受験生日記
0600 枕元に置いた目覚ましの音により起床。今日も睡眠時間は3時間と短いが、試験が近いのだから文句を言ってもいられない。
0605 別の目覚ましの音により再び起床。危うく二度寝をするところであった。
0615 また別の目覚ましの音でようやくベッドから這い出る。いい朝だ。カーテンを開けるとベランダでカラスと黒猫が睨み合っていた。
0620 机に向かい数学の参考書を開く。昨日の夜に解いた問題を一つ一つ見直していく。
0720 目覚ましの音で起床。
0725 リビングでコーヒーを入れる。瓶入りなので誤字ではない。
0726 謝って一気飲みした醤油を吐き出す。瓶のラベルを見ると大きく亀甲模様が書いてあった。疲れているのだろうか。
0730 買い置きしてあったパンを胃に入れると自室に戻り化学の参考書を開く。朝は記憶力が良く働くらしいので、有機無機の基礎を叩き込むことにする。
0830 有機と無機の定義を理解した。やはり基礎は大事だ。続けて英文法の基礎を学ぶ。
0950 英語の成り立ちから現在までの変遷を知った。時代が変われば言語も変わる、重要な事だ。
1000 小休止を挟み数学の基礎を学ぶ。
1100 円周率を千桁程計算した所で一息入れ、気分転換に近くを散歩する。
1500 コンビニで雑誌を立ち読みしていたらいつの間にか昼過ぎになっていた。慌てて帰宅する。
1510 時間をきっちり計り志望校の過去問に取り組む。試験時間は80分。集中力を切らさないように今から訓練しなくては。
1520 母に呼ばれたのでリビングでケーキを食べながら昼ドラを観る。どろどろの三角関係に心が躍る。
1600 反省。
1630 集中力を必要としないリスニングの勉強に切り換える。コンポのリモコンを手に取り、スイッチを入れる。
1631 謝ってビデオを操作してしまったようで、入れっぱなしにしていたテープに収録されていたアレなアレが大音量で再生された。
1700 死にたい
1800 妹と母親の蔑みの視線から立ち直り、改めて机に向かう。俺はロリじゃない、あれは友人のものだ。
1830 隣の妹の部屋から男の声が聞こえたので、参考書を放り出して壁越しに盗聴する。
1835 …………。
1840 …………。
1845 ……動いた!
1850 ……近頃の子供は進んでるなぁ。
1855 ……そ、そんなことまで!?
1900 ……この壁の向こうでは今一体どんな光景が……!
1905 ……とうとう……っ!ええい、もう我慢出来ん!
1906 窓の外から覗こうとした所で足を踏み外してベランダから落下し、腰を強打する。
1907 痛みに身動きが取れないところへ二階から投げ付けられた椅子が頭部を直撃し意識を失う。
2123 意識が戻るが、体が冷え切っていてうまく動かない。
2130 這うようにして風呂場へ移動。鏡を見ると首から上が血で真っ赤だった。よく生きていたものだ。
2200 風呂から上がったところで今日はまだろくに食事を取っていない事に気付き、リビングに向かう。
2202 冷蔵庫の中は空だった。今日の夕食は外食だったらしい。
2205 カップラーメンを啜っていると父に『勉強はいいから就職してくれないか……?』と真顔で冗談を言われる。
2220 長い冗談だ。
2230 『お前より麻美の将来の方が大事なんだ』という台詞で一先ず話は終わった。明日も続くらしいが。
2300 体調が優れないが、試験が近いので無理を押して勉強する。
2500 フェルマーの最終定理の証明への足掛かりが出来たところで切り上げ、何か飲もうかとリビングへ降りる。
2501 自室に戻る。俺は何も見なかった。
2502 ドアが激しく叩かれるが、鍵を閉めて必死に立て篭もる。今顔を出したらきっと消さr
2530 きょうもふだんどおりのいちにちだッタ。あしタカラもこのちョウしデガんばりたいトオモう。
この物語はフィクションです。作者の実体験などは一切含まれておりません。
どんな種類のものであろうとテスト前って精神が不安定になりますよね。
それが部屋の掃除や散財に向かうのならまだいいのですが、一度クリアしたゲームを再びやり直すという癖を持つ私はかなり致命的だと思います。
……ハードごと売ってしまえば解決するんでしょうが、手放せないんですよねえ……