ボランティアをしてみよう!(3)
春分祭翌日。
貴樹と、博己が校門の前でビラ配りを始める。
いつのまにかボランティアに参加していた優子も博己の隣でとびっきりの笑顔でビラ配りをしている。
すごい美少女が校門の前でいると噂を聞きつけ、中学生から大人まで優子のビラを受け取りに来ていた。
「すごい数だな」
「そうですね…」
正直言って博己は人混みはあまり好きでは無い。
正直言って鬱陶しいからだ。
「さすが、学校三大美女の一人…と言ったところか」
「ええ、これは過去最高なのでは?」
同じ風紀委員会でのボランティアに参加している委員たちが噂をし始める。
学校三大美女、恋愛ごとや美女に無頓着な博己でも知っている学校の美少女たち。
実はそこにリンカ先生も入っているのだ。
博己のちょっと離れた正面にリンカは居て、マスコットみたいな役割をしている。
三大美女の二人がいるだけでも巨大な宣伝だ。
しかし、そんなことを知らずに可愛いからというだけで近寄る身の程知らずな男たちもいるわけであり。
「ねーねーちょっとこんなのサボってさ、俺たちと一緒にあるこーよ」
と、いかにもヤンキーみたいな男たちが近寄ってくる。
風紀委員たちの空気が一瞬凍る。
そう、委員長である貴樹はこういった輩が大嫌いな故、すぐに暴力沙汰をおかす。
そのために博己がそばにいるようなもんだ。
「ごべらっ!」
男の骨が軋む音がする、そしてその場に膝をつき倒れ込んだ。
えらいこっちゃ、そう博己は頰に一筋の汗をかく。
御察しの通り、博己が貴樹を制止させる前に目にも留まらぬ突きを相手の男の腹にぶち込んだ。
博己は貴樹の顔を見る。
すまし顔で、自分何も関係ありませんよというか顔をしている。
バレなきゃいいなんて思っているのだろうか。
「……先輩」
「なんだ?」
「取り敢えず保健室に急患として運んであげてください」
お前がやったんだからちゃんと片付けろと博己は目で訴えた。
その意図が貴樹にも伝わり、大きくため息を吐いた後で男を担ぎトボトボと保健室へ運んで行った。
「まったく…あ、優子大丈夫か?」
「ええ、でも一体何が起こったんですか?」
「……知らなくていい」
優子はあれから毎日、博己と空手の稽古をしていてその実力を着実に伸ばしてきたのだが、そんな優子でもさっきの攻撃は見えなかったらしく、男が急に苦しみだして目の前で倒れたぐらいの認識しか無かった。
◇
とある廃墟の一部屋、そこにはとある男たちがたむろしていた。
柄の悪い男たちが何やらと話し込んでいた。
「あのクソメガネをぶっ殺さねえと気がすまねえ!」
怒号を発するのは、不良グループのリーダー格である後藤。
その後藤を取り囲むように、取り巻きたちが頷いていた。
後藤の怒りはもちろん貴樹に向けているものだ。
彼らは数日前、公共施設の壁にスプレーで落書きをしていた、その大きいのか小さいのかよく分からないイタズラを貴樹が発見し、止めようとしたら彼らは逆上して貴樹に20人がかりで襲いかかった。
しかし結果は、不良グループの惨敗。
それ以来一人に数人で襲いかかって負けた雑魚というレッテルを貼り付けられ、日々敵対勢力に喧嘩を売られる羽目になったのだ。
かといって彼らは弱くは無い、逆にこの地域一帯を牛耳る代表的な不良グループで有名だった。
だからこそ許せない。
彼らは徹底的に貴樹のことを調べ上げる。
そして、今日春分祭当日。
「ぶっ壊すぞ!お前ラァ!」
後藤は腹から声を出す。
それに呼応するかのように取り巻きたちの士気も上がる。
人数も前より補充してある。
その数およそ50人強。
負ける気がしない。
後藤はそう確信して口角が上がる。
しかし彼らは知らない。
貴樹と同等の力を持つ最強の男がもう一人いることを。
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長い間放置して申し訳ない。
ちょくちょく頑張るから生暖かく見守っててください!
それと、学校の名前がどうしても思いつかないから募集してもよろしいか?
なんかいいアイデアがあれば感想欄にてお願いします…(他力本願)