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異世界盆栽無双  作者: 盆ちゃん


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第20章:世界に「残業」はなくなった —— 全種族合同・有給休暇のススメ

第20章:世界に「残業」はなくなった —— 全種族合同・有給休暇のススメ

 「盆山ホールディングス」の設立から数ヶ月。

 世界から紛争は消え、魔物は定時に退勤し、天使たちはコンプライアンス遵守の監査に励んでいました。

 すべてが最適化された結果、魔王城の会議室では異様な光景が広がっていました。

「……盆山殿。報告がある」

 最高顧問となった魔王が、深刻な顔で盆ちゃんにタブレットを差し出しました。

「昨日の業務進捗率が**12,000%**を超えた。午前9時5分の時点で、大陸全土の全業務が完了してしまったのだ。……その後、全社員が『やることがない』と、虚空を見つめて座っている」

 監査役の大天使ミカエルも、疲れた顔で頷きます。

「天界も同じです。祈りの処理が速すぎて、神々が暇を持て余し、雲の上で延々と『石積み』を始めています。これは……精神衛生上、非常に危険な状態です」

 盆ちゃんは、眼鏡を静かに拭き、深く頷きました。

「……いけませんね。これは私の計算ミスです。仕事が効率化されすぎて、皆様の**『余暇』**が余りすぎています。生きる目的が『効率』だけになっては、人生という名のプロジェクトは失敗です」

【新プロジェクト:全種族合同・大運動会】

 盆ちゃんは即座に、全大陸・天界・魔界へ同時に通知を送りました。

【盆山グループ報:号外】

本日より一週間、全次元において**『一斉有給休暇』を義務化します。

併せて、種族の壁を超えた「全種族合同・大運動会」**を開催いたします。

※ 参加しない者は「残業」を命じます。

「残業」という言葉に震え上がった全種族が、盆ちゃんが最適化した特設会場「エリュシオン・スタジアム」へと集結しました。

【競技種目:全力の「遊び」の最適化】

 盆ちゃんは、遊びにおいても「妥協」を許しません。すべての競技には、神界のテクノロジーを用いた「公平性の最適化」が施されました。


種目名:参加者:内容・ルール


1.超重力パン食い競走:魔王 vs 大天使:ベルゼルスの重力下で、天界の秘宝「無限あんぱん」を食す。

2.書類整理リレー:勇者アレス vs 四天王:走りながら、散らばった1万枚の魔導書類を完璧にファイリングする。

3.マナー1000本ノック:全受講生:盆ちゃんが放つ「名刺」を、笑顔で受け取りつつお辞儀を返す。


「魔王様! パンを掴むのは反則です! 口だけで……そう、あともう少し腰を落として! 効率的な咀嚼を意識してください!」

「ミカエル様! 羽根を使っての飛行は禁止です! 二本足で走ることで、大地への感謝(接地圧)を最適化するのです!」

 盆ちゃんの怒号(丁寧なアドバイス)が飛び交う中、神も魔王も勇者も、かつて殺し合っていたことを忘れ、ただ「パンを食べる」「バトンを渡す」という行為に、かつてない情熱を注いでいました。

【幸福の最適化方程式】

 盆ちゃんは、熱狂するスタジアムを見つめながら、手元のノートに一つの数式を記しました。

\text{Happiness} = \int_{work}^{rest} (\text{Efficiency} \times \text{Uselessness}) dt

「仕事(Efficiency)だけでは足りない。全力の無駄(Uselessness)を掛け合わせてこそ、人生の幸福度は最大化されるのです」

【エピローグ:盆ちゃんの「定年」】

 運動会が終わり、夕焼けがスタジアムを染める頃。

 盆ちゃんは、秘書のミナに一通の封筒を差し出しました。

「……盆栽さん、これって……」

「はい。私の**『退職願』**です。……この世界は、もう私が手を加えなくても、皆様の手で十分に美しく、快適に回っていきます」

「ええっ!? 辞めちゃうんですか!? 盆山ホールディングスはどうするんですか!?」

「アリア部長、セフィラCFO、そして四天王の皆様に任せます。……私は、ポチと一緒に、少し長い『有給休暇』を取ろうかと思いましてね」

 盆ちゃんは、ポチの首を優しく撫でました。ポチは「ワオン(やっとか。……お前の『丁寧な生活』に、世界が追いつくのを待つのに疲れたぞ)」と短く吠えました。

「……行きましょうか。どこか、まだ少しだけ『散らかっている』世界があるかもしれませんから」

報告:第20章(完)の結末

1. 盆山商事の継承:

魔王と大天使が共同経営を行い、世界は「平和という名のルーチンワーク」に包まれた。勇者アレスは、盆ちゃんの意思を継ぎ、各地の「マナー違反」を正す旅へ。

2. 盆ちゃんの行方:

彼はどこへ消えたのか。……今でも、どこかの世界で「丁寧なお辞儀」と共に、不可能な奇跡を起こす眼鏡の男と柴犬の目撃証言が絶えないという。

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