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最後の光景


「おわったぁ! 」

 

 大きく息を吐くとあたしは自室のベッドの上でスマホを手にしたまま伸びをする。

 

 もう一度さっきまで見ていたスマホの画面に目を移すと、

『ノーマルエンドおめでとう! 新しい恋をしますか』

 という文句の下にイケメンのイラストと名前が並んでいる。

 

 

「もう、いいよね」

 呟いてぽすんと枕元にスマホを置いて、枕に突っ伏した。

 

 攻略も三人目ともなると、なかなか辛かった。

 楽しかったけど、コスパ考えたらラノベ買うほうがよっぽどいい。

 お財布にも優しいし、何度やってもノーマルエンドしか見込めないストレスもない。

「きっとこのゲームの世界が現実だったら、差し詰めあたしは庶民の娘で重課金者は貴族やお金持ちの娘ってことになるんだろうな。

 貧乏人のユーザーでごめんね、あたしのアバターちゃん」

 なんて、妙なことを口走る。

 

 三話目ともなると、どこか一、二話目と似通った展開のストーリーを読んでいるうちになんだか眠くなった。

 

 思わず眠りに引き込まれそうになったのに、突然ドアがノックされる。

 

「何? 」

 

 誰なのかは訊かなくても判っている。

 

「あんたの高校、テスト終わったんでしょ? 

 明日、お弁当いるの? 」

 

 ドアは開かずに向こうから声だけする。

 

「いるー 」

 

 母親の問いにあたしは答える。

 

「そう? 

 じゃあ、おかあさん、明日パート早番だから、お弁当自分で作ってね」

 

「え~? めんどぉ」

 

 あたしは思いっきり不機嫌な声をあげた。

 

「何言ってるの? 

 お弁当箱にご飯と冷食詰めていくだけでしょ? 

 あんたの好きなカップグラタンと、かぼちゃコロッケ買っといたわよ。

 嫌ならコンビニで買っていけば? 

 だけど、お弁当代は出さないわよ」

 

 ドア越しにそれだけ言うと、戻っていく足音がした。

 

「はぁ、面倒だなぁ。

 少し早く起きなきゃならないし。

 だけど、お小遣い減るのは痛いなぁ…… 」

 

 呟きながらあたしは布団に潜り込む。

 

「ゲーム、……には明日謝ろう」

 呟いて、あたしはそのまま眠りに落ちた。

 

 

 


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