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6.ギュスタンダーの謀り事
「おう、ザヅツ」
昼前。
ザヅツは議場の外でギュスタンダーを捕まえた。会議を終えたところだった。ザヅツを認めた彼は、さっそく話を振ってきた。
「聞いたぞ。あの小娘の部隊が南部で野盗の一団を全滅させたらしいな」
彼はどちらかと言うと上機嫌だった。ちょうどよい。「そのことなんですが……」、ザヅツはさりげなく人気のない方に促しながら事情を話した。ザヅツの懸念に対するギュスタンダーの反応は意外だった。カッカッカと彼は歯を見せた。
「わしの配下の者を向かわせたとしても、そう命じたかもしれんな。別に構わんだろう」
「そうでしょうか?」
「優しくしたところで、王国に忠義を尽くすような連中でもあるまい。気になるのなら……」
彼は身を屈めるようザヅツに手振りで示した。耳打ちした彼の策は単純だった。安直と言ってもいいくらいだ。首尾よく成功するのかどうかも疑わしい。だが彼が間違ったことはこれまでなかった。それにその策を実行するには、彼の協力が必要だった。
「お願いします」
ザヅツが頭を下げると、ギュスタンダーは手を上げて応え、去っていった。
ザヅツは天を仰いだ。時は正午近く。真夏の太陽が王国を焼いていた。あの日が傾くころにはリリィたちが帰投する。その時自分はどのような顔でみなを出迎えるべきか……考えておかねばならない。




