【2】
場所を移して海洋国家ワシントンD.C.。
―2068年4月18日(水)―
今日はミュージックフェスティバルが開かれるため大いに賑わっていた。
そんな喧騒とは程遠いホテルのとある一室。
時刻は正午。
男の行動に淀みはなかった。
キャリーケースからドローンを取り出し簡易的にバラけていた部品を取り付けドローンを完成させていく。
そしてそこにただ、淡々とドローンに爆弾を取り付けていく。
合計で3機に爆弾を取り付けた。
爆弾はプラスチック爆弾とパイプ爆弾である。
窓からドローンを飛ばそうと思い窓を開けるが開閉には限界があった。
安全のために人が出られない様になっていた。
もちろんドローンもかなりの大きさがあるため搬出不可能だった。
それを無理やりこじ開けたので警報が鳴り響いた。
だが、それに構わずドローンをホテル36階からライブ会場へと飛ばしていく。
そう、全ては真実の解放のため。
『世界に真実あれ!』
そう窓から叫びドローンが解き放たれた。
そして演出と勘違いした観客の上空で爆発を起こし観客を熱波と破片が嬲っていった。
ライブを鑑賞していた観客は何が起こったのかわからずパニックになっていた。
中には演出上の事故か?と一瞬思う者までいたほどだ。
そう全てはこの国を腐らせる闇の政府からの解放のため。
自分が信じる真実のために。
そして、再びこの国を偉大な国にするために。
『我は真実と共にあり!』
そう言って男は拳銃で口腔内へ向かって発砲し自殺した。
それからしばらくしないうちにSWATが警報のなったフロアである36階にある部屋に突入したが容疑者は自殺した後であった。
それを受けて警察はSNSで犯人の死亡を確認した。爆撃は治るものと思われると発信した。
◇◇◇◇◇
真っ暗な部屋の中。
机に置いてあるパソコンとモニターだけがこの空間での唯一の明かりだった。
そんな部屋へ誰かがやってきた。
部屋にやってきた男はどうやら食事を取りに行っていたらしい。
その部屋の主である男はピザの箱とハンバーガーの入った包み紙を持ってこの部屋へとやってきた。
彼の食事に対する思想は「男なら肉を食え」だった。
その通りに男のバーガーには肉のパティが通常の倍、入っている。
ピザもテリヤキチキンだ。
男は席につきピザの箱を開き8等分にカットされたピザを手に取り口に運んでいく。
その間にキーボードとコンソールを動かしネットを閲覧する。
閲覧しているのはSNSだ。
動画、画像、文章、掲示板が閲覧可能だ。
その中で掲示板を閲覧する。
ーワシントンD.C.で会議が開かれるらしい。ー
そう、ここ海洋国家ワシントンD.C.では毎年空間の裂け目からやってくるモンスターへ対処する為の七魔剣帝の定例会議が開かれていた。
開催国は持ち回りだ。
恐らく、今年は大規模な津波はないと思われる。
だが定点観測できる津波は毎年、毎月、毎日、世界のどこかしらでは確実に起こっている。
それに向けた対処あるいは終末戦争となり得るほどの大規模侵攻に対処するために話し合いが行われている。
世界の関心事のため会議の議事録は公開されている。
ー魔剣能を持たない我々はどうやら粛清対象らしい。ー
ー人間を減らす政策の一環みたいだな。ー
ーそんな事はあってはならないー
ー阻止しに行こうー
ー武器は?規制厳しいぞー
ー銃が?ー
ーそー
ーじゃあ爆弾の材料を持って行こう。ー
ーそれがいいかもな。ー
ーそんな奴らに国を開け渡すな!ー
男は思った。
移民によって仕事を奪われ、賃金も下げさせられた挙句魔剣士にまで自分の人生までもが奪われ様としている。
もう我慢の限界だった。
貧しくなったのもこの先の生きる希望がないのも全て政府の仕業だ。
この先の生きる希望のない同僚たちはみんな薬物に手を染めていった。
そんな壊れていく人間を見て自分もそうなるのかと毎日毎日恐怖に苛まれていた。
なんで俺がこんな生活を送らなきゃならない!
金持ちには搾取されその搾取した金で議員を買って俺達の生活を苦しめていやがる。
男はここに襲撃を決意したのであった。




