精霊の加護076 第三形態の威力
精霊の加護
Zu-Y
№76 第三形態の威力
国境の町ミュンヒェーからさほど遠くないミュンヒェー砦に、俺たちスピリタスは来ている。
ミュンヒェーの女領主、森の大魔女こと、ハイジどのとその3人の子も一緒にいる。もっともそのうちひとりは、ビーチェさんにコテンパンにやられて退場する途中なのだが。笑
「さて、ハイジどの。まずは軽く仕掛けます。」
「おお、では王太子殿下御自慢の精霊魔術とやらを拝ましてもらおうかの。」ちっ、余裕こきやがって、精霊魔法とやら、とは随分小馬鹿にしてやがるな。
ハイジ小母さんよ、その余裕な態度がいつまで続くか楽しみだぜ。
ミュンヒェーの砦と敵の2つの砦は、ほぼ正三角形の位置関係にあり、ミュンヒェーの砦と敵の砦のおよそ中間点に国境がある。
教国の連中は、国境まではノコノコやって来てこちらを挑発するのだそうだ。ハイジどのは国境までしか魔法を放たないと言うから、安心し切っているのだろう。一丁、肝を冷やしてやるか?
俺の心を読んだのか、精霊たちは、ニタニタうずうずしている。もう完全に悪戯する気満々の顔だ。
まずはハイジどの御自慢の末娘、クララどのが得意な雷の精霊魔法を見せてやろう。普通の魔法との格の違いに、どのような反応をするか楽しみだ。
「メタ、全力の雷をな、国境と南東の砦の中間に落とせ。」『はーい。』
俺の横から、ふわふわとに浮かび上がっていたメタは、両腕両脚を曲げ縮めて全身を丸くした姿勢で、『うーーーーー。』とタメを作り、『たぁー。』と一気に魔力を放出した。
バリバリドッゴーンと凄まじい音がして、国境と教国の南東の砦の間の樹木が一瞬で真っ黒こげになった。南東の砦の外壁も一部が倒壊している。
しまった、第三形態に進化してたのを忘れてた。バレンシーのときは第二形態だったから、全力を出してもここまで被害はひどくなかった。まぁいいか。ツリがいるからいくらでも森は修復できる。
「ハイジどの?」横であんぐりと口を開けたまま、ハイジどのが固まっている。見回すと、ジークもクララもその他の兵たちも同様で、少し向こうではヴォルが頭を抱えてう蹲り、ブルブルと震えている。笑
『ゲオルクー、ご飯ー。』ぶっちゅー、ちゅーちゅー。さらに、ハイジどの眼が見開かれた。
「これはその、精霊たちへの魔力の補給でして。」
『ゲオルクー、もっとー。』そうか、第三形態での全力放出だから、相当魔力を使った訳だな。よし。
俺は矢尻で指先をグリグリやって、血を滲ませ、メタに舐めさせてやった。メタはすぐに黄色く輝き出した。魔力が満タンになったのだ。
「さて、次はフィア、全力の花火をな、北東の砦の上空にな。」『はーい。』
俺の横から、ふわふわとに浮かび上がっていたフィアは、両腕両脚を曲げ縮めて全身を丸くした姿勢で、『うーーーーー。』とタメを作り、『たぁー。』と一気に魔力を放出した。
ひゅるるるるー…ドッガーン。おお、凄ぇ。爆風で北東の砦の塔が倒壊しやがった。北東の砦のまわりの樹々もかなりの広範囲でなぎ倒されている。凄まじい威力だ。
あ、隣でハイジどのがへたり込んでしまった。相変わらず口はあんぐりと開けている。笑
『ゲオルクー、ご飯ー。』ぶっちゅー、ちゅーちゅー。
『ゲオルクー、もっとー。』血を滲ませた指先を、フィアに舐めさせてやると、フィアはすぐに赤く輝き出した。
「次、ワラ、南東の砦を全力で水攻めにしろ。」『はーい。こないだは、豪雨。今回は地下水でいい?』「任す。好きにやれ。」『ラジャー。』
俺の横から、ふわふわとに浮かび上がっていたワラは、両腕両脚を曲げ縮めて全身を丸くした姿勢で、『うーーーーー。』とタメを作り、『たぁー。』と一気に魔力を放出した。
ゴゴゴゴゴー、と湧いて来た地下水が濁流となって渦を巻き、南東の砦とそのまわりの樹々をかなりの範囲でなぎ倒した。南東の砦の半分以上は水没して、その建物の大部分が倒壊した。ここへ来て南東の砦の城兵は、われ先にと、砦からの逃走を始めた。
