第6章:Cランク昇格試験と、王都「劇的」ビフォーアフター
第6章:Cランク昇格試験と、王都「劇的」ビフォーアフター
「中途採用……失礼、Dランク冒険者の盆栽です。本日は昇格試験と、王室より賜りました『修繕工事』の件で参りました。本日もポチ共々、定時まで誠心誠意努めさせていただきます」
ギルドの面接室。盆ちゃんは、アイロンの効きすぎたシャツの襟を正し、履歴書(アダマンタイト製・厚さ3センチ)を机に置いた。試験官のベテラン冒険者たちは、その履歴書が放つ重圧で机がミシミシと悲鳴を上げていることに冷や汗を流している。
(主よ。その履歴書、鑑定官が読む前に『物理的な重み』で精神を削られているぞ。あと、ポチの私が横にいるだけで、隣の部屋で試験を待っていた受験生たちが『野生の直感』で次々と棄権届を出している。もう少し手加減してやってくれ)
【前半:Cランク昇格試験・討伐依頼】
試験内容は、北の平原に居座る巨大な魔獣【グランド・ベヘモス】の討伐だった。山のような巨体で大地を踏み荒らす、Aランク相当の災害指定個体である。
「なるほど、害獣駆除ですね。確かに、公共の平原をあのように踏み荒らすのは、近隣住民の皆様への配慮に欠けます。早急に『立ち退き』をお願いしましょう」
現場に到着した盆ちゃんは、逃げ惑う騎士たちを尻目に、おもむろに「ハエ叩き(神界の害虫駆除具)」を取り出した。柄は【雷神の腱】、網目は【次元の鎖】で編まれている。
「少々、手荒になりますが、ご容赦を。——エイッ(丁寧)」
シュパァァァン!!
空間が爆ぜた。盆ちゃんが軽く振り下ろした「ハエ叩き」がベヘモスの脳天を捉えた瞬間、魔獣の質量は一瞬で「原子レベル」まで圧縮され、そのまま地面に深さ1キロの穴を穿って消滅した。
「よし、これで平原の景観も保たれますね。あ、穴は後で埋めておきます」
(主……。今ので、大陸のプレートが3ミリほどズレたぞ。おまけに、消滅した魔獣の残滓が『高純度肥料』に変換されて、平原が秒速で『世界一の穀倉地帯』に変わりつつある。受験生がやっていい規模の仕事ではない)
【後半:王室指名依頼・王都城壁修繕】
昇格試験(という名の天変地異)を秒速で終えた盆ちゃんが次に向かったのは、王都を囲む全長数十キロの巨大な城壁だった。長年の戦火と風雨で、石材にはヒビが入り、魔法障壁も出力が低下している。
「ほう……。これはまた、年季の入った物件ですね。耐震構造にも不安がありますし、何より『防犯意識』が低すぎます。これでは不審者(魔王軍)の侵入を許してしまいますよ」
盆ちゃんは、現場監督のような鋭い目つきで城壁を見つめ、腰の小袋から「左官セット(神の創造道具)」を取り出した。
「ポチ、私は壁面を担当します。貴方は城門の『建付け』を確認してください。傾いていると縁起が悪いですからね」
「ワオン(了解だ。……この城門に私の牙を一本混ぜておこう。これだけで、神界の門番ですら開けるのに百年かかる『鉄壁』になるだろうな)」
盆ちゃんは、神界の漆喰をバケツにたっぷり作ると、それを魔法のように壁に塗り広げていった。
『システム・オプティマイザー:構造強化を開始』
『分子構造を「絶対不可侵結界」と統合。反射率を「因果応報100%」に設定』
盆ちゃんがコテを走らせるたび、古ぼけた石壁は、白銀に輝く未知の金属質へと変貌していく。
「仕上げに、この『ガードマン(自律型防衛ガーディアン)』を門に添えておきましょう。盆栽の松を模したデザインなので、風情もありますよ」
盆ちゃんが門の横に置いた小さな「松の盆栽」。しかしそれは、王都に敵意を持つ者が近づいた瞬間に、超高出力の浄化レーザーを放つ「神罰兵器」であった。
報告:王都が驚愕した「規格外の要塞化」
翌朝、王都の住民と王族は、自分たちの住む街が「別の何か」に変わっていることに気づき、腰を抜かした。
1. 物理的な無敵化:【世界一安全な引きこもり都市】
王都を囲む城壁は、いまや核爆発ですら傷一つ付かない「概念的障壁」へと進化していた。壁に触れた敵対者は、その瞬間に「自分の犯した悪行の記憶」を強制的に見せられ、改心して自首したくなるという、精神的・物理的の両面で隙のない要塞となったのである。
2. インフラの超進化:【城門の自動改札化】
盆ちゃんが「建付けを直した」城門は、入る者の善悪を瞬時に判別し、悪意を持つ者は異次元へと自動的に転送する「自動改札機能」を搭載。さらに、門をくぐるだけで肩こりや持病が治るという副作用まで付与され、王都の医療費はゼロになった。




