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精霊の加護011 リーゼさんとスピリタス結成

初作品なので、不慣れですがよろしくお願いします。


更新は火木土の週3日ペースを予定しています。

精霊の加護

Zu-Y


№11 リーゼさんとスピリタス結成


 ギルドの勤務が終わったリーゼさんと夕餉に来たのは、なんとリーゼさんと最初に来たお店だった。

 ただし今夜は個室である。そして、今夜はふたりきりではなくてツリとクレもいるけどな。笑


「ゲオルク君、まさか子連れで来るとは思わなかったわ。それにしても母親と思われるなんて、ちょっとショックよ。」

 新入りの店員さんに母親と間違われたリーゼさんは、ショックを隠し切れない。常連なのにね。笑


「そう?俺はリーゼさんと夫婦に見られて嬉しかったけどな。」一方、俺はご機嫌である。

「個室にしたのはその子たちを連れて来たのと関係あるのかしら。」

「流石に鋭いねぇ。」まずは乾杯。


 注文した料理と酒が出揃うのを待ってから俺は話し始めた。

「これから話すことは、今のところ他言無用だよ。」

「あら。随分もったいぶるのね。」リーゼさんは余裕の微笑みではあるが、この笑顔がどうなるか楽しみだな。


「この子たち、俺と契約した精霊なんだ。」

「え?」お、余裕の笑顔が固まった。笑

「俺、精霊魔術師になれたんだよ。」

「なんですって?」

「ちょっと、リーゼさん、声、大きいって。」

「ごめんなさい。」両手で口を押えるリーゼさん。


「それで、ルードビッヒ教授が夢中になっちゃって。もちろん大司教様もご存知だよ。って言うか大司教様もかなり入れ込んでるね。」

「え?でも、でも…、精霊魔術師ってもう何百年も出てないって言うか、ほとんど伝説よね。それになんで私にも精霊が見えるのかしら?」

「俺と契約したからだよ。契約した精霊は普通の人でも見えるんだよね。」


「でもふたりの精霊と契約っておかしいわよね?精霊魔術師が契約できる精霊はひとりだったはずよ。」

「魔力量のせいだね。契約の維持には、精霊魔術師から精霊への魔力供給が条件なんで、魔力量が多ければ複数の精霊と契約しても大丈夫なんだよ。」

「そんな話、聞いたことないわ。」

「教授もそう仰ってたよ。文献にはマルチの精霊魔術師は出て来ないんだって。今、教授はその論文を執筆中でね、近々精霊魔法に関する諸々の常識がひっくり返えるよ。」

 うんうんうんと、リーゼさんが繰り返し頷いている。普段は余裕のリーゼさんのこの驚き様ときたら…、いいもん見れた。笑


 それから俺は、

 西府近くの草原でクレと出会って契約したこと。

 その後すぐに、東部の故郷のラスプ村近くの森へツリを迎えに行って契約したこと。

 ラスプ村の神父さんに諭されて、東府教会を介して東府魔法学院で精霊魔法の解明に協力しに来たこと。

を語った。


「なるほどねぇ。それなら魔法学院から出してもらえないはずだわ。ゲオルク君を手中に収めたルードビッヒ教授の喜々とした顔が眼に浮かぶわね。」

『ゲオルクー、お腹、すいたー。』

「ああ、ごめんごめん。」

 ツリが俺の首に腕を回し濃厚なキスをして来た。ちゅーちゅー吸ってる。随分腹減ってたんだな。向かいに座っているリーゼさんが驚いている。変に誤解されてなきゃいいが。

 ツリが発光し出すと、リーゼさんの眼がさらに大きくなった。


『クレもー。』

「はいはい。」

 ツリと入れ替わりでクレも俺の首に腕を回してぶっちゅーとやって来た。舌を絡ませてやがら。リーゼさんは完全に固まっている。ロリコン認定は勘弁して欲しい。

 クレも発光して、満足げに離れて行った。


