42.目指せ、生産職。かーらーのー……②
『ワールドクエストを達成。スキル【薬草採取Lv1】を修得!』
『ワールドクエストを達成。スキル【鉱石採掘Lv1】を修得!』
『デイリークエストを達成。アイテム『銅の錬金壺』を獲得!』
「ふう……ようやく終わったか」
花屋で花を買い、雑貨屋やホームセンターなどで宝石の原石やパワーストーンを購入して、ようやく目的のクエストを達成した。
花も鉱石も結構な値段がしたため、聖の父親から受け取った金を半分以上も使ってしまった。それでもまだかなりの金額が残っているのだから恐ろしいことである。
100本近い花、100個近い石はかなりの重量だったのだが、意外なことに荷物としてかさばらなかった。
クエストボードのアイテムストレージに収納することができたからだ。
ストレージはクエストの報酬として手に入れたアイテム以外は収納することができない。そう考えていたのだが、『薬草』や『鉱石』として認識されている物も収納できるようだった。
ストレージには『NEW!』のマークとともに、入手したばかりの『銅の錬金壺』が追加されている。
『素材を入れることでアイテムを作成することができる壺。下級アイテムのみ作成可能。耐久値10/10』
「む……」
素材というのは、おそらく薬草や鉱石のことだろう。
『銅の錬金壺』が下級アイテムのみ作成可能ということは、他にも『銀』や『金』の錬金壺が存在しており、中級や上級のアイテムも作れるようになるのかもしれない。
ふと思いついたことなのだが、ひょっとしたらアイテムストレージに収納できる物とできない物の違いは『素材になるかならないか』で分けられているのかもしれない。
となれば、アイテムストレージを利用して素材として使えるかどうかを判断できたりもできるのだろうか。
「……試してみなければわからないな。さっさと家に帰って検証してみるか」
俺はうんうんと頷きながら帰路についた。早く錬金壺を試してみたくて仕方がない。
別にアイテムなんてなくても困らないのだが、ゲーマーの性なのか、どうしてもこういう実験はワクワクしてしまう。
俺は足早に家に帰って自室に入り、さっそく『銅の錬金壺』を取り出してみた。
アイテムストレージから出てきた錬金壺は名前の通り、赤銅色の金属で出来たものである。大きさはサッカーボールほどの大きさでそれほど重くもなかった。
「さて……何を入れてみようか」
アイテムの説明によると、『銅の錬金壺』の耐久値は10だった。つまり、たったの10回しか使えないということになる。
無駄打ちはしたくないところだが、しかしどの素材を入れればよいかなどわかるわけもない。
俺はとりあえず、花屋で買った花を2本中に入れてみることにした。
「わっ!」
花を入れた途端、錬金壺からブクブクと青紫色の煙が噴き出てきた。
毒ガスでも出てきたのかと慌てて窓を開けようとするが、それよりも先に煙は霧散して消えてしまう。
明らかに有害ガスな色をしていたのだが、どうやら人体には無害なようである。
「ビックリした…………ん?」
煙が消えた錬金壺を覗き込んでみると、中には炭のような黒っぽい塊が残されていた。
軽く指でつついて安全を確認してから取り出してみる。
「何かの燃えカスか?」
アイテムストレージに入れて説明文を確認してみる。
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錬金カス
錬金術の失敗によって生まれた残りカス。
毒にも薬にもならないクズアイテム。
――――――――――――――――――――
辛辣な説明が書かれていた。
どうやら失敗をしてしまったようである。やはり花を2本というのは安直すぎたかもしれない。
『銅の錬金壺』の耐久値を確認してみると『9/10』になっていた。予想通り、1回使うたびに耐久値が減っていくようだ。
「うーん……レシピや見本があるわけじゃないからなあ。ダメもとで試していくしかないか」
今度は雑貨屋で購入した宝石の原石を取り出して、壺の中に放り込む。
再び、銅製のツボからブクブクと紫の煙が噴き出した。
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