『ゲオルクー、ご飯ー。』血を滲ませた指先をワラに向けると、
『やー、最初はちゅーにしてー。』ぶっちゅー、ちゅーちゅー。
その後、血を滲ませた指先を、ワラに舐めさせてやると、ワラはすぐに青く輝き出した。
「次、ウィン、全力の竜巻で北東の砦をやるぞー。」『はーい。』
俺の横から、ふわふわとに浮かび上がっていたウィンは、両腕両脚を曲げ縮めて全身を丸くした姿勢で、『うーーーーー。』とタメを作り、『たぁー。』と一気に魔力を放出した。
ゴーーーーー、とうなりを上げた突風が、ミュンヒェー砦と北東砦の中間の国境あたりで、旋風を巻いてあっという間に竜巻になり、北東の砦へと進みつつ、進路上の樹々を根こそぎ巻き上げて進んで行く。
最後は北東の砦に到達して、そこでしばらく猛威を振るった竜巻が消える頃、北東の砦の建物のほとんどを倒壊させていた。そして北東の砦の城兵たちが、竜巻が収まったのを確認すると一目散に砦から逃走を始めた。
『ゲオルクー、ご飯ー。』ぶっちゅー、ちゅーちゅー。
その後、血を滲ませた指先を、ウィンに舐めさせてやると、ウィンはすぐに紫色に輝き出した。
「クレ、南東の砦に全力で地震だ」『はーい。』
俺の横から、ふわふわとに浮かび上がっていたクレは、両腕両脚を曲げ縮めて全身を丸くした姿勢で、『うーーーーー。』とタメを作り、『たぁー。』と一気に魔力を放出した。
水浸しになった南東の砦を、大きな地震が襲う。もはや砦は最初の形とは程遠い。破壊の限りを尽くした瓦礫の山の状態だ。
『ゲオルクー、ご飯ー。』ぶっちゅー、ちゅーちゅー。
その後、血を滲ませた指先を、クレに舐めさせてやると、クレはすぐに橙色に輝き出した。
よし、いよいよ冷気の精霊魔法だ。見てろよ、ハイジどの。
「チル、北東の砦を全力で凍結だ。」『はーい。』
俺の横から、ふわふわとに浮かび上がっていたチルは、両腕両脚を曲げ縮めて全身を丸くした姿勢で、『うーーーーー。』とタメを作り、『たぁー。』と一気に魔力を放出した。
国境を越えたあたりから北東の砦に向かって真っ白な扇が伸びて行く。竜巻でほぼ倒壊していた北東の砦を中心に辺り一帯が広範囲に氷漬けになった。その広さ、ハイジどのの冷気の魔法の比ではない。低温がゆえのダイヤモンドダストがキラキラとそこら中で美しい。
口を開けてへたり込んでいたハイジどのは、もはや涙目になってぶるぶると震え出している。冷気魔法を得意とするがゆえに、圧倒的な量のダイヤモンドダストが広範囲で輝くための条件を知っているのだろう。
『ゲオルクー、ご飯ー。』ぶっちゅー、ちゅーちゅー。
その後、血を滲ませた指先を、チルに舐めさせてやると、チルはすぐに藍色に輝き出した。
「ツリ、森を復旧するぞ。ついでに両方の砦にも樹木を生やせ。」『はーい。』
全身を丸めて『うーーーーー。』とタメを作り、『たぁー。』と一気に魔力を放出。
それまでの精霊たちの攻撃でなぎ倒された樹々の間から新芽が芽吹いてどんどん成長し、森を再生して行く。すべてが終わったとき、国境の森に対峙していた教国のふたつの砦は跡形もなく消滅し、ただただ、何もなかったように、深い森が延々と続くだけになっていた。
『ゲオルクー、ご飯ー。』ぶっちゅー、ちゅーちゅー。
その後、血を滲ませた指先を、ツリに舐めさせてやると、ツリはすぐに緑色に輝き出した。
「ハイジどの、ざっとこんなもんですかね。」
「…。」ハイジどのは放心している。
「ハイジどの?」ハイジどのはハッと我に返り、その場に平伏した。
「精霊魔術師ゲオルク様、お見それ致しましたー。これまでのご無礼の数々、平にお許しくださいませー。」言葉使いも態度もすっかり変わっている。笑
「ハイジどの、どうか面を上げてください。」
「精霊魔術師ゲオルク様、わらわに敬語など不要にござりまする。どうぞ呼び捨ててくださいまし。」変わり過ぎだろっ!掌を何回転させてんだっつーの!
