表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/7

衝撃的な姿

前のふたつの書き直し。

美術部の部室に忘れ物を届けに来た、それだけだった。


ガチャリとドアを開けた瞬間、思考が止まった。


「……へ?」


そこにいたのは、冬城司。


ただでさえ無口で冷静、無駄に完璧なその人が――

何の躊躇もなく、上半身どころか何も着ていなかった。


そして、その前で夢中でスケッチブックを走らせる絵狂いの友人・水無月が、こちらをチラと見て、平然と言った。


「静かに。今ちょうど背中の曲線に入ってる」


「いやいやいやいやいや、静かにじゃねぇよ!!!」


つい叫んだ私は、あまりの衝撃でドアを閉めた。数秒、呆然としたまま立ち尽くしてから――友人に連絡を飛ばした。


“今、美術部で冬城くんがフルヌードでモデルしてる。意味が分からん。助けて。”


すぐに駆けつけたのは、ツッコミ担当の友人・七瀬。


「おっせーな、何があったんだよ? って、マジで裸じゃん!!!」


「でしょ!? おかしいよね!? あれおかしいよね!?」


「いやおかしいってレベルじゃねぇよ!? 絵描きのアイツ、何考えてんの!?」


再び部室の中を覗けば、変わらず真剣に筆を走らせる水無月と、まるで石像のように微動だにしない冬城司。


むしろ二人とも、周囲のざわつきなど一切気にしていない。


七瀬が思わず声を上げる。


「おい冬城!おまえ、恥ずかしくないの!?」


すると冬城は、わずかにこちらを見て、低い声で答えた。


「頼まれたからな。問題ない」


「問題あるわ!!! そもそもその頼み、どうかしてんだよ!!!」


水無月が筆を止めずに、さらりと返す。


「肉体のラインを忠実に描くには、布が邪魔なんだよ。冬城の骨格は極めて美しい」


「その美学を人前でやるなあああああ!!!」


私も七瀬も叫んだ。


けれど当の本人たちは、まるで呼吸をするように自然だった。

そこに羞恥も緊張もない。ただ、**極めて冷静な“制作”**が行われているだけだった。


……いやいやいや、やっぱりどうかしてる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