第四十一話
鍛冶屋でアルージェが短剣を作成してから数週間が経った。
あの日アルージェが作った短剣は付与魔法もかかっていないのに、グレンデの再来と喜ばれ王都にいる王のもとにまで届けられた。
そんなことも知らずにアルージェはルーネと一緒に何度も荷物運びの依頼を受けて、安定した生活を送れるほどに稼いでおり、無事ブロンズランクに上がった。
運搬の依頼はスビア商会のラベックさんから僕を指名した依頼ばかりだ、
あれからも熱烈なスカウトを受けているが、うまいこと言ってかわしている。
一番驚いたのは「いま、うちに来てくれたら自慢の娘をリリィを嫁にやる」とラベックさんに言われたことだった。
リリィさんとも話したが、「アルージェさんが私でいいのなら是非!」と乗り気だったのが衝撃だった。
とりあえず「リリィさんは綺麗だしもっといい人見つかりますよ!」と言って乗り切っている。
でも、本当にラベックさんにすごく感謝はしている。
ラベックさんが僕を指名して依頼を出してくれているおかげで
アイテムボックスに入ってる武器を売らずとも生活できるようになった。
でもブロンズになってしまったし、これから受ける頻度が下がるかもしれないな事前に伝えておいた方がいいだろう。
それは明日に回すとして今は
「ルーネ!やっとブロンズランクになったからお祝いとして美味しいもの食べよう!!」
ルーネは目を輝かせて、「バウッ!」と吠える。
「何食べようかー?」
「アゥゥウ!」
「えー、シュークリームはご飯じゃないよー」
「クゥウ・・・・・」
「なら、ご飯食べた後シュークリームも買いに行こうか!夜食にしちゃおう!」
「バウッ!?」
「いいよー!よし、なら決まりだね!まずはご飯食べ行こう!」
シュークリームを食後のデザートにすることを約束してご飯に行くことになった。
—————翌日—————
結局昨日はいつもの食べ歩きをして、最後にシュークリームを買いに行くと屋台の店主が「シュークリームの良さがわかるやつが遂に現れたか!」と嬉しそうに接客してくれて、
また、大量におまけしてくれてルーネはほくほく嬉しそうに帰宅した。
「今日の朝ごはんにもなると思ったらまさかルーネ全部食べちゃうなんて流石にびっくりした」
シュークリームを僕が取ろうとすると、ルーネから威嚇をされて、一つも食べられなかった。
「まぁルーネのために買ったからいいけどね、さぁ朝ごはん食べてからギルドに依頼受けにいこうか!今日からブロンズランクの依頼が受けられるよ!」
「バウッ!」
階段を降り、カティさんに朝食をお願いする。
朝食がくるまで、ルーネと戯れる。
カティさんが厨房から朝食を運んでくる、今日も店主さんのサービスで大量の朝食用意されて、
「店主さん!いつもありがとうございます!!!」と叫ぶといつも通り、厨房の入り口から握りこぶしが出てきて、見えたところで親指だけ突き上げられた。
もはや様式美になりつつあるこの流れ。
ルーネと一緒に出てきた食事を全て胃に流し込み、カティさんに話しかける。
「カティさん!僕達今日からブロンズランクなんで、外の依頼を受けて遅くなるかもしれないです!」
「アルージェさん達遊んでいるように見えてちゃんと仕事していたんですね、驚きです」
「えぇ!?そんなに遊んでるように見えます?」
「いえ、冗談です、最近スビア商会の方とお話することがあったのですが、アルージェさんのことを絶賛してましたよ」
「えっ、繋がりがあるんですか?」
「はい、日用品は昔からスビア商会から購入しておりますので、配達のその時に軽く話に挙がってアルージェさんがどれだけ優秀かを聞きました」
「なんか恥ずかしいですね、仕事ぶりを言われてるのって」
「まぁ、悪い噂じゃないですからいいのではないですか?それよりそろそろ出ないといいクエストを受けられなくなりますよ」
「うわっ、ほんとだ!それじゃあ、いってきますカティさん」
「はい、いってらっしゃいませ、今日もおかえりをお待ちしております」とても綺麗なお辞儀で見送ってくれた。
