精霊の加護025 湯治村リバプ
精霊の加護
Zu-Y
№25 湯治村リバプ
翌日は、ベスさんの案内で湯の町バース観光。
要するに町の名物のテルマエに行ったのだ。浴室着を着て、混浴の大浴場に入るのだ。裸は禁止。
例によってツリとクレは着るのを嫌がったが、何とか宥めすかして着させた。
男女別の脱衣所を出て、神殿風の建物に囲まれた半露天の大浴場で、早々に4人のお姉様方を見付ることができた。だってひと際目立ってるんだもの!
湯に浸かると濡れた浴室着はぴたっと体に張り付くので、ボディラインがはっきり分かる。4人のお姉様方は、まず2つのメロンボールが凄いボリュームでまわりを圧倒しつつ、芸術的なウエストのくびれで周囲を魅了し、そしてプリンとした適度なヒップにすらっと長い脚でトドメを刺す。男性客たちの視線を釘付けにしている。
もちろんそんな視線で怯む4人ではない。堂々と見せ付けるように闊歩している。あ、まわりの男性客たちが前屈みになった。笑
俺はツリとクレを両手で引いて湯船に入った。4人がやって来て俺たちと合流する。両手に美少女ふたり。そのまわりに4人のボンキュボン美女である。男性客たち、いや、男どもの嫉妬や羨望の視線が痛いが、痛快でもある。
この時間帯だと、町の人は働いてるから、今いるほとんどの客は観光客だそうだ。テルマエでは浴室着が必須なのだが、たまにすっぽんぽんで入ってしまう観光客もいるのだとか。まぁ、分からんでもない。笑
テルマエを出た後、1日掛けてバースを観光し、夕刻に伯爵邸に戻ると、セバスさんが出迎えてくれた。
「ゲオルク様、バースから北に馬車で1日のリバプと言う湯治村に、精霊と話せる老婆がいるようです。また、古の火の精霊魔術師はその湯治村の出身だとか。教会の記録に残っていたそうです。」
「おお、それはありがとうございます。その村への定期馬車はありますか?」
「いえ、行商馬車の利用です。しかし当家の馬車をお使い下さい。お送りするようにとの旦那様のお言い付けです。」
「それはありがたいです。早速明日の出発でもいいですか?」
「承知致しました。準備しておきます。」
伯爵様とは夕餉でお会いし、馬車の礼を述べた。すると、
「婿どの、水臭いことを言われるな。」
「いえ、伯爵様にはお世話になりっぱなしで…。」
「ふむ。婿どのが左様に気になさるのであれば、わしからひとつ所望しよう。よろしいか?」
「私にできることならなんでも。」
「うむ。火の精霊様と契約できたら、ぜひとも会わせて頂きたい。」
「それは元より考えておりました。」
「それは嬉しい。頼むぞ、婿どの。」
その後また、伯爵様のお誘いで宴会となり、昨日と同じパターンで、伯爵様秘蔵のアードベク30年物が出て来た。酔いの回られた伯爵様がお早めに引き上げられ、スピリタス呑みになっても、昨日の教訓を生かして今宵、酔い潰れはしなかったが、ふらふらの千鳥足になっている。実質あまり変わらんな。苦笑
また今夜も、4人のお姉様方に連れられて、部屋に戻ったのであった。
翌朝、朝餉の後、バース伯爵様と爺やのセバスさんに見送られて湯の町バースを出発した。バース伯爵家の馬車で、湯治村リバプへ送ってもらっている。
湯の町バースから湯治村リバプまでは馬車で1日なので、夕方には到着する予定だ。さらに伯爵様は、出発時に湯治村リバプの村長さん宛の紹介状をくれた。何から何までありがたいことだ。
リバプには精霊と話せる老婆がいて、古の火の精霊魔術師の出身村でもあるそうだから、近くに火の特大精霊がいる期待が大きい。
あと、ゲオルギウスのマイクが北部の村の出身で、その村には精霊と話せる老婆がいたと言っていた。確か村には温泉があるとも言ってた気がするから、ひょっとしたらリバプはマイクの故郷かもしれない。もしそうなら、ゲオルギウスの消息をつかめる可能性がある。
馬車の旅は順調に進んで夕方には予定通り、湯治村リバプに着いた。俺たちは村長さん宅で降ろしてもらった。村長さん宅と言っても実は大きな湯治宿で、送ってくれた御者は、この後は3日間の休暇で、この湯治宿で湯治を堪能して帰るそうだ。
「村長さんはいるかい?バース伯爵様の紹介状があるんだが。」
湯治宿のフロントで紹介状を渡し、村長さんへの取次ぎを頼むとすぐに応接室に通された。しばらくして村長さんが出て来た。
「ご領主様のご紹介とは、驚きましたな。しかも湯治ではなくて、精霊婆への取次ぎと、古の火の精霊魔術師と火の精霊についての伝承をお知りになりたいのですか?」
「ああ。もちろん温泉も楽しみにしてるよ。」
「一見、冒険者のお方とお見受けしましたが、魔法学院のお方ですかな?」
「両方だね。それと教会にも関係してるんだ。」
「ほう。それはそれは。極秘の調査か何かですか?」
