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無能扱いされた領主ですが、部下が優秀すぎて最強領地になりました ~切り捨てない統治は、才能だけを残す~  作者: 山奥たける


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第16話 役に立たない者

 その男は、役に立たなさそうだった。



 門番が首を傾げたのも、無理はない。


「……仕事を探している?」

「はい」


 背は低く、体格も貧弱。

 腰に道具はなく、名乗りも簡素だ。


「何ができる」

「特には」


 正直な答えだった。



 男は、元雑用係だった。


 王都の施設で、

 壊れた物を運び、

 汚れた床を拭き、

 誰の目にも留まらない仕事を続けていた。


 ある日、改革が行われた。


 効率化。

 役割整理。

 成果主義。


 最初に消えたのが、彼だった。



 城に入っても、男は何もしなかった。


 いや、正確には

 「何かを任されるまで、何もしなかった」。


 誰かが呼べば、来る。

 頼まれれば、やる。


 それだけ。



 三日目。


 参謀が気づいた。


「……あの男、いつも同じ場所にいるな」

「そうか?」


「人の動線だ。

 必ず、詰まる場所に立っている」


 倉庫前。

 工房の出入り口。

 配給所の裏。


 誰かが困る少し前に、そこにいる。



 五日目。


 魔道具職人が、ぽつりと言った。


「最近、作業が止まらない」

「何か変えたのか」

「いや……邪魔が減った」


 誰かが、先回りして物をどかしている。

 詰まりを解消している。


 目立たず、

 名も残さず。



 夕方、参謀は領主に報告した。


「新参の男ですが」

「どうした」

「……役に立っています」


 領主は、顔を上げた。


「そうか」

「評価しますか」

「しない」


 参謀は、少しだけ驚いた。


「理由は」

「評価すると、役割が固定される」


「彼は、それを望んでいません」

「……分かっている」



 夜。


 男は、いつものように壁際に立っていた。


 誰にも呼ばれない。

 だが、誰も困らない。


(……ここは、静かだ)


 命令がない。

 成果も数えられない。


 それでも、

 追い出されない。



 翌朝。


 門番が声をかける。


「まだ、いるのか」

「はい」


「仕事は?」

「……あります」


 門番は、それ以上聞かなかった。



 城の灯りは、相変わらず少ない。


 だが、消えもしない。


 無能と呼ばれる領主の城では、

 役に立つ者より先に、

 役に立たなさそうな者が、

 静かに根を下ろしていた。



本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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