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命の水の満つる夜に  作者: 中川聖茗
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第九章

 そんな彼女と両親の関係が微妙に崩れだしたのは高校3年になってからであった。

 確かに成績優秀な彼女であったが、試験となると緊張するという癖があって、その結果はいつも芳しくなかった。とは言っても優秀な彼女である。普通の国公立医大なら問題ないが、東京大学となるとあと少し及ばない、そんな結果が続いたのである。

 父親はひどく失望するとともに、時に娘を罵倒したりした。頭を叩くなどの暴力行為にも及んだりした。ここまで事態が悪化すると、母親はさすがに、娘をかばって、進路に関しては、娘の望むように、と口添えをしてくれたが、父親は頑として譲らなかった。

「いいか、東京大学にあらずんば大学にあらずだ。もっともっと勉強しろ!」

 こうして彼女の地獄の受験生活は続いた。しかし、結果は東大目指して二浪はしたものの、結果は不合格、どうしても試験本番で緊張してしまい、本来の実力を出せないのである。

 浪人3年目になると、父親の”教育虐待”はさらにエスカレートした。父親からの暴言体罰に、もはや彼女の我慢は限界に達していた。

 ついに、彼女は大きい決断をした。ー東京を離れる、そう決めたのだ。親の庇護の下で今まで生活してきた彼女にとってそれは苦渋の決断でもあった。

「京都千都大学を受験する」この彼女の決断に両親は戸惑いはしたが、浪人生活も3年目を迎えて、さすがの父親も反対は出来なかった。東京大学に次ぐ大学である。合格してくれればそれで父親の虚栄心は満足できた。母親は、もし失敗してもどこか私学の医学部を考えていたので、こちらも同意した。


 こうして彼女は京都の地へと、新幹線に飛び乗ったのだ。

 そして李との出会い…。

 懐かしい日々…。

「どこから歯車は狂ったのだろう…」


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