表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/183

精霊の加護091 ドーラのスピリタス加入と喜捨集め

精霊の加護

Zu-Y


№91 ドーラのスピリタス加入と喜捨集め


 翌日、ドーラの冒険者登録とスピリタスへの加入のため、再びヴァーの冒険者ギルドを訪れた。当たり前だが、昨日俺が更迭を言い渡したギルマスはもういない。


 ドーラはエンシェントドラゴンの龍人であるが、エンシェントドラゴンは、討伐対象としてはSランクだ。どう言うランクが付くのか興味津々だったが、飛び級できる最上位のDランクスタートだった。いわゆるルール通りね。つまらん。

 なお、ドーラの龍人のときの得物は大剣で、装備は固いドラゴン装備のため、ジョブは重剣士と言うことで、Sアタッカー兼タンクだ。

 もっとも大剣は、両手剣だから、タンクと言っても盾はない。でも、両手剣は盾としても使えるのだ。


 装備の内訳は、ドラゴンブレイド、ドラゴンメイル、ドラゴンメット、ドラゴンガントレット、ドラゴングリーブ。

 昨日、龍人に変身したときは素っ裸で、衣服など持たぬと言ってたのに、装備はばっちり持ってた訳ね。笑


「リーゼロッテさん、ジュヌヴィエーヴさん、カルメンシータさんはBランクに昇格です。シルバーカードを発行するのでブロンズカードを返納して下さい。」

「「「はい。」」」

「エリザベスさんとベアトリーチェさんは、Aランクの実績がたまったんですけど、Bランクに昇格して1年未満なのでBランクのままAランク相当となります。Aランク相当と印字しますので、いったんシルバーカードを預けて下さい。」

「「はい。」」


 ちなみにスピリタスのパーティランクは、A相当3人、B3人、DひとりなのでBランクのままである。


 さて、これでヴァーでの任務は終わりだな。次を目指すか。

 次は教国南部の中心都市、キュプロンの港町だ。この町までは、馬車でおよそ1週間だ。教国からのお目付役連中とともにキュプロンを目指す。


 ヴァーを出て6日。明日には、キュプロンに着下ろうと言う地点で、精霊たちが異変をキャッチした。

『ゲオルク、馬車が3台、前からこっちに、逃げて来る。』

『その後ろから、追っ掛けて来る、集団がある。』

「商隊か何かかな?盗賊にでも追い掛けられてるのか?」

『そんな感じ。』

「しばらく様子を見といてくれ。」

『『『『『『『『おっけー。』』』』』』』』


『来るよー。』

 間もなく砂煙が見えて来た。確かにこっちに向かって来る。

『あー、最後尾の1台が、捕まったー。』

『あー、襲われてるー。』

 3台のうち、2台が猛スピードですれ違って行った。

「捕まった1台は置き去りか。お前さん、助けないのかい?」カルメンが聞いて来た。

「うーん、事情が分からないからねぇ。取り敢えず争いは止めるか。

 フィア、でっかい花火な。」

『OKー。』

 ひゅるるる~。ドッガーン!