「これが魔力の補給方法なんだ。体液には魔力が含まれてるんだよ。これも文献には載ってない新発見だと教授は喜んでたけどね。」

「1回の補給でどれくらい供給するのかしら。」

「正直、分からないんだよね。俺は、減ってる気がまったくしないんでね。ツリとクレによると、俺は回復量も凄いらしくて、使った分がすぐ回復されるんだってさ。」

「魔力量8万で回復量も凄いって反則よねぇ。」

「あ、今、魔力量12万だよ。」

「え?」再びリーゼさんが固まる。笑


「東府教会の大玉は、内部にひびが入ってたらしくて正確には測れなかったんだよ。10年前は8万って言われたけど、今日の再測定では割っちゃって…。」

「大玉割るとか、ありえないわ。」リーゼさんが溜息をつく。

「ツリやクレによると俺の魔力量はもともと10万だそうで、そこにクレとの契約で1万、ツリとの契約で1万が加算されたんだって。」

「私にもその魔力量の1/10でもあればなぁ。」


 リーゼさんは俺と同じく魔術師希望だったが、魔力量が並の人よりは多いけど、魔術師としては決して多くないところへ持って来て、放出量が多くてすぐ魔力切れを起こしてしまうので、魔術師を諦めたんだったよな。俺とは逆だな。


「そう言えばリーゼさんて、魔力量はどれくらいなの?」

「それって年齢を聞くくらい失礼なことよ。」

「あ、ごめん。」

「でもまぁゲオルク君ならいいか。900よ。人よりは多いけどね。魔術師としては少ないわ。」

『900だって。もっと、あるのにね。』『ちゃんと、計って、ないのね。』

「え?」リーゼさんがぴくっと反応した。


「ツリ、クレ、リーゼさんの魔力量っていくら?」

『今は、1900。』

「今は?じゃぁまだ増えるのか?」

『潜在能力は、9000。』

「ゲオルク君、今は1900ってどう言うこと?しかも潜在能力9000って何?」

「そのまんまじゃないかな?今の魔力量が1900で、覚醒すれば9000まで伸ばせるってことでしょ。」

「嘘?じゃぁ、私、魔術師になれるの?」


 ツリとクレが、リーゼさんのところへ行き、浮遊しながらリーゼさんのまわりをまわった。人見知りの激しい精霊にしては珍しいこともあるもんだ。俺のところに戻って来て報告して来た。


『リーゼ、ゲオルクの魔力、補給されてる。』

『リーゼ、ゲオルクの補給で、上限増えた。』

「なんだって?魔力補給…あっ!」心当たりがある。

「あ!」リーゼさんも思い出したようだ。

 リーゼさんとは濃厚なキスもしたが、1度だけ最後まで行ってる。俺の初陣だ。初物食いの肉食リーゼさんに食べられたのだ。あのときは5回やった。確かに唾液より濃い体液だよなぁ。


「ゲオルク君、明日1日付き合って。郊外で魔法を試したいの。」

「ギルドはいいの?」

「明日は非番よ。あ、でもゲオルク君が魔法学院かしらね。」

「いや、魔法学院は今日で一段落。実はこれから北部へ新たな特大精霊を見付ける旅に出るんだ。明日、旅の準備をして、明後日には出発する予定なんだよ。」

「明日、午前中の半日でいいわ。お願い。」

「いいよ。もし魔力切れを起こしたら、俺が補給してあげるよ。」

「え?」

「あ、違っ…誤解しないでね。魔力切れで倒れたところを襲うんじゃなくて、キスで補給だから。目覚めのキスってやつだよ。」

「うふふ。襲ってもいいわよ。それとも、今夜…かしら。」まじか!いや、でも…。


「…いや、それはダメだな。Aランクになってから正式にお願いに行くよ。」

「うん。ゲオルク君。合格。やっぱ男はそうでなくちゃね。」

 合格?よかった。危なかったぞ。一瞬迷ったからな。

「90点よ。一瞬迷ったから10点減点ね。」お見通しかよっ!

「はい。ごめんなさい。」


 リーゼさんを自宅前まで送って別れ際に濃厚なキスをして別れた。これは魔力の補給だからな!


