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真桃太郎演義  作者: さばさば


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第13話

森の奥。


猿は、木の根元に座り込み、

肩で息をした。


「へへ、ここまで来れば

もう追ってこないだろう」


「……これでいい」


「これが正しい。

他人は信じちゃいけないんだ」


何度も、そう呟く。


だが、心は落ち着かなかった。



昔、猿には群れがあった。


彼は知恵があり、

動きが速く、

鬼の罠も見抜けた。


皆に頼られ、

感謝された。


「お前は本当に頼りになる。」


猿はみんなのために、

知恵の限りを尽くした。



あるとき、

群れが鬼に襲われた。


群れは恐怖に包まれた。


「みんな!

大丈夫だ。

この日のために用意してた

とっておきの作戦があるんだ」


猿は言った。


「おー、あいつの作戦なら大丈夫だ。

みんな、あいつの言う通りにしよう!」


猿は、

自分が考えた最善の策で

みんなを守り抜き、

鬼からの被害を最小限に食い止めた。



しかし、

命を落とす者も0ではなかった。

猿もかなりの深傷を負った。


鬼が去り、

仲間の猿が言ったことは

感謝の言葉ではなかった。


「お前のせいで

あいつは死んだ。

あいつも死んだ。

どうしてあの状況で

あの作戦にしたんだ。」


猿の作戦は

素晴らしいものだった。

しかし完璧ではなかった。


仲間達は猿を人殺し扱いした。


「み、みんな...

へっ、悪かったな。

でもよ、俺の作戦に乗った

みんなにも責任あるんじゃねえか?」


猿は引きつった

笑みを浮かべながら言った。


「こ、この野郎!

開き直るのか!

お前のせいで死んだ奴が

たくさんいるんだぞ!

お前なんか出てけ!」


仲間の猿が言った。


「へっ、

言われなくても出てってやるよ。

あばよ。」


猿は逃げた。

悔し涙が止まらなかった。



数日後、群れは再び鬼に襲われ、

全滅した。


猿は仲間達の死体を

見ながら、呆然と立ち尽くした。


「...へっ、

だから言ったじゃねえか。

俺の言うこと聞いてりゃ

よかったんだよ」


猿は泣いた。

泣き崩れた。


「俺は...

俺はどうすりゃよかったんだよ。」



猿は桃太郎達のことを

思い出していた。


「あいつら、

やっぱやられちゃっただろうな」


汚れの無い、

桃太郎の真っ直ぐな目に、

猿は心を奪われ掛けていた。


「おいおい、

人を勝手に殺すなよ」


猿は驚いて、

後ろを振り返る。


桃太郎が笑顔で立っていた。

後ろに虎もいる。


「い、生きてたのか。

へっ、なんだよ。

裏切り者を始末しにきたのか?」


猿は、

強がった笑みを浮かべながら言った。


「そんなんじゃない。

お前を仲間にしたくて

探してた。」


桃太郎は優しく微笑みながら言った。


「は?

俺はお前達を裏切ったんだぞ」


「そうだな。

でも...お前は本当はいい奴だ。

目を見ればわかる。」


「え?」


驚いた表情で猿が言う。


「過去になんかあったんだろ?

あえて聞かないけどさ。」


「...」


猿は下を向いたまま喋らない。


「俺は絶対仲間を見捨てない。

裏切られても見捨てない!」


桃太郎は力強く言った。


猿は、その言葉に

衝撃を受け、

顔を上げた。


「裏切られても見捨てない...だと?」


「ああ、

そしてお前は、

もう2度と俺たちを裏切ることはない。

俺には分かる。」


猿の目から、

自然と涙が溢れる。


桃太郎は腰袋から

きび団子を取り出した。


「これを食べてくれ。

お前の中に眠っていた力が目覚める。」


「...」


猿は無言できび団子を受け取り、

口の中に入れた。


その瞬間。


世界が、変わった。


焚き火の火の揺れが、

風の流れと連動して見える。


遠くの足音。

葉の擦れる方向。

地面の傾き。


全てが線で繋がる。


「す、すげえ。

なんだこれ。

周りの状況が手に取るように分かる」


驚きながら猿が言った。


「へー、

状況判断ができる力か。

いいじゃねえか。

その力で最善の策を考えてくれよ!

俺はお前を信じる。」


「ああ、

任せてくれ。

もう2度とお前たちを裏切らない。

約束する。」


猿にもう迷いはなかった。

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