 あ、両方とも固まった。花火の効果絶大♪


「おーい!どうしたー?」俺は声を掛けた。

 追手たちは騎乗の15名か。盗賊と言ういで立ちではないな。むしろ衛兵?捕まっているのは荷馬車1台。商人の馬車のようだ。

「助けて下さい。」商人が助けを求めて来た。


「手出しは無用。われらはキュプロン衛兵隊。そしてこ奴は奴隷商人だが、裏の顔は誘拐犯だ。拐かされた子供たちを救出に参った。」

「隊長、子供たちがいました。」

「よし、保護しろ。

 おい、こ奴らを捕らえろ。」

 隊長が、横にいた部下に命じて奴隷商人と用心棒らしき3人が捕らえられた。

「よし、逃走した残りの2台を追うぞ。」

 5名の隊員を残し、隊長以下10名が騎乗した。逃げた2台を追跡するようだ。


 それにしても子供の誘拐だと!なんて奴らだ。しかも助けて下さいとか言って来やがった。早合点して、助けないで本当によかった。


「隊長、手を貸すよ。」

「え?ああ、すまん。」

「ナイト、俺を乗せて飛んでくれ。」

『うん。』

「子どもたちを助けに行って来る。」

 俺はわが妻たちに伝えると、ナイトに跨った。ナイトが幻惑の術を解いて翼を広げると、衛兵隊も奴隷商人も用心棒も目を丸くした。

 そう、漆黒のナイトは伝説の霊獣ペガサスなのだ。

「精霊たち、ついて来い。

 ナイト、頼む。」精霊たちとナイトに指示を出した。

 ナイトが俺を乗せたまま、一気に上空に舞い上がり、精霊たちは飛んで付いて来る。


 上空に上がると先程すれ違った2台の馬車がすぐに見付かった。まだそれほど離されていない。

 ナイトはぐんぐん速度を上げ、あっという間に奴隷商人の馬車2台を追い抜いた。

「メタ、馬車の進路に雷を落とせ。」

『はーい。』

 バリバリバリ、ドドーン。

 驚いた曳馬が棹立ちになって、馬車が止まった。

「ツリ、拘束。クレ、囲め。」

『『うん。』』

 地面から出て来た蔓が馬車に巻き付き、馬車を閉じ揉めるように周囲の地面がせり上がった。


 ナイトが地上に降り立って、俺は下馬した。

「おい、誘拐犯の奴隷商人ども、観念しろ。」

「なんだ、お前は。」

「通りすがりだ。それより誘拐した子供たちを返せ。」

「お前、ひとりで来たのか?バカな奴だ。」

「おい、やっちまえ。」

 2台の馬車からやばそうな男が、3名ずつ6名出て来た。そして俺を取り囲んで、一斉に剣を抜いた。用心棒か?


「ワラ、チル。」

『『うん。』』

 ザッパーン。大量の水が用心棒の男たち6人に降り注ぎ、奴らの気勢を削いで、一瞬キョトンとしたところへ、その虚を突いて、猛烈な冷気が6名を襲った。

 用心棒の男たちは武器を取り落としその場に蹲ってしまった。歯をガチガチさせて震えている。呆気ねぇ。こいつら、ほんとにこれで用心棒かよ。詐欺じゃね?

「おい、用心棒は無力化されたぜ。どうする?」俺は奴隷商人ふたりに詰め寄った。奴隷商人ふたりの顔は、共に引きつっている。


 1台目と2台目の馬車の奴隷商人ふたりと用心棒6人を、ツリに拘束させたところで、キュプロンの衛兵隊が到着した。


「隊長、子供たちを保護しました。」奴隷商人の馬車に乗り込んだ隊員が、すかさず報告する。

「うむ。御苦労。

 旅のお方、奴隷商人、いや、誘拐犯捕縛への献身的なご協力に、キュプロン衛兵隊を代表して感謝する。」

「子供たちが攫われたと聞いたら協力しない訳にはいかんだろ?」

「ふっ。天晴な物言いだな。」

「そうか?」なんか隊長と気心が通じ合った気がした。


 保護した子供たちは、疲れていただけで、ケガや病気はなかった。不幸中の幸いだ。ソルに頼んで、子供たちにエリアヒールを掛けてもらったのは言うまでもなかろう。子供たちは元気になった。


 俺は、衛兵隊と一緒に、捕縛した奴隷商人ふたりと用心棒6人に、馬車2台と保護した子供たちを連れて、わが妻たちと合流した。

 キュプロンの衛兵隊隊長と、俺たちに同行して来た教国からのお目付役の連中が話をしている。

 話が一段落ついた後、隊長が俺の前に来て片膝をついた。


「まさか使徒様とは。知らなかったとは言え、無礼な物言いをお詫びします。そして、改めてご協力に感謝致します。」

「えっ?」×多。って顔した隊員たちが、隊長に倣って一斉に片膝をついた。

「おいおい隊長、やめてくれよ。当たり前のことをしただけだ。

 それに隊員の皆も、敬礼はいいから作業を続けてくれ。」

「ははっ。」×多。

「隊長、俺たちはキュプロンに向かっている。子供たちの護衛を兼ねて同道したいがいいか?」

「使徒様、願ってもないことです。」


 日が暮れて来たので野営だ。

 例によって、クレが広い範囲を囲うように地面をせり上げ、その上に、メタが侵入防止のための有刺鉄線を張り巡らせ、敷地内のゴミをウィンが小さな竜巻で吹き飛ばした。何と便利な掃除機か!笑

