空手をやってみよう!(2)
今回は短めです。
しかし、流石は運動神経抜群だと言わざる終えない、と博己は思った。
華奢な体からは想像つかないほどの強力な突きを繰り出し、サンドバックが揺れる。
そこから前蹴り、前蹴りと次々と打ち込む…共学の女子というのは案外、男にはか弱い自分というのを見せるそれが一番モテる方法だからだ。
しかし静香は違う、男の前でも全力で物事に取り組むのは博己の目から見ても素晴らしい事だと思うし、好感が上がる。
案外単純な男なのかもしれない。
「どうですか?」
「ああ、短期間で教えたとは思えないほどの綺麗さだ」
「綺麗?うふふ、やっぱり博己様は私のことが好きなのですね?」
「違うよ?」
「え?」
数時間前にもやったやり取りをまたする二人、博己はぷっっと吹き出したが優子の方はあまり意味が分からず?を浮かべている。
「いや、すまんすまん…あっそうだ、組手しないか?」
組手…その単語を呟いた瞬間、静香から博己の顔の横に蹴りが繰り出され、紙一重でそれを博己が避ける。
「おい?どうした」
「……れ……る」
「え?」
静香が小声で何か言ってるみたいで、博己は顔を近づける。
静香は目に光が無い状態でこう語っていた。
「触れる触れる触れる触れる博己様の全てに触れる触れる」
瞬間、博己を掴もうとすごいスピードで四方から手が繰り出される。
こんな訳の分からん技覚えさせてないぞ?と博己は困惑する。
「四面楚歌か」
といっても博己の方が空手を長くやっている、この技は師匠で見たし避ける方法も教えてもらった。
博己は一つ一つ、手で払いのける。
「そうだな、俺に一本でも取れたらハグでもしてやろうか?」
「は…ぐ?」
そう博己が言うと、優子はもっと加速する。
「ハグ…!ハグ…!」
「おっと危ねぇ!どこ触ろうとしてんだ!」
今さっき確実に股間触ろうとしてきたよな?
そう優子の目線はもう博己の股間しか目に入ってなかった。
「違いますよ?違いますよ?私は博己様のことが好きなのでもう全身くまなく触りたいのです」
「そうか、そうか…乳首を摘もうとするなっ!」
もう空手の要素がなくなってきたので、博己は一発優子の顔の横に蹴りを寸止めで食らわし、目を覚まさせた。
いや、正確には優子は気絶した。
「きゅう」
「あ、やっちまった…大丈夫か?四月一日…なんで幸せそうなんだ?」
博己が頭をかきながら優子の顔を覗き込む。
そこには目をハートにさせた優子のだらしない顔がそこにはあった。
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