夢のナターシャ
感想くれた方、ありがとうございます
これからも感想まってます
この部屋にかわいらしい声が響いた。
「ごめんなさい!!フロン様は何も悪くないんです!!」
おれは声の主である金髪よりの茶髪な小動物メイド─セリアを見る。
「どういうこと?」
おれは神秘的なエルフモードで涙目になっているセリアへと尋ねる。
「私が飲み物に睡眠薬を入れてしまったんです。フロン様やナターシャ様が知ったのは二人が眠ってしまった後なんです。」
ナターシャ……夢の中でおれにトラウマを植え付けたフロンの隣にいる女だ。
「ナターシャやフロンの指示でやったんじゃないの?」
「いいえ………私が勝手に………」
セリアが俯きながら答える。
「どういうこと?さっきのフロンの話と違うんだけど。」
フロンの話ではグランディア聖盾騎士帝国のスパイではないかと疑われたから睡眠薬を盛られたって聞いたぞ。
おれはフロンを見る。
「確かに私は睡眠薬を盛るように指示を出していない。」
「ならなんで最初から言わない?」
「部下が勝手にやった事だから預かり知らぬと言うつもりはないからだ。この事態を予見できなかったのは領主である私の責任だ。」
「グランディア聖盾騎士帝国のスパイ容疑があるって言わなかったか?」
「確かにあった。だが睡眠薬を入れる指示を出していようが、いなかろうがあらぬ疑いを掛けてしまったこと誠に申し訳ない。」
………どうやら本当に、フロンは知らなかったようだ。紛らわしい謝罪をするな!!
「ナターシャは?」
おれは黒よりの青い髪を持つナターシャへ問い掛ける。
「ごめんなさい。私が知ったのもあなた達が眠ってしまった後なの。」
こいつの言うことは素直に信じたくないなぁ。夢のナターシャはキモデブおじさんでわからせようとしてきたし。
まぁ、本当にただの夢なら………。いや、やっぱり許さん。
「セリアはどうして飲み物に睡眠薬を入れたの?」
「それは……私の特異魔法が発動してしまったからなんです。」
「特異魔法?」
おれは初めて聞く言葉に首を傾げる。
「特異魔法とは……」
わからない様子のおれにフロンが説明してくる。
「五大属性魔法で再現が不可能とされている魔法のことだ。」
専門用語を説明すんのに専門用語使うな!!
フロンはそんなおれの意図を読み取ったのか説明を続ける。
「五大属性魔法とは魔力を用いて、火・水・風・雷・土を発生させ、操る魔法のことを指す。」
魔力とか魔法って言葉の意味はおれが勝手に使ってるのと同じっぽいな。
「しかし、中には五大属性魔法とは全く異なる魔法を使用できる者がいる。その者達が行使する魔法を特異魔法というのだ。」
へー
「そこにいるセリアも特異魔法を使うことができる。」
「どんな特異魔法なの?」
おれはセリアへ尋ねる。
「私の特異魔法は水などの液体を薬や毒に変える魔法です。」
それで睡眠薬を作ったのか。
「どうして、その特異魔法を使ったの?」
そう言うと、セリアは申し訳なさそうな顔をして答える。
「私はこの特異魔法を完璧に制御できないんです。」
制御できないなんてことがあるのか……。
「制御できないってことは、近くの水とかを片っ端から薬や毒に変えてしまうってこと?」
「いいえ、いつもは勝手に魔法が発動するなんてことはありません。」
「ならどうして、今回は勝手に魔法が発動したの?」
セリアが暗い表情をする。
「この子、セリアは感情が昂ったりして冷静じゃなくなると魔法が勝手に発動してしまうの。」
ナターシャがセリアに代わって説明する。
「あのときは………」
なんで冷静じゃなかったの?そう続けようとしたとき、部屋の扉が開いた。
「ご要望の物をお持ちいたしました。」
扉から茶髪のお姉ちゃんメイド─サリアが入ってきた。
サリアは大きな袋と二枚の封筒をおれに渡してくる。
袋、結構重いな……。
おれはお姉ちゃんメイド─サリアから受け取った袋を背中のリュックにしまう。
今ここでアイテムボックスの指輪に収納すると、余計にややこしくなりそうだ。
次いで、おれは渡された封筒を見る。
ふ~ん。これが身分証か~。
おれは一枚の封筒を隣にいる銀髪の少年─アテリーに渡す。
アテリーはおれから封筒を受け取ると、新しいオモチャを貰った子どもの様に封筒を上へ掲げる。
お子さまやなぁ。
そういえば、さっき何を聞こうとしたんだっけ?
「リーフィリア殿、アテリー殿、この町に滞在してもらえないだろうか?」
筋肉おじさん─フロンがおれに聞いてくる。
おれは正直、お暇したい。
小動物メイド─セリアの特異魔法がいつ、また発動するかわからない。
何よりナターシャがいるし。
「ごめんなさい。もうこんな事は二度起こさないと約束するわ。」
ナターシャがそう言う。
正直、こいつが一番信用できない。いつナターシャが夢のナターシャになるかわからないのだ。
「リーフィリアさん。もう少しだけこの町を見て回りませんか?」
アテリーが言う。
お前はもう少し警戒心持った方がいいぞよ。
「僕はリーフィリアさんと町を見たいです。」
お前、そういうことは好きな人が出来てからそいつに言ってやれ。
はぁ、しょうがねーな。
「次に何か変な事があったら、すぐにこの町を出るわ。」
「ああ。」
フロンが深く頷く。
「それと、私は軍とかに興味ないから魔法部隊の入隊試験は受けないわ。」
「わかった。」
「それと、もうひとつ。」
「なんだ?」
フロンが尋ねる。
「今からナターシャの部屋含め、この屋敷をチェックさせてもらうわ。」
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