 それから、ツリが敷地内の一画に牧草を生やして、スノウやナイトと俺たちの馬車の曳馬の他に、衛兵隊や、お目付役の馬車の馬たちを放牧した。

 クレが窯を作って干し草を作り、わが妻たちが手際よく簡易ベッドを作って行く。いつもは俺たちスピリタスと、お目付役たちの分だけだが、今宵は、衛兵たちと保護した子供たちの分もある。相当な数だがパッパと片付けて行くではないか。何て有能なんだ!

 もちろん、奴隷商人3人と、用心棒9人の分のベッドはない。ふん縛ったまま、木に繋いどく。


 クレが造った大きな露天浴槽にワラが水を溜め、フィアがいい塩梅に温める。まず保護した子供たちをわが妻たちが女湯に入れる。もちろんちょっと大きな男の子供は、衛兵たちと男湯だ。

 精霊たちも入ろうとしたが俺が止めた。

「俺たちは後だ。」

『『『『『『『『えー、なんでー。』』』』』』』』精霊たちがぶー垂れた。

「他の男がいるからだ。お前たちの裸体を他の男に見せたくない。すぐに風呂に入りたければ、わが妻たちと一緒に女湯に入れ。」

『『『『『『『『ぶー。』』』』』』』』精霊たちは不満たらたらだ。苦笑


 別に嫉妬とかではない。第三形態は~ソルだけ第二形態だが~、いわゆる少女と女の中間。胸もちょっとだけだが膨らんで来ているから、男の子たちには目の毒だし、衛兵たちに好色の眼で見られるのは、物凄くムカつく。要するに年頃になりつつある娘を持ったパパの心境なのだ。

 結局、精霊たちは、少々待ってでも俺と一緒に入浴することを選んだ。ぶっちゃけ嬉しい。


 風呂から上がったわが妻たちは早速夕餉の準備を始めた。

 チルが凍らせて異空間収納袋に収納していた獣肉をドバっと出して、ツリが野営地の一画で育てた野菜類と一緒に鍋にぶち込んだ。クツクツと煮込むとすぐにいい匂いをさせて来た。もちろん火種はフィアの提供だ。

 今夜は子供たちがいるから、香辛料は控えて、ミルクベースのシチューに仕立てるそうだ。


 俺と精霊たちは、ようやく風呂の順番が回って来て、ゆったり浸かった。精霊たちがしばらくの間、入浴を待ったご褒美に、湯船の中でくすぐったり、入念に洗ってやったりしたら、精霊たちはキャッキャと大層喜んでくれて、ぶー垂れてた機嫌はすっかり直った。


 風呂から出るとわが妻たちによって夕餉の準備が整っており、教国からのお目付役連中、キュプロンの衛兵隊、保護した子供たちと一緒に、大勢で鍋を囲んだ。

 保護した子供たちの食いっぷりが凄い。話を聞くと、誘拐されてからロクな食事を与えられていなかったらしい。マジで、奴隷商人たちへの殺意が湧いて来た。

 こいつら今夜はメシ抜きな。てか、キュプロンまでずっとメシ抜きな。まぁキュプロンには明日着くけどな。


 翌日のキュプロン入りは、それはもう盛大なものになった。

 なんたって、神の使徒様が、奴隷商人の一派を一網打尽にし、しかも奴隷商人に誘拐された子供たちを全員無事に救出して、キュプロンに凱旋したのだ。それはもう、キュプロンの民は歓喜に沸くに決まっている。


