表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚士の休日  作者: ittpg(三崎 まき)
第3話 召喚士の休日
35/228

5.休日の始まり (1)

 ウオォォーン……


「どうした、エウロペ?どこへ行く?」

 狩りの最中、駆けだした相棒に老人はうろたえた。射落とした獲物はそっちじゃない。


(なんか様子がおかしかったが……)

 粗末な衣服にベスト。森の住民としては一般的ないで立ちの彼は、深い下生えを掻き分け、愛犬を追った。暴走した相棒は、ワンワンと同じ場所で(あるじ)を呼ぶ。


(川原の方じゃな……)


 息を切らせ、老体は草を掻き分ける。水流が岩を叩く音が大きくなる。白い大型犬は、水辺の岩陰に首を突っ込んでいた。川砂に足を取られながら駆け寄り、相棒と岩の隙間を覗き込む。


「おおお、なんということじゃ!」

 ……………



 ※


「リリィ」


 ……声が聞こえる。

 自分を呼ぶ声だ。聞き覚えがある。

 

「リリィ」

 目を開ける気にならない。

 身体がひどくだるい。動かそうにも動かない。そもそも意識すらはっきりしない。茫漠とした闇をさまよっている。


「聞こえるか、リリィ」

 三度(みたび)声がする。


「ごめんなさい。体が痛くて、寒くて……頭もぼうっとする」

「無理もない」

 少し思考が戻った。声の主に思い当たる。

「私、あなたと契約した」

「そうだ。そして今日は、お別れのあいさつに来た」


 『お別れ』……その言葉はリリィをひどく不安にさせた。


「お別れ?もう会えないの?」

「そうだな。会えるやもしれぬ。だがその時は、本当の別れとなるだろう」

「そんなの寂しい。どこに行っちゃうの?」

「どこにもいかぬ。近くにいる。ただ、離れ離れになってしまった」

「そんなのいや!」

「では……ひとつの道を示そう。リリィ、()()()()()を結ぶのだ」

「新たな契約……それは、あなたと?」

「そうかも知れぬ。そうでないかも知れぬ」

「あなたとでなければ、誰となの?」

「それもわからぬ。ただ、西へ向かえ」

 以前にも同じことを言われたような気がした。

「私……東に用事があって。行く途中なの」

「構わん。用があるならそれを済ませてからでいい。西へ行くのだ。西()()()()()()。人の王が統べるその地に、お前の問いの答えがある」

「わかったわ」

「そろそろお別れだ。リリィ……さらばだ。今まで楽しかったぞ」

「待って!私を置いて行かないで!」



 ※


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