めちゃくちゃ嫌!!
フォレスティア森調王国、王都セレモニア。
その都市の中心には玉座のある城が存在する。木と石でつくられた巨大な白い城だ。
しかし、この都市にはその王城よりも巨大な物が存ある。
星樹セレモニア。
王城の向こう側にある超巨大な樹木だ。基本的にエルフはその樹木の近くに住んでいる。
だから、こうして人に混じって暮らしているエルフは変わり者ということで………
「リーフィリアさんの髪と瞳は綺麗な色ですねぇ。」
おれの目の前にいる宿屋のエルフも変わり者ということになる。
「リーフィリアさんはあのハルマンさんとお知り合いなんですね。どこで知り合ったんですか?」
さっきのやる気のない接客から一変した事といい『変わり者』だと言うことなのだろうか。
疲れてるし、もう解放してほしいなぁ。
話すのも面倒になってきたおれは、耳を動かして返事をする。
ピコピコ、ピコピコ。
「ッ!!」
宿屋のエルフの顔が赤くなった。なんでやねん。
「リ、リーフィリアさんは………そういう人……なんですか?」
そういう人ってどういう人よ。
「早く休みたいし部屋の鍵がほしいのだけど。」
「そ、そうですよね。ちなみにそっちの銀色の子とは同じ部屋にしますか?」
銀色の子─アテリーにおれは聞いてみた。どうやら同じ部屋でいいらしい。
「ご、ごゆっくり~。」
なんか疲れた。まだ日はあるけど、もう寝たい。
部屋は畳だった。おぉ、なんか落ち着く。
おれは早速布団を用意して眠りにつく………
「せ、先生。」
おれは揺さぶられた。
「アテリー。なに?」
「僕、街を見てきたいです。」
アテリーはまだ元気いっぱいのようだ。
おれはアテリーに金貨を2・3枚渡す。
「これで遊んできな。」
おれは眠りについた。
ぐぅ。
────────────────────────
リーフィリアさん。もとい先生は眠ってしまった。
僕─アテリーとしては先生と二人で行きたかったけど、疲れてそうだからそっとしておこう。
リーフィリアさん………僕の人生に意味を与えてくれた人。
僕はリーフィリアさんの布団に潜った。凄くいい匂いがする。
僕はリーフィリアさんに抱き着いて深呼吸した。
ずっとこうしてたい………。
でも、リーフィリアさんは僕の人生を豊かにするため、いつか別れるって言ってた。
僕の人生のためって言ってもそんなのは嫌だ。ずっと一緒に居たい。僕はリーフィリアさんと結婚するんだ。
だけど、リーフィリアさんの意志は固そうだった。このままでは、リーフィリアさんは僕から離れていってしまう。
だから、僕は考えた。僕が優秀になればリーフィリアさんの方から「別れたくない」って言ってくれるかも……。
僕は名残惜しかったが、布団から出る。
いつまでもリーフィリアさんのおんぶに抱っこのままだったら、僕は予定通り魔法学校とやらに入れられてしまうだろう。
それを回避するためにも、自分の有用性をアピールしなくては……。
僕はリーフィリアさんから貰った金貨をリーフィリアさんから貰った肩掛けカバンに入れる。
僕はリーフィリアさんに貰ってばかりだ。何かを返せるようにならなければ、僕の魔法学校√は避けられない。
だからこの王都で僕の価値をリーフィリアさんに示す必要がある。
僕はそう決意して、部屋から出た。
…………
宿の受付をしていた女の人が部屋の前をうろうろしている。
僕はその人と目が合った。
「部屋の前で何をしているんですか?」
「うわっ!!」
宿屋の人は声を出して驚いた。
「なんだ、君かぁ~。」
「リーフィリアさんに用でもあるんですか?」
僕は訝しんで聞いた。
「よ、用ってほどでもないんだけどね………。」
「それで?何ですか?」
怪しい。あの屋敷の人間みたいに突然本性を現すかもしれない。
「そ、それはねぇ~。」
宿屋の人は長い耳を触りながら言い淀んだ。