「まあそんなところだな。仲介を頼んでるのに悪いんだけど、調査内容については、今は詳しく話せないんだ。ただし、一定の成果が出たら、将来的には魔法学院から正式に発表されると思うよ。」
「分かりました。明日は精霊婆を紹介しましょう。」
「ありがとう。よろしくな。」
ここで村長さんがベスさんに気付いた。
「おや?ひょっとしてそちらのお連れの方は…まさか二の姫様では?」
「いかにも。村長、久しいな。」
「これはすぐに気付かずに大変失礼致しました。」
「構わん。私がここに来たのは随分前だしな。それに今回は二の姫としてではなく、ゲオルクどののパーティの一員として参っている。特別な気遣いは無用ぞ。」
「そうは申されましても、そう言う訳には参りません。」
「いや、パーティの仲間と同室がよいのだ。」
「では皆様もご一緒のお部屋で。」
村長さんとベスさんで何度かやり取りがあって、源泉掛け流し露天風呂付きの特別室=8人部屋に、割引料金で泊めてもらうことになった。ちなみに俺だけ、別部屋になり掛けたが、
「村長、まだ内々のことなのだがな、ゲオルクどのは私の婚約者なのだ。」
と言うベスさんのひと言で、皆と同じ特別室に泊まれることになった。この湯治宿の大浴場と部屋付きの露天風呂の両方を堪能してやる。
この湯治宿の温泉も湯の町バースの温泉と同じく、火山性の白濁硫黄泉でプンプン匂うのだが、これが何ともいいのだ。俺はすっかりこの泉質にはまってしまった。ただし、源泉により、ちょっとずつ成分や効能に差がある。
大浴場は浴室着必着の混浴で、バースのテルマエと同じだ。まずは皆で大浴場に行くことにした。もちろん脱衣所は男女別で、例によってツリとクレは俺と一緒なのだが、浴室着が嫌だとひと悶着あった後に宥めすかして浴室着を何とか着せた。
ふたりと手をつないで大浴場に向かうと、伯爵家の馬車の御者が、
「畏れ多い、畏れ多い。」
と言って慌てて出て来た。声を掛ける間もない。あの慌てっぷり、さては中でベスさんと出くわしたな。笑
大浴場に行くと、存在感がある4人のお姉様方は容易く見付かった。なんたって、前屈みになっている男性客の視線を追えばいいのだからな。笑
ふたりを連れて4人と合流すると、ここでもかわいい少女ふたりと、ボンキュッボンな超美人のお姉様4人に囲まれた俺は、羨望と嫉妬の眼差しを浴びたのだった。
ちょー気持ちいい!もちろん風呂がね。笑
湯治宿は自炊もできるが料理の注文も受け付けている。部屋に戻ると豪勢な夕餉が始まった。この湯治宿自慢のコース料理だそうだ。北部の酒の代表はウイスキーだが、食事にはエールがよく合う。料理もエールも実に旨かった。皆で堪能した。
夕餉の後は、ほろ酔いで部屋付きの露天風呂だ。もちろんここは浴室着なしだから、衣類が嫌いなツリもクレも大喜びだ。精霊は水浴びが好きなので、温泉も好きである。
いつも通り洗ってやると、ふたりともキャッキャと大層ご機嫌だ。
湯船に浸かっていると4人のお姉様方も入って来た。皆、浴室着は着てない。うーん、堂々としてて男前じゃん!皆で入るのは、伯爵様のお屋敷の大浴場以来だ。
特別室の部屋風呂なので広いのだが、流石に7人が入るとゆったりと言う訳にはいかない。お姉様方の距離は近いが、浴室着なしの湯浴みで機嫌のいい精霊ふたりは、4人が接近していても気にしていなかった。確実に慣れて来ているな。
それにこの距離だと白濁硫黄泉ではあるが、8個のたわわなメロンが湯に透けて見えるので、非常に嬉しい。本能のなせる業で視線が8個のメロンに釘付けになってしまう。
「ゲオルク君、相変わらず視線に遠慮ないわねー。」
「いやー、すみませんねー。」
「って言いながら、眼を逸らしませんのね。」
「いやー、すみませんねー。」
「ゲオルクどの、聞いてないのではないか?」
「いやー、すみませんねー。」
「やはりろくに聞いてないか。」
「ゲオルク、あたしがぱふぱふしてやろうか?」
「お願いします!」
「なんだ、ちゃんと聞いてるじゃないか!」
『ゲオルク、エッチー。』『エッチー。』ツリとクレのツッコミに皆が笑う。
ツリとクレも笑いながら4人の間をふわふわ浮いて回っている。いやー、随分慣れたもんだなー。
エールによるほろ酔いと、温泉による血行促進で心地よい眠気に襲われ、4連続の生ぱふぱふに息巻くマイドラゴンを無視して、その晩はぐっすり眠れたのだった。
設定を更新しました。R4/2/13
更新は火木土の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「射手の統領」も、合わせてよろしくお願いします。
https://ncode.syosetu.com/n2002hk/
カクヨム様、アルファポリス様にも投稿します。