国境の町ミュンヒェーの女領主、アーデルハイド・ミュンヒェーは、心の底からの恐怖に震え上がっていたのだった。まぁ、このときだけだったが。苦笑
この母親の尋常でない様子を見ていたジークもクララも平伏した。するとまわりの兵士たちも平伏した。
あっちでは、腰を抜かしていたはずのヴォルが踏ん反り返って…じゃなくて、仰向けにひっくり返って気絶していた。苦笑
王国が本気で怒っている!
いや、精霊神様がお怒りになっておられる。そのお怒りを、使徒様を通じてお示しになられた!あれこそ神の御業に他ならない。
国境砦壊滅からおよそ1週間後、神聖ニュシト教国の首都=教都イスタナンカラまで逃げ帰った国境警備兵の証言は、そのぼろぼろのいで立ちがさらに信憑性を高める形になった。このため、国境砦の壊滅が、10倍にも20倍にも大袈裟に伝えられ、教国内に恐慌を引き起こした。
のらりくらりと躱していれば、王国からな圧力などそのうち収まると高を括っていた教皇は、神の啓示を解さぬ無能として失脚。王国との関係改善を主張していた一派が台頭し、その中から新教皇が担がれる異常事態となった。
何せここ数百年、教皇の交代は、教皇の逝去か、老衰による隠居でしか起こっていなかったのだ。現役バリバリの教皇が失脚するなど、長い教国の歴史の中でも類を見ない。
この政変により、王国と一定の距離を取っていた教国は、親王国へと一気に傾き、たとえ王国に従属してでも、多額の賠償金を払ってでも、王国との仲を回復しようと努めるようになって行くのだが、それはもう少し後の話。
話は再び、教国の国境砦を崩壊させた日に戻る。ここは、ミュンヒェーの町の国境警部軍詰所、司令官執務室。
「精霊魔術師ゲオルク様、どうか今宵はわらわの歓待を受けてくださいませ。伏してお願い奉りまする。」あれから何度目だろ?
