が此処にきて求められているんだと思う。」
「そうだよねー。どうしても感情が先行しがちだもんね。」
(今の話、ほぼ真実に近いな。
あいつの背後に何がいやがる。
それにこんな大事なことをペラペラと堂々と喋りやがって。
まぁいい。ただの学生の戯言で済む話だ。
事態を悪化させるのは控えるべきだな。
男、烏羽隆墨はそう思い、目を瞑るのであった。
「でも、それって普通空間の裂け目の地震と関係してるって思わない?」
「それだと人間に都合良すぎだろうって、見解なんだって。」
「ふーん。畏怖の絶景って感じ?」
「人工物、なのかな?」
「分かんない。」
「でも、不思議と驚きはないよね。
何でだろう?」
「それはさ、多分天空海闊があるからじゃないかな。」
「そっか、あんな威容が空に浮かんでちゃね。」
天空海闊とは
大西洋に浮かぶ城のことである。
別名:難民避難城とも呼ばれる。
七魔剣帝が一。
法典広域国家所属
魔草剣の創造武器が創り出した城である。
創造武器とは魔剣士が持つ武器のうちグレードが分かれており、武器グレードレベル1が物質武器で銃や剣などがこれにあたり、レベル2が鋳型武器でありレベル1の武器に異空間エネルギーを漲らせ、レベル3の現像武器は形になっている武器を異空間エネルギーで再現し、レベル4の創造武器はあらゆるものを自分で想像したものを武器にすることが出来る。
その創造で城を作り出し海洋の上に浮かばせているのであった。
海上エレベーターで上の城へアクセス出来る。




