表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無能扱いされた領主ですが、部下が優秀すぎて最強領地になりました ~切り捨てない統治は、才能だけを残す~  作者: 山奥たける


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/19

第14話 摩擦

 人が増えれば、必ず摩擦が生まれる。


 それは争いではなく、

 もっと静かで、もっと厄介なものだ。



 朝の市場。


 露店の並びが、少しだけ変わっていた。


「……あれ、あの店、前はなかったよな」

「新参だ」


 既存の商人が、低い声で話す。


「最近、外から来る奴が多い」

「事故のあった領地に、よく来る気になる」


 言葉は荒くない。

 だが、距離はある。



 元魔道具職人は、その視線を感じていた。


 道具を運ぶたび、

 値段を交渉するたび、

 どこか一線が引かれている。


(……仕方ない)


 彼自身、同じ立場なら警戒する。



 昼前、倉庫前で小さな言い合いが起きた。


「順番が違うだろ」

「急ぎだと言ったはずだ」


 声を荒げたのは、新参の職人だった。


「前からいる連中が、優先だ」

「それは、決まりなのか」

「暗黙の、な」


 周囲が、気まずそうに視線を逸らす。



 参謀が、その場を見ていた。


 介入すれば、収まる。

 だが、それは一時的だ。


 彼は、何もしなかった。



 夕方、城では報告が上がる。


「小競り合いがありました」

「怪我は」

「ありません」


 領主は、それだけを確認した。


「なら、様子を見る」

「……調停は」

「しない」


 従者が、驚いたように顔を上げる。


「放置すれば、拗れます」

「拗れない形で、解消される」


 その根拠を、誰も聞かなかった。



 夜。


 酒場の片隅。


 古参の商人が、新参の職人に声をかけた。


「……悪かったな」

「いや」


「事故の後で、皆、神経質だ」

「分かる」


 短い会話。


 だが、それで十分だった。



 翌日。


 倉庫の前に、簡単な木札が立てられていた。


 ――受付順。


 誰が立てたのかは、分からない。


 だが、それで問題は解消された。



 参謀は、領主に報告する。


「摩擦は、収まりました」

「そうか」


「介入しなかった理由は?」

「介入すると、上下が生まれる」


 参謀は、静かに頷いた。



 城下町は、まだぎこちない。


 だが、境界線は少しだけ動いた。


 無能と呼ばれる領主の城では、

 秩序は命令ではなく、

 摩擦の中から生まれていた。



本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