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異世界盆栽無双  作者: 盆ちゃん


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第5章:随行調査は命がけ —— 国家予算級の「修繕工事」

第5章:随行調査は命がけ —— 国家予算級の「修繕工事」

「……失礼いたします。本日、現場への同行を仰せつかりました、中途採用……あ、新人冒険者の盆栽でございます。こちら、弊社……いえ、私のパートナーのポチです」

王城の謁見の間。盆ちゃんは、国宝級の絨毯を汚さないよう、つま先立ちに近い慎重な歩みで入室し、正確無比な角度で一礼した。

(主……。貴方のその丁寧な会釈だけで、空間が歪んで王宮の防御結界にヒビが入っているぞ。あと、王様が恐怖で失禁しかけているから、もう少し覇気を抑えてくれ)

ポチは銀色の毛並みを整え、置物のように静止していた。

盆ちゃんの目の前には、王都最強と謳われる第一騎士団長・ゼノスと、王室筆頭魔導師のセリアが、戦場に赴くような重装備で立ち尽くしていた。

「盆栽殿……。貴殿のこれまでの『業績』は聞き及んでいる。今回の依頼は、王都北方に位置する【嘆きの絶壁】の調査だ。そこにある古代の結界が経年劣化で崩落しかけており、魔界の瘴気が漏れ出している。……我々が護衛に付く。心してかかれ」

ゼノス団長は、震える手で剣の柄を握りしめていた。彼には見えていたのだ。盆ちゃんの背後に、宇宙の理を司る巨大な影が聳え立っているのが。

「経年劣化! それはいけませんね。定期的なメンテナンスは建物の基本です。では、さっそく『修繕』に参りましょう。ご同行、心強い限りです」

【現場:嘆きの絶壁 —— 世界を隔てる巨大な壁】

そこは、人間界と魔界を隔てる高さ数千メートルの巨大な断崖だった。壁面には無数の亀裂が走り、そこから噴き出す黒い瘴気が、周囲の生命を枯らしている。

「ほう。これは……かなり『コンプライアンス』に欠ける状態ですね。安全性に重大な懸念があります」

盆ちゃんは眉をひそめ、持参した「水平器すいへいき」を取り出した。

それは、かつて創造神が宇宙の地平線を引く際に用いたという【理の定規ロゴス・ルーラー】。

「団長さん、少々足元が揺れるかもしれませんが、作業の邪魔にならないよう、そこで見ていてくださいね。ポチ、安全確保をお願いします」

「クゥーン(御意。……周辺の魔王級モンスターは、私の殺気で全てチリにしておいた。心置きなく『日曜大工』を楽しむがいい、主よ)」

盆ちゃんが壁面に水平器を当てた瞬間、世界が**「静止」**した。

「……あ、少し傾いていますね。これでは重心が安定しません。失礼して、一度『土台』から直させていただきます」

盆ちゃんは、おもむろに絶壁の基部に手を添えた。

そして、重たい家具を動かすかのような気軽さで、大陸そのものを数センチほど「ズラした」。

ゴォォォォォォォン!!

地球の裏側まで響くような重低音。

同行していたゼノス団長とセリアは、あまりの衝撃に言葉を失った。彼らの目には、盆ちゃんの背後に「巨大な神の腕」が現れ、傾いた世界を無理やり矯正したように見えたのだ。

「よし、これで水平は取れました。あとは、このヒビを塞ぎましょう。パテ代わりに、これを使います」

盆ちゃんが取り出したのは、自宅の庭で練ってきた「泥(神界の粘土)」だった。

それを丁寧に、しかし確実に亀裂へと塗り込んでいく。

『システム・オプティマイザー:因果修復を開始』

『世界の欠損部を「永劫不滅の真理」で充填。防御力を「無限」に再定義』

「……嘘でしょう? 伝説の『聖者の涙』でも防げなかった魔界の瘴気が、あんな……ただの泥遊びで消えていくなんて……」

魔導師セリアは、魔力測定用の水晶が自分の目の中で粉々に砕け散る幻覚を見た。盆ちゃんが塗っているのは「泥」ではない。それは**「世界のルール」**そのものだった。

「はい、完了です。最後に仕上げのワックスがけをしておきましょう。これで雨風にも強くなりますよ」

盆ちゃんが布で壁をキュッキュと磨くと、絶壁は鏡のように輝き、魔界からの攻撃を100%反射する「絶対反射障壁」へと変貌を遂げた。

調査報告:王室が震えた「2つの規格外」

帰還後、騎士団長と調査官から提出された報告書には、以下のような信じがたい内容が記されていた。

1. 「修繕」の域を超えた再定義

「嘆きの絶壁」は、もはや壁ではなくなった。盆栽殿の手により、その存在自体が**「魔界からの侵入を物理的に不可能にする、高次元の断絶」**へと書き換えられた。今後数億年は、メンテナンス不要。いや、魔界側からすれば、壁に触れた瞬間に存在が消滅する「処刑台」へと進化したと言わざるを得ない。

2. 随行員の「精神汚染」

同行したゼノス団長は、盆栽殿の「丁寧な一挙手一投足」を目の当たりにした結果、「我々がこれまで磨いてきた武技は何だったのか」と絶望し、騎士団を辞して「盆栽教室」への入会を希望している。魔導師セリアに至っては、盆栽殿が使った「泥」の残りを回収しようとして、その神聖な波動に当てられ、知能が一時的に幼児退行するほどの衝撃を受けた。

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