「ちょっとハイジどの、土下座なんかやめてください。」
「精霊魔術師ゲオルク様、わらわに敬称や敬語など勿体ないことでござりまする。ハイジと呼び捨てにしてくださりませ。」
「いや、だからさぁ。いい加減にしてよね。」
「これはご機嫌を損ねてしまいましたか?何卒ミュンヒェーを灰燼に帰すことだけは思い止まってくださいませ。そのためなら、このわらわの身などどうなっても構いませぬ。どんなご奉仕でも致しますゆえ。」
「いや、そう言うご奉仕はいいって言ったよね!」
「申し訳ござりませぬ。わらわは大年増で汚れた身体ゆえ、お気に召さぬと仰せですか?ならばまだ男を知らぬ清い身体のクララを捧げまする。」
「いや、だからそんな接待は望んでねぇし。それにクララはまだ未成年だろ!」
「では来年成人した暁には、クララを献上致しまする。」
「だからなんでそうなるんだよ!要らないって言ってるだろ!」
「ではどうしてもミュンヒェーを滅ぼすとの思し召しでございましょうか?」
「いや、だから滅ぼさねぇよ。」
「ああ、何と御慈悲深い。神々しいとは、正しくゲオルク様のことでござりまするな。せめて、わらわの身体を思う存分嬲って憂さを晴らしてくださいませ。こう見えても男性を悦ばす術は、たんと身に付けておりますゆえ。」
「いや、だからいいって言ってるだろ!いい加減にしろよな。」さっきから会話が堂々巡りじゃねぇかよ。
「うう、わらわが大年増で汚れた身体ゆえお気に召さぬのでござりますな。ではクララを献上致しまする。クララはまだ生娘にて…。」
「いいかげんにしろって言ってるだろ!ハイジ、お前、わざとだろ!」
「いいえ、そんなことはござりませぬ。」
「嘘つくな。ハイジ、お前は海千山千の美魔女だろうが。そんな玉かよ。あんまり舐めるなよな。」
「ふっ。バレましたか?流石は精霊魔術師ゲオルク様。」
「お前さぁ、何が気に入らないで、そんなに俺に絡んで来てんの?」
「されば圧倒的な精霊魔術をお持ちのくせに、わらわやクララの児戯に等しい魔法を褒めたこと。」
「ハイジ、お前は心得違いをしているぞ。俺の精霊魔法とハイジやクララの普通の魔法を同列で語るなど片腹痛いわ。所詮は別物なんだよ。そこは割り切って分別しろよな。
で、そのように見れば、ハイジの魔法は一級品、クララの魔法もかなりのものだ。だから素直に褒めた。それだけだ。」
「くっ。」
「それからな、ハイジとクララでは、俺にとってはハイジの方が好みだ。」
「えっ?」
「俺は未熟な女より、成熟した女が好みなんだよ。でもな、ハイジは男好き過ぎる。今後俺ひとりに絞れまい?」
「側室に加えて頂けるなら、絞りまする。」
「ダメだな。それではハイジの魅力が半減する。そなたは自由奔放、男を食い物にしてこそ輝きを放つ女だ。そして俺は女の食い物になる気はない。所詮、ハイジと俺とでは交わらないのだ。」
「なんとつれないお言葉。」
「と言いつつハイジは合点してるのであろう。」
「精霊魔術師ゲオルク様、そなたのような男は初めてぞ。狂おしい、狂おしいぞえ。」
「おい、余り見苦しくなるなよ。ぶっちゃけ引くぞ。」
「ほほほ。ここまでわらわを弄び、己はブレぬとは大したものよ。」
「そうそう、ハイジはその物言いがぴったりだ。それでこそ森の美魔女。」
「わらわは森の大魔女だぞえ。」
「ならば王家付精霊魔術師の名のもとにゲオルク・スピリタスが命ず。ミュンヒェー辺境伯、アーデルハイド・ミュンヒェーよ。これ以降、そなたのふたつ名は、森の大魔女から森の美魔女に改めよ。そなたの類まれなる美貌、その妖艶なる肢体、そしてその男を虜にする駆け引き、すべてが美魔女の称号に値する。」ちょっと芝居掛かってみた。笑
「おお、なんと言う賛辞。分かりました、これより森の美魔女と名乗りまする。」
「いいんじゃね?つー訳で今日はご苦労さん。じゃあな。」
「お待ちを。わらわの歓待は受けてくださいませぬのか?」
「だからいいって。気持ちだけ貰っとくよ。」
「うぬぬ。一服盛って、わらわの虜にしようと思ったものを。騎士爵風情が、辺境伯のわらわを袖にするとは、身の程を知らぬ。」
「お前、それ、本気で言ってんの?身の程を知らねぇのはどっちか、思い知らせてやろうか?」
