生き方
「ココは生きてル……デスカ?」
おれの財布をスッた盗人が目を覚まし、寝ていた椅子から起き上がった。
起き上がった際、被っていたフードがとれて、盗人の容姿が明らかとなる。
虎の様な耳に、あどけなさの残る顔立ちの少女。
ケモミミロリであった。
「目が覚めたようだね。」
蒼いイケメン─ジルグヴェルトが優しく声をかけながら近づく。
端から見ると、ロリを騙そうとしてるイケメンの図に見えるな。まさか、ロリコンなのか!?
「ガルルルルル。」
件の盗人─改めケモミミ少女は鋭いキバを剥き出しにして、そんなジルグヴェルトを威嚇した。
蒼いヤツが近づこうとすれば獣の威嚇は強くなる。
見かねたおれは椅子から立ち上がって、ケモミミロリに近づいた。
「ガルル………あ!オマエは!!」
「あなたに財布を盗られた者ですよ。」
おれは神秘的なエルフモードで少女に話し掛ける。
すると、ケモミミロリは仰向けになって、おれにお腹を向けてきた。
「狩りはココの負けデス!!煮るナリ、焼くナリ、好きにシロ……デス!!」
少女は目をつぶって、覚悟を決めた顔をしている。
ロリっ子がそんな顔するなよぉ。本当に好きな事しちゃうぞ?
おれは少女のケモミミを優しく撫でた。
異世界初のケモミミ!!もうこの子はおれのもんだぜ、ぐへへ。
しばらく撫で続けていると、ケモミミ少女の黄色い瞳がおれを見つめてきた。
「ココに酷いコトしないのデスカ?ココは狩りで負けたんデスヨ。」
「酷いことなんてしないわ。ロリは愛でるものよ。」
「メデルモノ?」
「そう。愛でるもの。」
ケモミミ少女は身体の力を少しだけ抜いてくれたような気がした。
「あなた、ココって言うの?」
「そうデス。ココはココデスヨ~。」
ケモミミ少女─ココはだいぶおれに気を許してくれるようになった。
おれはココのケモミミを撫でながら質問する。
「いつも、人の財布を盗ったりしてるの?」
「狩りデス。ヤらないと生きられないデス。」
ココは相変わらずおれに身を委ねてくれている。
「親はいないの?」
「そんなモノ、いないデスヨ。………ココとトトのふたりデス。」
「トト?」
「トトはココの家族デス………ッ!!」
ココはいきなりおれから離れて、周囲をキョロキョロし出した。
「どうしたの?」
「トトが居なくなった……デス。」
ココはオロオロしている。
おれはそんなココを後ろからギュッと抱き締めた。
ケモミミ少女のオロオロ姿が可愛かったのだから仕方がない。
ココはおれにギュッとされて落ち着いたのか、おれが尋ねると、事情を話してくれた。
どうやら、トトというココの家族は変なヤツらに捕まってしまった。
トトを助けようとしたココだが、ヤツらの持つ変な武器により助けられず撤退。
そこで、ココは狩りの成果─スッた金をもっと強い人に渡して助けてもらおうとしたらしい。
「どうして、衛兵を頼ってくれなかったんだい?」
隣にいたジルグヴェルトが聞いた。
「オマエらはオモテのヤツらしか見ねーじゃねーかデス!!そんなヤツらに助けられテ、たまっカデスヨ!!」
ココのぶちギレにジルグヴェルトは申し訳なさそうな顔をする。
「それで?そのトトが居なくなったってどういうこと?」
「ソレは……トトが捕まってた場所から、トトが視えなくなっタからデスヨ。」
「視えなくなった?」
「ヤツらどこかに移動したデス。」
「なら急いで追いかけないと。」
「ソレで………ソノ…………。」
「?」
ココはおれの腕の中から、おれを見上げてきた。
「トトを助けるのに……力を貸しテほしいデス。」
ケモミミロリの上目遣い。
「うっ!」
その攻撃はおれに効く。
「な、ならこれからは、もう人から物を盗ること止める?」
「狩りシナイと我ラ生きられナイ……デス。」
「なら、これを機会に狩りをしなくてもいい生き方を私と探すって約束して。」
「約束……。」
「そう、約束。」
「うぅ……わかったデス。」
ココは頷いた。
「よし、それじゃあトトを助けに行こうか。」
「ありがとぉ~デスぅ~。」
ココはおれに抱き付いてきた。
よ~し、よ~し。この機会にたっぷりスリスリしてあげる。
おれはココのケモミミから尻尾に至るまで全身くまなくスリスリしてあげた。
「んっ!うぅ~。」
あれ?なんか妙に色っぽい声。
ココは頬を上気させて、おれを見てきた。
宿に連れ込んでいいかな?
「君たちが向かうなら、僕も同行するよ。」
空気と化していたジルグヴェルトがおれたちに言った。
「オマエはいらねーデス。」
「確かに君の怒りはもっともだ。それは、この国の怠慢だろう。それをこれから正す為にも僕に協力させてほしい。」
ココの黄色い瞳とジルグヴェルトの蒼い瞳が交差する。
「勝手にしろ……デス。」
ココが根負けしたようだ。
「ありがとう。」
ジルグヴェルトはイケメンスマイルで笑う。
だが、残念だったな。この子はもうおれのもの。お前には毛一本あげないぜ。
「ところで、私たちは飛んで行きますけど、あなたはどうするんですか?ついて来れなければ居残りですよ。」
「それは大丈夫。ちゃんとついていくさ。」
おれとジルグヴェルトはココの案内に従って、トトが捕まっていたという建物の前にやって来た。
「さっきまで、トトはここにいたデス。」
虎のケモミミ少女─ココは建物の出入口をじっと見ている。
「どこに行ったか、わかる?」
「視た感ジ、あっちデス。」
ココにはトトの移動した方向がわかるらしい。
「それじゃあ行くよ。」
おれはココを後ろから抱っこする。
「え!ち、チョット……ナニするデス?」
「飛んで追いかけるから、じっとしてて。」
おれはわざと、ココのケモミミに口を密着させて囁いた。
「は、ハイ……デス。」
ココはおれの腕の中で静かになる。
おれはココを抱えたまま、魔法で空を飛び、ココが示した方向へ進んでいった。
「ココ、飛んでるデス!!トトに自慢しなきゃデスヨ。」
なんだか、最初にアテリーと飛んだときも、こんな反応だったなぁ。
おれを先生と呼んで慕ってくれる、銀髪の少年がふと頭に浮かんだ。
そういえば、アテリーはどこに行ったのやら。
「ココには仲間が連れて行かれた方向がわかる不思議な力があるみたいだね。」
「そうね。」
おれは隣の蒼いイケメン─ジルグヴェルトに返事をした。
ん?ここは空の上だぞ。野郎に魔法を使った覚えはないけど。
おれはジルグヴェルトの方を見ると彼は、おれの隣の空を走っていた。
「それ、どうやってるの?」
「氷の板をつくって足場にしてるだけだよ。」
いや、それ人間業じゃないよね。
おれとジルグヴェルトはココの示す道の先へ向かった。
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