表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚士の休日  作者: ittpg(三崎 まき)
第3話 召喚士の休日
39/228

8.皆殺しの宴 (1) ☆

 年が明けたある日。

 炭焼き窯の火を見ていたリリィに、アレスが思い出したように尋ねた。


「お前さん、誕生月はいつだね?」

(ふた)の月よ」

「おお、来月じゃな。誕生月にはお祝いしてやろう」


 東方で、誕生『日』を認識している者はほとんどいない。リリィも自分の誕生日を知らない。この地方では、誕生月の初日に宴を催すのが習わしだった。

「あ、ありがとう」

 急な申し出に、リリィは困惑を振り解けぬまま応えた。生まれてからこれまで、誕生月を祝ってもらったことなどなかったからだ。



 ※


 その日、アレスは朝から町で揃えた食材を前に腕を振るった。

 リリィは森に来てから初めて、母の形見である民族衣装を身に着けた。()()の日の衣装だ。東方では珍しいそのいで立ちに、アレスは目を奪われた。どんよりとした雲の下、白を基調とした衣装はひときわ輝いていた。ただ、ひとつだけ……かつて、あの少年に貰った薄絹の帯飾りは着けなかった。彼を否定するつもりはなかった。純粋に、今の自分にはふさわしくないと思ったからだ。


挿絵(By みてみん)


 その衣装の上からローブを羽織り、リリィは森に入った。パーサンという、冬にしか取れないキノコを採りに行くためだ。香りが高く、肉にまぶすと味が引き立つが、広大なマチャの森でもなかなかお目にかかれない。無論、今から探すようでは何日後に手に入れられるかわからない。リリィはこれまでの散策で、生育地を何箇所か見付けていた。


 小屋では、火に掛けられた鍋がことことと軽快な拍子を刻んでいた。湯気が匂い立ち、足元で伏せてくつろぐエウロペも御馳走の予感に舌なめずりしていた。

 だが、その時……

 エウロペの耳がピクリと動いた。刹那、低くくぐもった唸り声。


(!……)

 アレスの手が止まった。眉が歪む。エウロペがこの反応をするのは、危急の事態だけだ。


 ※


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