チェック
感想くださいな
「チ、チェック?」
黒よりの青い髪を持つ魔法部隊隊長─ナターシャが聞き返してくる。
「そうよ。」
おれは神秘的なエルフモードで答える。
そう、チェックなのだ。おれは睡眠薬を盛った、金髪よりの茶髪を持つ小動物メイド─セリアよりもナターシャの方に気を許せない。
なぜなら、ナターシャは夢でおれにとんでもないことをしたのだ。
だからこそ、おれは今このタイミングで屋敷を調べる必要がある。ナターシャが隠す前に、わからせおじさんやちょっとアレな道具を見つけ出すのだ。
見つかればナターシャは黒。なんでそんなことするのか分かりません?って顔があざとい演技であることを証明してやるぜ!!
「今から、私の目の前より勝手にいなくなった人がいたら、問答無用でこの町を去るから。」
筋骨隆々の領主─フロン。
その隣にいるナターシャ。
茶髪のお姉ちゃんメイド─サリア。
小動物メイド─セリア。
おれの隣にいる銀髪の少年─アテリー。
この部屋にいる人、全員を見渡しながらおれは言う。
「何のために屋敷を調査するのだ?」
フロンがおれに聞いてくる。
「それはこれから分かることよ。」
「この屋敷には防犯の魔道具が備え付けてある。侵入者やその類いの者がいれば一発でわかるぞ。」
へー、そんなのがあるのか。だが、防犯の魔道具はおそらく発動しないだろう。何故なら、おれが警戒しているモノはこの屋敷の住人により持ち込まれたのだから。
「さぁ!早速開始よ!!」
屋敷調査開始だ!!
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おれの後ろから件の五人がついてくる。
おれは順番に全ての部屋を確認していく。
「この部屋は?」
「書斎です。」
お姉ちゃんメイド─サリアが答える。
ふむ、怪しいものは特にないようだ。
おれは近くにあった本を手に取ってみる。
よ、読めん………。言葉が通じたから、いけるんじゃねって思ったけどダメなようだ。読み書きの練習もしなければな。
おれは本を元に戻して書斎を出る。
件の五人もきちんとついてきているようだ。
おれは次の部屋へと向かう。
「ここは?」
「食堂です。」
「ここは?」
「厨房です。」
「ここは?」
「更衣室です。」
「ここは?」
「執務室です。」
「ここは?」
「浴場です。」
おれは屋敷の部屋を片っ端から調べていった。
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まずい、まずいわ………。
ナターシャは焦っていた。
もうすぐ私の部屋。
片付けそびれたアレがまだ部屋に………。
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「ここは?」
「ナターシャ様の部屋です。」
お姉ちゃんメイド─サリアが答える。
おれは躊躇なく部屋の扉を開ける。
「あっ、ちょ!!」
ナターシャから焦った様な声が聞こえる。
やはり、見られたら困るものがあるらしい。おれが白日の元に晒してやろう。
ここがナターシャの部屋か。念入りに調べることにしよう。
ん?机の上に本が散らばっている。
おれはその本を手に取る。
「そ、それは!!」
おれは中を見てみる。
やはり読めん……。
おれは本を戻して部屋を調べる。
本を回収したナターシャがどこかホッとしたような表情をしている。
四肢を拘束する鎖とかキモデブおじさんは特に隠してなさそうだ。
いや、まだ調べてない場所があったな。
おれは魔法で宙に浮かぶ。
「そんなところまで調べるのか?」
筋肉おじさん─フロンが尋ねる。
おれは天井の一部を外して、中を確認する。
暗闇の中で目の前の人影と目が合った。
…………。
「曲者ーーーー!!」
おれは大声で叫んだ。
目の前の人影はあっという間に逃げていく。
天井に足音が響いている。
「な、何者だ?!!」
フロンが驚いたように言う。
「ギルム今すぐ兵を動員しろ!!ナターシャの屋敷に曲者が出た!絶対に逃がすな!!」
フロンは手に持っている石に話し掛けている。
ギルムって……あぁ、城壁を越えようとしたところを見つかったひげ面おじさんね。
天井裏に怪しいものはなさそうだ……。さっきの人影?確かに怪しいけど、おれが探したかったヤツじゃない。キモデブおじさんは足音がのっしのっしって感じだったが、さっきの曲者は静かな足音だった。
おれは天井を元に戻し、魔法を解除して床に降りる。
「リーフィリア殿、さっきの曲者は一体何者なんだ?」
フロンがおれに詰め寄って聞いてくる。
おれに聞かれてもなぁ。
「知らない。」
「ならば、何故天井裏にいると分かったのだ?」
何故って、ナターシャの部屋に怪しいモノはなかったからワンチャン隠してるかもしれない場所を探ってみただけなんだが……。説明がめんどくさいな。
「精霊が教えてくれた。」
それっぽいこと言っとけ。
「な、なるほどな。」
フロンは納得したようだ。
前にも成功したから成功すると思った。
アテリーはおれの事を尊敬の眼差しで見ている。
ふふん!どうだ!凄いだろう!!
屋敷を調べた結果、変な地下室やキモデブおじさんは存在しないことがわかった。
ナターシャについては怪しい反応を見せたことがあったな。文字を覚えたらナターシャが回収した本を見てみよう。
ひとまず、この屋敷は安全な様だ。
「私とアテリーはしばらくこの屋敷で暮らすことにするわ。」
おれは屋敷の面々に宣言した。
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