 だがしかし、真相はと言うと、キュプロン衛兵隊が、逃走する奴隷商人を一昼夜追跡して捕捉したところに、俺たちが偶然通り掛かって、助力したに過ぎない。

「それでは話が違う。」と俺は衛兵隊隊長に抗議したが、隊長は、

「いいえ、使徒様が助太刀して下さらなければ、2台は取り逃がしていたのです。一網打尽にできたのは使徒様のおかげです。」と言って聞かない。

 しかも、キュプロンに先行して、この情報の大々的にキュプロンで触れ回ったのは、先触れに出たキュプロン衛兵隊の隊員たちなのだ。


 キュプロン衛兵隊は、

「自分たちは、使徒様の指揮の下、奴隷商人捕縛に協力し、誘拐された子供たちを救出した。」と言い張った。しかしそれでいいのだそうだ。

 使徒様に助力してもらって自分たちで奴隷商人を捉え、子供たち全員救出したと言うよりも、使徒様の指揮下で奴隷商人を捕らえ、子供たちを救出したと言う方が、キュプロンの民からの評価が高くなると言う。

 自分たちで解決するより、神の使徒様の指揮下での方が、神の御心に沿って行動したと言うことで、教国では非常に尊い行いなのだとか。

 さっぱり分からん!

 しかしこの出迎えの熱狂ぶり、あながち嘘ではないようだ。まったく教国の民の判断基準は、俺の常識の上を言っている。想定外だ。


 教国からのお目付役に尋ねると、

「なぜそのような当たり前のことをお聞きになるので?」

「使徒様の指揮下で動くと言うことは、神の御心のままに動くと言うことなのです。」

「神の意のままに行動することは、もっとも尊い行いではありませんか。どこが疑問なのです?」

と、衛兵隊隊長の言い分を100%支持するではないか。


 誘拐された子供たちは、俺に救出されたと言うことで、神に愛された子供たちと言う絶大な評価を受けた。

 誘拐された子供たちの親は、教会に来て多額の喜捨を申し出、キュプロンの民の多くがそれに倣った。キュプロンは教国南部の港町で、王国南部との海路による交易で大いに栄えているから民が裕福だ。翌日分かったのだが、喜捨の額はとんでもない額に跳ね上がっていた。


 前教皇の失策により王国との関係が拗れ、王国が全面的な経済封鎖を敢行すると、教国の経済は大きな打撃を受けた。

 しかし前教皇が失脚して新教皇となり、王国との関係改善を模索する中、神の使徒様の取り成しで王国との関係が改善し、しかも使徒様のご慈悲で、王国が賠償金請求を半額にしたと、教国の民には、真しやかに伝わっている。


 さらに使徒様は、教国を第二の故郷と呼び、教国西部にある教都イスタナンカラで天使様=ソルと契約した。教国北部のルゥド・オーでは、食糧難を解決して大勢の民の病を一瞬で癒し、反政府組織を瓦解させた。教国西部のヴァーでは大暴れしていたエンシェントドラゴンを鎮めて下僕にした。そして教国南部のキュプロンでは、奴隷商人に誘拐された子供を全員無事に救出して、奴隷商人たちを残らず捕縛した。

 キュプロンの民が沸かない訳がない。という説明を、俺たちが逗留する教会の大司教にされた。もう返す言葉もない。


 俺たちが逗留するキュプロン教会には、キュプロンの民が大勢押し寄せ、多額の喜捨をしている。もともと裕福な港町であるから、喜捨の額は半端ない。さらに王国との交易再開で、不景気から一気に好景気になったのも、民の財布を緩めて、喜捨の額を高めている。

 喜捨した民は教会にとどまり、群衆となって、神の使徒である俺のお言葉を待っていると言う。しゃーないな。

 俺が教会のバルコニーから顔を出すと、教会の庭を埋め尽くす群衆がそこにいた。こんなに集まってるのか?

