出会い
桃川 空音。
15歳。
高校生。
アニメヲタク。
長所:まじめ。
がんばっていること:笑顔の練習。
以上が、私の軽い自己紹介である。
現在午前7時。私は、壁一面にアニメのポスターが貼ってある自分の部屋で、大好きなアニメを見ている。
自己紹介の文からもおわかりいただけただろうが、私はアニメヲタクである。
今朝も学校に行く前に、アニメを見るために早起きして、急いで準備し、録画してある大好きなアニメを見ている真っ最中、ということ。
これは私の毎日の日課である。
その大好きなアニメというのは、『クール☆パラダイス』通称『クルパラ』というアニメ。
このアニメは、一ノ瀬くん、二宮くん、三田くん、四ッ谷くん、五十嵐くんの5人が、世界的人気アイドルになるために、ひたむきに努力するはなし。
ちなみに今は全然人気がないアイドルで…。
でもだからこそ、少しのファンを大切にするメンバー達の思いが尊い。
メンバー同士がぶつかり合うこともあるけれど、それによって友情が深まり、絆が深まり……と、とてもいい話。超感動する。
学校内で他の女子達も『二宮くんかっこいい!』とか、『三田くんと五十嵐くんの友情、感動したぁ』とかって言ってる人がたくさんいるほど、結構有名なアニメである。
「現実世界ではこんなにもファンがいるのに、なんでアニメ内だと人気がないんだろう。彼らが三次元に出て来ることが出来れば、私たちファンが5人を世界的人気アイドルにさせてあげられるのに。なんか技術が発達したら、そんなことも出来るようになるのかな………?いやいや、無理だよそんなの。」
と、夢みたいなことを呟きながら、クルパラのアニメの1話を見ていた。
5人がステージに立ち、踊り始める。
そして最後、5人で決めポーズをして1話のアニメは終わる。
…………ハズだった。なのにそのまま、5人が画面に近づいてくる。
もう何百回と見ているアニメなんだから、私が1話の終わり方を忘れるはずがない。
でもそれは、私が知っている終わり方ではなかった。
5人が画面に近づいてくるなんてシーン、1話には絶対にない。ないのに、ないはずなのに。
「な、なななんで?」
そんな頭が混乱している時、画面の向こうから彼らが出てくる。え、出てくる?!
「おいしょっと」「おっあっぶね」「おっとっと」「あーだる」「お前早く出ろよ」
一ノ瀬くん、二宮くん、三田くん、四ッ谷くん、五十嵐くんの順番でみんながテレビの画面から出てきた。
「えへへ、びっくりした?」
もう、びっくりなんてもんじゃ…!な、なな、何が起こってるの?!世界がおかしくなったの?!
パニックになって口をアワアワさせる私に向かって、5人はこんなことを言い出した。
「僕らを世界的人気アイドルにしてくれませんか?」
二次元の彼らが三次元の世界へくるとなると、絵で書いたような薄い状態で出てくるのか、それとも三次元化(実写化)で出てくるのか、と色々あると思いますが、二次元のあの美形を保ったまま、立体の存在として出てくる、となんとも言葉では表しずらく、そして理解しずらい設定で今のところはやってきます。
そこはフィクションとして、なんとなーくお楽しみください。