第16章:最後にして最速の監査役 —— 四天王ソロンと「魔王城へのアポ取り」
第16章:最後にして最速の監査役 —— 四天王ソロンと「魔王城へのアポ取り」
盆山商事の魔界支社が軌道に乗り、大陸全土に「挨拶の衝撃波」が響き渡る中、ついに魔王軍最強の知性が動いた。
ある日の午後。盆ちゃんのオフィス(元・地下墳墓)の空間が、鏡のようにパリンと割れた。
現れたのは、無数の魔導書を浮遊させ、モノクル(片眼鏡)を光らせる細身の男。四天王最後の一人、冥府の執政官ソロンである。
「報告によれば、我が同胞たちが次々と『丁寧な暮らし』に毒されているという。……ベルゼルス、カーミラ、バルカス。魔族の誇りを捨て、何がイチゴオレだ。何が保線作業だ。私がこの世界の『論理エラー』を修正してやろう」
「おや、珍しい。事前予約なしのシステム監査ですか?」
盆ちゃんが、一切の動揺を見せず、淹れたてのコーヒー(飲むとIQが200上がる聖水)を差し出した。
【論理対決:古の魔導 vs クラウド管理】
「人間よ、貴様の術式は解析させてもらった。……なっ、なんだこの『最適化』という術式は!? 構造が美しすぎて、私の魔導理論が……ゲシュタルト崩壊を起こしていく……!」
ソロンが放った「神速の解呪」を、盆ちゃんは「マウスホイールを転がす」程度の指の動きで無効化した。
「ソロンさん。貴方の知識は素晴らしい。ですが、データの『ローカル保存』が多すぎますね。その浮遊している魔導書、全部インデックスを貼ってクラウド化(神の記憶領域へ移行)すれば、もっと身軽になれますよ」
「ク、クラウド……? 知識を共有するだと? 秘術とは秘匿されるべき——」
「知識は共有してこそ『価値』が生まれるのです。……アリア部長、ソロンさんの能力を鑑定してください」
人事部長のアリアが、冷徹な目でソロンをスキャンした。
「代表。彼は『情報管理』と『システム運用』に長けています。我が社の慢性的な『ペーパーレス化の遅れ』を解決する、最高の**CTO(最高技術責任者)**になりますね」
【アポイントメント:魔王様とのWEB会議】
ソロンは、盆ちゃんが提示した「全大陸魔導ネットワーク構想」という名のプレゼン資料を見た瞬間、魔法使いとしての知的好奇心が爆発した。
「……私の……私の数千年の研究が、貴殿の『スプレッドシート』一枚に収められてしまった。完敗だ。……盆山殿、貴殿は何者なんだ」
「ただの、整理整頓が好きな会社員ですよ。さて、ソロンさん。四天王の皆様が揃ったところで、一度トップ(魔王様)とお話ししたいのですが、**Googleカレンダー(魔界版)**で空いている時間はありますか?」
「ま、魔王様にアポを!? ……分かった。仲介しよう。だが、魔王様は気が短い。プレゼンが3分を過ぎれば、城ごと消されるぞ」
「ご心配なく。私は『結論から話す』タイプですので」
【転回:人材の枯渇と「盆山アカデミー」の着想】
魔王とのアポイントを取り付けた日の帰り道。盆ちゃんは、街でモンスターに追いかけられ、マナーも技術もボロボロの新人冒険者たちを見かけた。
「……ソロンさん。今の魔界、そしてこの人間界も、『教育』の根幹が揺らいでいませんか? せっかくインフラ(線路や物流)を整えても、それを使う側の『リテラシー』が低すぎます」
「確かに。魔王軍の兵士も、最近は『力こそパワー』と叫ぶだけの脳筋ばかりで、報告書すら書けぬ有様だ」
盆ちゃんは、眼鏡をクイと押し上げた。
「決めました。魔王様との面談での議題は一つ。**『産学連携による、次世代ビジネスパーソン育成機関』**の設立です」
「……え、魔王様と教育の話を!? 戦争の話じゃなくて!?」
「ミナさん、大至急『教育事業部』を立ち上げます。社名は**【盆山アカデミー】**。対象は人間、魔族、問いません。世界中の『伸び悩んでいる人材』を、一から叩き直しますよ」
報告:第16章の「規格外な変貌」
1. 四天王ソロンの合流:
盆山商事の**CTO(最高技術責任者)**に就任。魔術言語をバイナリ変換し、大陸中に「魔導Wi-Fi」を飛ばす工事に着手。
2. 魔王城への招待:
四天王全員が盆ちゃんの部下になったことで、魔王が「私だけボッチじゃないか」と寂しがっているという情報が入る。
第17章 予告:盆山アカデミー開校! 魔法より先に「名刺」を投げろ
ついに開校した盆山アカデミー。
最初の生徒は、落ちこぼれの魔術師、やる気のないエルフ、そして「もっと強くなりたい」と願う下級悪魔たち。
盆ちゃんの最初の授業は、伝説の魔法でも剣術でもなく、「1000回ノックと、1000回の名刺交換」。
「挨拶一つでドラゴンを黙らせる」という、最強のビジネスマナー格闘技がここに誕生する!