長い耳?リーフィリアさんと同じ耳だ。
「その耳って……。」
「そうよ。私はエルフなの。」
先生の耳は長いなぁって思ってたけど、先生はエルフだったようだ。
「エルフって何ですか?」
「知らないの?」
宿屋の人は少し驚いた。
「人間と似た種族だけど、耳が長いの。」
「そうなんですか。」
「それじゃあ私は受付に戻るわねぇ。」
そう言うと宿屋のエルフは去って行った。
結局、なんで部屋の前に居たのか言ってないな。
僕は下に降りていった宿屋のエルフを追って、下の階に降りる。
件のエルフが受付のカウンターに顔を伏せて寝ていた。
あぁ、この人暇なんだな。
僕がかつて暮らしていた村にも居た。昼間っからゴロゴロして何もしない人。
僕を見ても何もしてこないけど、何もしない人。
僕が見かける度、ずっと寝てた。
きっとこのエルフの人も同じような人なんだろう。
僕は宿の外に出た。日はまだ高い。時間はまだまだありそうだ。
この街は活気がある。みんな笑っているようだ。僕が居た村ではいつも魔物に怯えて、みんなびくびくしてた。
ついこの間まで村で虐げられていた僕がこんな場所に来られるなんて………。全部リーフィリアさんのお陰だ。
僕は街を歩いた。
色々な物が売られている。野菜、果物、綺麗に光るもの。
さっきリーフィリアさんに金ぴかのコインを貰ったけど、あれと交換できるようだ。
道行く人々はそうやって欲しいものを手に入れている。
「ん?お前は……さっきぶりだな坊主。」
目の前の男から話しかけられた。
声の主の顔を見ると、この人はリーフィリアさんが助けて、この街まで一緒に来た人だ。商人のおじさんの護衛って言ってた。
「あなたはどうしてここに?」
「仕事終わりはこうして街でブラブラすんのが日課なのさ。」
その人は手足をブラブラさせながら言った。
「頭を怪我してた女の人の側に居なくていいんですか?」
「あぁ、クローネなら家に居る。いつもなら二人で来るんだが、今日は俺だけで買って帰るのさ。」
クローネ。リーフィリアさんが助けた白髪のエルフだ。
「あなたとクローネさんはどういう関係なんですか?」
「ん?恋人だよ。」
「えっ!!そうなんですか?」
「あぁ。」
「エルフと人間ですよね?どんな感じで知り合ったんですか?」
「なんだ坊主。もうそんなことに興味深々な年頃か?」
「そ、そういうわけじゃ………。」
僕は恥ずかしくなって下を向いてしまった。
「ははぁ。あのリーフィリアさんか?」
顔が熱くなる。
「お前も冒険するねぇ。あの人は相当倍率高そうだが……。」
「倍率?」
「あんだけ綺麗な人だ。男は何人でも寄ってくるぜ。」
リーフィリアさんが他の男と………。めちゃくちゃ嫌!!
「まぁ、立ち話もなんだし何処かに座ろうぜ。俺が何か奢ってやるよ。」
「いいんですか?」
「大人の甲斐性舐めんな!!」
僕はその男の人に着いていくことにした。
…………………
…………
「着いたぜ。ここが中々上手いんだ。」
僕はその人に連れられて店に入っていった。
ここは何のお店だろう。凄く美味しそうな匂いがする。
席に案内されると、熱気が襲ってきた。
座席の前に鉄板が置いてある。
「お前は初めてだろうから俺がやってやるよ。」
そう言うと、僕をここに連れてきた商人の護衛をやっている男の人は熱い鉄板にドロドロしたものを広げた。
「坊主は小さめでいいよな。」
ジュウゥゥゥ。
鉄板に広げられたドロドロが熱で固まり始める。
「よし!!こんなもんでいいだろ。」
そう言うと、目の前の固まったドロドロに茶色い液体を振り掛けた。
「お待ちどおさん。」
僕の目の前には皿に盛り付けられた茶色い円盤がある。
「お好み焼きの完成だぜ!!」
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