 翌日リーゼさんと東府の門で合流し、近場の森へ行く。

 ここでリーゼさんはいろいろな攻撃魔法を試していた。どれも初級魔法だが魔力の放出量が多いだけあって、かなりの威力だ。初級攻撃魔法ばかりなのは、魔力量の関係で中級攻撃魔法を習得できていないからだが、魔力量が増えているのを確実に実感したらしい。


 俺はツリとクレにいろいろなイメージを送って木と土のいろいろな精霊魔法を何度も試した。威力が桁違いに違うので、リーゼさんは大層驚いていたが、精霊魔法は第一形態でも、並の宮廷魔術師に匹敵する。リーゼさんには悪いが、比べるだけ無駄なのだ。同じ土俵ではないのだから。


 ツリ、クレ、リーゼさんが魔法切れを起こすたびに、濃厚なキスで魔力を補充してやった。ツリやクレのときは見向きもしないのに、リーゼさんのときだけマイサンがドラゴン化するのはご愛敬だ。

 ツリとクレは、回を重ねるごとに魔法の威力が増しているようだが、その分、魔力の消耗も速くなり、頻繁に補給するようになって来た。


 午前中で訓練は終了。荒らした森をクレが耕して、ツリが樹木を一気に育てて元通りにした。


 俺たちは昼前に帰路に着いている。

「ゲオルク君、お世辞抜きで答えて。私、魔術師でやって行けるかな?」

「リーゼさん、あれだけの威力だから十分にやって行けると思うよ。あとはGランクからコツコツと経験を積めばいいんじゃないかな。普通の新米冒険者よりも確実に成長が早いと思うな。」

「ほんとにそう思う?」

「うん。」

「ゲオルク君、明日、行くのよね。」

「うん。」

「いいなぁ。私はまた受付かぁ。」


「冒険者になって、俺とパーティ組んで、一緒に行かない?」

「ダメよ。足手まといになるわ。」

「大丈夫だよ。俺、西府ギルドでは初心者とも組んで面倒見たりしてたんだよね。フォローするよ。それに、リーゼさんならギルドの受付の知識で魔物にも詳しいよね。頼りにしてるから。」

「ふふふ。なんか口説かれてるみたいだわ。」

「そうだね。今は仲間として口説いてるんだ。Aランクになったら男として口説くからね。」

「そうね。じゃぁ、Aランクに駆け上がるのを傍で見届けようかしら。」


 その足でギルドに行き、リーゼさんは冒険者登録した。受付の知識と実績が買われてなんとEランクスタートだった。そして、俺とパーティを結成し、ギルドの受付を辞めることになった。ただし、新たな人員補給やら、引継ぎやらがあるので、今日の明日では辞められないそうだ。

 そのせいで明日はやっぱり受付業務。リーゼさんはがっくし肩を落としていた。でもまぁ、冷静に考えりゃそうだよな。


 ところでパーティリーダーなんだが、なんと俺になってしまった。リーゼさんに頼んだのだが、冒険者ランクは俺の方が1ランク上だし、それに冒険者としての経験年数が長いからと、押し切られてしまった。

 もちろん「リーゼさんの方が年上だし。」とか、地雷を踏み抜くようなことは言ってない。

 あと、パーティ名は『スピリタス』にした。これは古代語で精霊を意味する。


 スピリタス結成の件も、リーゼさんの退職の件も、リーゼさんが辞めるまで極秘だ。

 もしバレたら、それこそ東府ギルドの大事件となり、ギルドは大荒れに荒れることになるだろう。

 そりゃそうだ。人気ナンバーワンで誰もが少なからず狙っている受付嬢、リーゼさんが冒険者に転身し、Dランクの男とふたりでパーティを組んで東府を出て行くとなれば、当然そうなるわな。しかも何の前触れもなく、電撃的にだから余計そうなる。


 俺、捕まったら殺されるかもしれん。笑


 と言う訳で、俺が先に出発する。予定通り明日だ。1ヶ月ちょっと後に、北府ギルドで合流する段取りだ。


 そして俺は王都と西府でも仲間を増やす。そう、どちらにもスピリタスに加えたい人材に心当たりがあるので、誘いに行くのだ。


2作品同時発表です。

「射手の統領」も、合わせてよろしくお願いします。

https://ncode.syosetu.com/n2002hk/


カクヨム様にも投稿します。


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