調子に乗ったハイジにイラっと来たら、精霊たちが珍しく怒気を発して、ハイジが固まった。ここらが潮時だな。正直、この小母さん、いい加減、ウゼェし。
「申し訳ござりませぬ。ほんの戯れにござりました。平にご容赦を。」ハイジは調子に乗り過ぎたことを悟ったようだが、もう遅いんだよな。
「弁えを知らぬ輩と関わる気はない。」俺は踵を返した。ハイジは俺に追いすがるほど馬鹿ではないようだ。
ハイジはその場に平伏して、俺を見送ったのだった。
「いやぁ、なかなか強烈な小母さんだったねぇ。」
「ゲオっちも悪いんだよっ。美魔女なんて煽るんだからさぁ。だから調子に乗るんじゃん。」
「でもさー、大魔女って言ったら婆さんみたいじゃん?19歳のジークを産んでるってことはアラフォーだよな?そんな歳には全然見えなかったよなぁ。」
「そうそう、ゲオルク君、そこもよね?10歳で子供が産めるはずないなんて言うんだもの。あれって、まだギリギリ20代ですよね~、なんて見え透いたゴマ擦りじゃないの。」
「でもさ、あの小母さん、あれでかなり機嫌よくなったじゃん。まぁチョロいなーとは思ったけどさ。」
「まぁ、いずれにせよ、一筋縄では行かないお方ですわね。」
「だねー。ベスさんからの事前情報も大いに役立ったしなー。」
「ミュンヒェー辺境伯どのは、貴族の中でも特異なお方ではあるな。
しかし、10代半ばでご両親を失い、それから辺境伯として、教国からの圧力に屈せず、何度も跳ね除けて、十分、国境警備の辺境伯としての勤めを果たして来られたのだ。男を手玉に取って食い物にするくらいでないと、この任は務まらぬと思うぞ。」
「そのご両親って先代の辺境伯ご夫妻だよね?何で亡くなったの?」
「事故死、…に見せ掛けた暗殺のようなのだ。教国の中の反王国の過激なグループによるものだとの、もっぱらの噂だ。」
「ふぅん、そうなのか。ああ見えて結構苦労してんだねぇ。あたしゃ、辺境伯様を応援したくなったよ。」
「え?応援って?」
「両親の仇を討たしてやりたいってことさ。そのためには先代の辺境伯様ご夫妻を暗殺した犯人グループを特定しないとね。もう20年以上前の事件だし、確証もないんだから、雲を掴むような話だけどね。」
「確かになぁ。まぁ、今回の揺さぶりが効いて、東部公爵様の思惑通りに教国が恭順の意を示して来たら、俺たちが教国に派遣されるだろうから、いろいろ調べられるかもしれないな。一応、頭の片隅には置いとくか。」
「え?教国へ派遣って、どう言うことですの?」
「講和の条件にさ、俺の受け入れと、自由視察権も入れるんだって。」
「「「「「え~?」」」」」
「いやね、教国からは光の精霊魔術師が出てるんだよ。もっとも教国内では聖人とか聖女とか呼ばれてたみたいだけどね。」
「と言うことは、光の精霊は回復系ですの?」
「らしいね。それと、バフ効果も発揮したらしい。」
「ああ、わたくしの領分が…。」
「それに、あたしの分野も半分持ってかれるのかい?」
「ジュヌ、カルメン、私のように割り切りなさい。精霊魔法は別物よ。」
「それとさ、帝国にも行くことになるよ。帝国には闇の精霊魔術師の記録が残ってるんだ。」
「うむ、それなら私も聞いたことがあるな。状態異常に陥れる特異な攻撃魔法とデバフを使ったようだ。」
「なんだよ、結局、あたしの分野も全部ゲオルクに持って行かれちまうんじゃないか。」
「カルメン、リーゼが言う通り、別物って割り切るっきゃないじゃん。
ところでゲオっちさぁ、魔術系コンプリートだよねー。マジ、凄くない?」
「うん、まぁそうなるね。皆、最後までとことん付き合ってよね。」
「「「「「はい。」」」」」
宿屋に帰る前にギルドに寄って、王太子殿下に、今日の首尾を報告する鳩便を出した。
数日後には王都に届くだろう。
設定を更新しました。R4/6/12
更新は火木土の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「射手の統領」も、合わせてよろしくお願いします。
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カクヨム様、アルファポリス様にも投稿します。