 俺に気付いた群衆からどよめきの声が起こる。

 横で大司教が、

「皆の者、使徒様がお言葉を下さる。静まるように。」

 一瞬でシーンとなった。凄ぇ。


「皆の者。俺は、トレホス王国から来たゲオルク・スピリタス子爵、精霊魔術師だ。神聖ニュシト教国では神の使徒と呼ばれているそうだな。」

「おおー。」×多。しばらく待って片手を上げ、静まるように促す。再びシーンとなった。


「此度、奴隷商人がいたいけな子供たちを拐かして逃走する現場に遭遇した。キュプロンの優秀な衛兵隊がいち早く異変を察知し、奴隷商人を追跡していたところにたまたま俺たちが居合わせたのだ。

 奴隷商人の3台の馬車のうち、ちょうど1台を衛兵隊が捕らえたところだった。奴隷商人の残りの2台は、衛兵隊に捕縛された仲間の1台を見捨てて逃走した。

 俺は天馬のペガサスに乗り、衛兵隊と協力して逃走する2台を追跡した。追い付くのは訳なかった。天馬のペガサスの飛行から逃げられるものなど、この地上にはおらん。」

「おおー。」×多。再び沸く群衆。俺は再び片手を上げた。静まる群衆。


「俺が奴隷商人を足止めしたところに衛兵隊が到着し、あっという間に制圧して、子供たちをひとり残らず、無事に救出したのだ。キュプロンの衛兵隊は非常に優秀だ。皆の者、そなたらの衛兵隊を誇るがいい。」

「おおー。」×多。とどよめきが起き、「衛兵隊、万歳!」と所々で、衛兵隊を称える声が起こった。静まったところで俺は締めくくりに入った。


「わが祝福は、大いに活躍した非常に優秀なキュプロンの衛兵隊に、尊い喜捨をしてくれたキュプロンに民に、そして、キュプロンが所属する神聖ニュシト教国に贈るものなり。以上だ。」うーんちょっと芝居係り過ぎたかなー。苦笑

「うおおおおお~、使ー徒様、使ー徒様、…。」×多。ここでも使徒様コールが始まったか。微妙に照れる。

 なお、この演説の後、さらに喜捨が集まったと言う。


 キュプロンの教会では、乞われて3泊した。その間、キュプロンの群衆は毎日のように教会に押し掛け、多額の喜捨をして、代わり映えのしない俺の演説を聞いて感動して帰って行った。苦笑


 この遠征中から、馬車旅での禁欲生活の直後の町の宿泊では、ぱふぱふ以上の許可が下りるようになった。もちろん妊娠のリスク回避のためにお口のみだがな。

 5人の妻たちの魔力量の上限を100ずつ上げた。ドーラは龍人なので、魔力量の上昇はない。


 3日後にキュプロンを発つにあたり、キュプロンの大司教と教国からのお目付役がやって来て、民からの喜捨が、大白金貨1枚、白金貨2枚、大金貨7枚、金貨3枚、以下略、になったことを告げて来た。

 3日で大白金貨1枚に白金貨2枚に大金貨7枚って…。


「使徒様、お納め下さい。」は?なんですと?

「貰える訳ないだろ。」

「いえ、使徒様への喜捨です。納めて頂かなければ困ります。」

 押し問答が続いた後、俺が折れた。その代わり、

「誘拐された子供に見舞金をひとり当たり金貨2枚ずつ、キュプロン衛兵隊に此度の手柄の褒賞として大金貨1枚、教国北部の農地等の開発資金としてルゥド・オーに白金貨5枚、ヴァーの復興資金に白金貨4枚、キュプロンへの投資に白金貨2枚、残りはすべて新教皇の政府に寄付をする。」

「え?それでは使徒様の取り分は?」

「教国に投資するは、わがために使うことと同意。」

「なんという思し召し。」大司教も教国からのお目付役連中もドバーっと涙腺を崩壊させ、その場にひれ伏したのだった。大袈裟な。


 まぁ、王太子殿下から、直々に教国内で名声を高めて来いと言われてるからな。


 ところで例の奴隷商人3人と用心棒9人だが、犯罪奴隷として、終身刑で労働することになった。奴隷商人が奴隷とか、ざまぁねぇな。


 この後、俺たちは教国南部のキュプロンを発って、教国中部のアリトナへ向かったのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