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TSエルフになったので、弟子にその力を見せつけたい  作者: Yu
おれはこいつに見せつける
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黒い塊



様々な薬品や試験管が備え付けてある、乱雑とした部屋に一人の少女がやってきた。


強くなりたいと言う、メイドの少女─セリアは家主のエルフであるフィオナに促されて椅子に座った。


「嬢ちゃんは、ナターシャの所の子だね。」



フィオナは自分の眼鏡の位置を整えながら、話を切り出す。


「はい。」


「嬢ちゃんは独学で魔法を会得していただろう?」


「独学では今より強くなれません!!」


フィオナはため息をついて、力を求める少女を諭すように話した。


「力を求めてどうするさね?復讐かい?」



セリアは真っ直ぐに燃えるような目をフィオナにぶつける。


「そうです!!あいつは絶対に許せません!!」


「………。ナターシャによると、かつて嬢ちゃんの村を蹂躙したヴァンパイアと先日のヴァンパイアは別の存在だそうさね。」


「なら、そいつら二人共、殺します!!」


そんな、セリアをフィオナは眼鏡の奥で悲しそうに見つめた。



「………復讐に走って、死んだらどうするさね?また、あの子を悲しませることになるよ。」


「そ、それは……。」


流石のセリアも言葉に詰まり、視線を泳がせた。



「はぁ……。そんな事言っても、納得しないだろうさね。」


フィオナは紅茶を一口飲むと、その先を話す。


「一つ条件があるさね。」


「条件?」


「例え強くなったとしても、一人で先走った行動は取らないこと。これが守れるなら、弟子にしてやるさね。」



「……わ、分かりました。」


セリアは渋々頷いた。



「グラヴォリカはどうするさね?時間があるなら、修行を見てあげるよ。」


フィオナが隣に座っている女性騎士─グラヴォリカに尋ねる。



「そうですね~!!私もお願い………」

『総員に告ぐ!!遠方にグランディア聖盾騎士帝国軍を確認。直ちに、城壁の上にて待機せよ!!』


グラヴォリカが答える直前、連絡石からけたたましいアラームと共にメッセージが鳴り響いた。



▲▽▲▽▲▽▲▽



「報告します!!」


一人の兵士が執務室の扉を開けた。


「どうした?」


執務室には領主─フロン・ダーゼルムとフォレスティア森調騎士団長─アムルトス・パールピアがいる。しかし、その兵士はノックも忘れて報告した。



「遠方より、グランディア聖盾騎士帝国軍が確認されました!!」



「なんだとっ!?」


「………随分と早いな、奴らにそれを可能にする進軍速度があったというのか。」


領主であるフロンと団長であるアムルトスはそれぞれ反応を示す。



「それでどうする?領主殿?」


アムルトスがフロンに問い掛けた。


「決まっている!!」


フロンは椅子から立ち上がると、連絡石を取り出して指示を出す。


「総員に告ぐ!!遠方にグランディア聖盾騎士帝国軍を確認。直ちに、城壁の上にて待機せよ!!」


ラムルスの町の兵士部隊、魔法部隊、そして在中している騎士にメッセージが届いた。



団長であるアムルトスも、フロンのそれに続く。


「聞いたな。騎士総員!!グリフォンに乗って、城壁の上にて待機だ。」



「籠城だ。敵の出方を見る。」


領主の言葉に団長は頷いた。



▽▲▽▲▽▲▽▲



豊かな森に覆われているフェイル森林地帯。


しかし、そんな自然を凪ぎ払うかのように巨大な黒い塊がラムルスの町へ向けて進んでいた。その数100は下らない。


森に住む動物や魔物が悲鳴を上げて、逃げていく。



その黒い塊が掲げる、その旗は盾の紋章が刻まれており………


「グランディア聖盾騎士帝国……。」


誰かがそう呟いた。




『聞け!!フォレスティア森調王国の民よ。この土地は遥か昔、グランディア聖盾騎士帝国の物であった。よって、それを奪い返す!!フォレスティア森調王国に点在する都市は速やかに門を解放し、グランディア聖盾騎士帝国の属国に下れ!!』


黒い塊から拡張された声がラムルスの町全体に響き渡る。


『一時間以内に返答がなかった場合、即刻攻撃を開始する!!』


それを聞いた住民はたちまち、パニックになった。



荷物を纏めている者。


呆然としている者。


笑い飛ばす者。


走り出す者。



『静まれ!!ラムルスの民よ!!』


町の拡声器から荘厳な声が響き渡った。聞く者が聞けば、分かるその声は……


「領主様?」


誰かが呟く。


『我らがフォレスティア森調王国の土地は、遥か昔、魔王を討ち滅ぼした勇者が森を切り開いた物だ!!断じて奴らの物ではない!!我らフォレスティア森調王国はグランディア聖盾騎士帝国には決して下らぬ!!森の民よ、城壁の上を見るがいい!!』



声に従った住民が壁の上を見ると、そこにはグリフォンに乗ったフォレスティア森調騎士を始め、兵士部隊、魔法部隊の戦士達が並び立っていた。


その姿に圧倒された人々は次第に落ち着きを取り戻していく。



『我らは決して負けぬ故、安心しろ。』


取り乱す者は、もういなかった。



▲▽▲▽▲▽▲▽



星獣グリフォンに乗った騎士が敵の軍勢を見据えて、呟く。


「あの黒い塊は何だ?奴らの新兵器か?」


「分からんが、あれがあったからこそ、ここまで迅速に森を走破したんだろう。」


「白刃戦は出来そうにないな。」


「弓や魔法で破壊できるだろうか?」


騎士達の会話が、壁の上から見張る兵士達に響いた。



「絶対にここから先は通さないわ。」

「この国への侵略は許せん。」

「ギルム隊長!!安静にしなくて大丈夫ですか?」

「こんな時に寝ていられるか!!」



各々、国を守る覚悟はできている。




『フォレスティア森調王国はグランディア聖盾騎士帝国の属国にはならん!!今すぐ引き返せ!!』


ラムルスの町から、グランディア聖盾騎士帝国軍への返答が送られ、それを合図に戦争が始まった。



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