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「あぶねぇ!鐘が鳴る前になんとかついた」
ルーネがいなかったら間違いなく間に合ってなかったそれくらいギリギリだった。
「ルーネ、本当に助かったよ!」
僕がルーネに声をかけるとルーネはやれやれと首を横に振る。
今日からブロンズランクの依頼を受けられる訳だけど、
ブロンズランクの依頼は基本的に大した依頼はない。
もしかするとラベックさんからの指名依頼を受けてる方が稼ぎは多いかもしれないが、ただブロンズランクの依頼を受けないとシルバーランクに上がることはできない。
ブロンズランクの依頼には薬草採取はもちろん、ゴブリン退治なんていう討伐系の依頼もある。
シルバーランクに上がるにはこういった依頼を一定数受注して、成功させる必要があり、
ゴブリン退治はパーティを組めば割と楽に達成できるらしいが、僕はルーネがいるので今のところはパーティを組む気はない。
ゴブリンについては前にルーネと出会った時に嫌ってほど倒したから当分は見たくないが、薬草採取の依頼より稼ぎは良い。
薬草採取ばかりしていたら、宿に払えるお金がなくなる可能性があるから、いつかは討伐系の依頼も受ける必要も出ると思う。
そんなことを考えていると九時を知らせる鐘が町に鳴り響く、受付嬢達が慌ただしく依頼票を掲示板に張り出していく。
パーティを組んでいる人たちはどれにするかという相談をして、ソロで活動している人はお目当ての依頼を見つけてすぐに受付まで持っていく。
「ブロンズだから大した依頼ないかもだけど僕も探さないと、ごめんだけどルーネここでちょっと待っててね」
ルーネはおすわりをして「了解」と脳内に響いたことを確認して掲示板を見にいく。
「ふむ、ブロンズになると町から出ることができるようになるから、受けられる依頼は沢山あるな」
薬草採取、動物肉の調達、ゴブリン、コボルトの討伐、下水道にでたスライムの討伐等どちらかというと討伐系が多いように見える。
「薬草採取と動物肉の調達をまとめて受けて少しでも稼げるようにしようかな」
二枚の依頼票を掲示板から取り受付に持っていくと久しぶりにフィーネさんが受付をしていた。
フィーネさんはこちらに気付くと笑顔になり「アルージェ君!」と軽く手を振ってくれる。
少し恥ずかしくなりながらも僕も小さく手を振りかえす。
「おはようございます、フィーネさん、この依頼を受けたいんですが」
そういって二枚の依頼票とギルドカードを提出すると、フィーネさんはテキパキと処理作業を終わらせて、
「アルージェ君いつの間にかブロンズランクになってたのね、男子三日会わざればってやつね」と終始笑顔でギルドカードを渡される。
「フィーネさん受付業務じゃなくて奥の方の事務業務で忙しそうだったんで、全然会えなかったですもんね」
「用事がなくてもアルージェ君に呼ばれたらいつでも時間あけるからいつでも呼んでね!」
「それは流石に申し訳ないですよー」
実際、受付をする時にたまにフィーネさんを目にすることも有ったが、忙しなく動いていて声をかけるタイミングなんてなかった。
「遠慮しないでいいんですよー、あっ、アルージェ君よくみたらブロンズランク初の依頼なんですね!」
ちらりと、ギルドカードの情報が表示されている画面をみていた。
「なら、私が注意事項を説明しないといけませんね」
言葉では残念そうにしているが表情は嬉しそうだった。
注意事項は簡単な内容だった、要約すれば、外に出ればどれだけ危険度の低い依頼であっても、何が起こるかわからないので気を抜かないようすること、
門から出る時は特段処理はないが、帰ってきた時はギルドカードを見せる必要がある。
番兵が出て行った人の顔をなんとなく覚えているらしいので、帰ってきていないとギルドに確認が入るらしい。
「わかりました!フィーネさんありがとうございます!」
「はい、では気をつけてくださいね」
そのままギルドをでて、町の門まで向かう。
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