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戦地へ

 松田の話が終わった頃、列車は日本海に面する大きな港町に到着した。日が西に沈む。汽車からは背嚢を背負った男たちが出て行く。彼らのほとんどは近くの者と談笑していた。話題は深く愛する女性や、故郷のことについてであった。

 各分隊の長が集合と号令すると兵たちは私語を止め己の属する隊へと走った。彼らは点呼を取られた後に港へと向う。

 住人は町の大通りを進む部隊を見物している。その多くが小旗を振り、将兵に激励の声をかけている。敵は幾万ありとても、全て烏合の勢なるぞ。と軍歌を歌う者もあった。

 部隊が目的地に到着した時、既に空には日がなかった。士卒の眼前には一千トン級の輸送船があった。古い船である。至るところが錆び付いていた。

 タラップが下ろされ、士卒は船へ乗り込んで行く。住民は彼らを見送る。

 満天の星が瞬き、海面がキラキラと輝いている。将兵は皆、もう二度と祖国の地を踏むことはないかもしれないと心の中で一人ごち、各々忘れがたき様々な思い出を頭に浮かべた。

 船は多くの立派な士を乗せ祖国日本を後にした。

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