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【12】

黒也は手洗いを終えて一息吐こうと自室の机へ向かい椅子にこしかけパソコンを開いた。

オンラインコミュニティに参加するためだ。

主催者はおらず参加者全員が話し合う形だ。

いつも20:00から皆んな参加するが今日黒也はいつもより早く15分前、19:45にログインしていた。

そうするともう1人が入って来た。

ブロンだ。

ネットで知り合ったわりには信用している方のメンバーだ。

「お、ノアじゃんどうしたん?こんな早くにまだ誰もいないじゃん。」

「なんとなく…」

そういう自分も早いじゃんと言いかけて呑みこんだ。

「そかー、なんとなくかぁ俺もそんな時あるから分かるわぁー」

「分かるの?」

「うん、分かる分かる。

「俺、寂しがりやだからさなんか人と触れ合いたい時はさこうして早く来てみるんだ。」

「そっかー…」

「あー男が寂しがりやかよとか思っただろ?

俺がそうだけなのかもしんないけど男にも寂しいやっはいるんだぞー」

「分かってるって」

「本当かよ。あはは

で、どうしたん?俺でよければ話聞こか?」

いきなり核心に切り込んで来た。

核心に迫られ心臓がドキリと跳ねた。

「なぁ、もし他人に強く当たられたらどう思う?」

「んー分かんないなぁ〜その時その言葉の文脈、行動、自分の気分で対応も変わるかなぁ〜

だから一概にどうとは言えないなぁ。

でもその人にも理由があるんだろうからそれが理由で嫌いにはなりはしないかも。

嫌な奴かもって分類するぐらい?かなぁ?」

「そか。」

それを嫌いというのでは?と思ったが言えなかった。

「今日、、、」

「ん。」

「今日どした?」

続きを促す。

「今日…」

「ゆっくり自分のペースでいいぞ」

「今日学校で話しかけられたんだけどキツく当たっちゃって…」

「そっかー話してくれてまずはありがとう」

「うん…」

「キツく当たっちゃったかー」

「………………………」

「辛いことあったん?」

「うん、まぁ………」

「そっか、そっか辛いことあったのかぁ

それは聞かないでおくね?

また、自分から話したくなったら言ってよ

そん時は聞くからさ。

でもなんか引っかかってる所があるってことはさ何か思うことがあるんじゃない?心の内にさ…」

「………………………」

「だったらそれに素直に従ってみたらどう?」

それは謝った方がいいとか、それはお前が悪いとか言われると思って身構えていたがそうはならず緊張が弛緩した。

「世の中さ両立の難しいものとかあんじゃん?例えば家族、友情とお金。

世の中には性格の良いお金持ちもいれば悪いお金持ちもいるじゃん?

性格悪いお金持ちの人はお金は持ってるけど性格悪いから友達はいないじゃん?

でもその人にとっては友情や家族よりもお金が大事なんだったらそれで良いと思うんだ。

逆に性格良くて人のために色々動けるんだけどお金ない人っているじゃん?

でもその人にとってはお金より友情、家族とかのほうが大事ならそれでいいと俺は思うんだ。

だから謝るも謝らないもどうしたいのかは自分の心に聞いてみなよきっと見つかるよ。」

「そっ………か………」

「離れていく友達もいれば近づいてくる人もいるそれが自然の摂理だと思うな俺は」

「そっかありがとう話してみて良かったよ」

「おうよ!またなんかあったら話聞くよ。」

「じゃあ今日はこれで。」

「寝るの?」

「ううん、気分転換する」

「そっかじゃあね」

「うん」

―ノアが退出しました―

黒也は今度はベッドに横になりベッドの上のカウンター部分に置いてあるVRヘッドとヘッドマイクを取り出し目と耳にかける。

VR世界はダイブすると同時にThis name(チャットアプリ)を起動する。

自分のアバターでゲームへログインする。

そうしてゲームの海へと沈んで行くのであった。

◇◇◇◇◇

買ってきた弁当を冷蔵庫から出す。

エビチリ丼だ。

それをレンジへ放り蓋を閉めて指定されたW数で時間で温める。

そしてリビングへ行きテレビモニターを点ける。

チャンネルを一周してニュース番組にした。

今はお料理特集だ。

ピー、ピー、ピー

レンジが鳴く。

レンジまで行き蓋を開けるとエビチリのいい香りがする。

それが食欲を刺激する。

ゴクり。

早く食べたい。

包んであるラッピングを開ける。

匂いがより一層濃くなる。

はむ。

一口。

エビチリのむき身が歯の上でプリっと踊る美味い。

―――

「さて、続いてのニュースです。

魔剣士学校を襲ったテロリストが逮捕、送検されました。

男は取り調べに対し「ネットで生徒が奴隷の様に酷使されているとネットに書いてあったそれを見て許せなかったと供述しています。」

番組はスタジオに戻りテロの急増についてというテーマでコメンテーターが話を始めた。

「僕ね、エコーチェンバーって言うんだっけ?

ネットだとそれがより加速されるじゃない?

だから誰か教えてくれる人周りに居なかったのかなぁーって思っちゃうんだよね。」

「被告は幼少時代親からよく虐待されていたらしいです。それこそ奴隷の様に…」

「それに共鳴しちゃったかぁ…」

―――

ニュースでわいのわいのと議論している。

それを聞いて多輝は思う。

(少なくとも助けたいと思ってくれてはいたんだよなぁ…)

どこで間違えてしまったのだろうか?と、思う。

手段は間違っていた。

しかしその気持ちまで間違っていたのかな?

自分はそうはならないだろうか?

不安が押し寄せる。

自分は果たして今後の人生惑わされずにいられるのだろうか?

そんな風にネガティブの宝庫に心を蝕まれて行く。

不安になってチャンネルを変えた。

(あれが未来の自分なのかなぁ?)

何故、生きているのか分からない。

だから進路も曖昧。

こんなんじゃいずれ自分も権利を剝奪される側になるのかもなぁ…。

そんな思考がますます生きている意味をあやふやなものにして行く。

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