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29.ゴールデンウィークの終わり。そして……


 あれからスマホを片手に妹を捜し歩いた。

 苦労をして錯乱中の真麻と連絡を取り、居場所を見つけ出した時にはすでに日は沈みかけていた。


 ちなみに、俺が発見したときには真麻は赤ちゃん〇舗でベビー用品を買い物かごに入れていた。


「あ、お兄。お兄と彼女さんの赤ちゃん、男の子と女の子とどっちかなあ」


「テンパりすぎだ!」


 聖のことを俺の彼女と勘違いしたことはまあいいとして、どうしてそこから出産・育児まで発展してしまうのだ!

 いったいどれだけ女子が兄を尋ねてきたことが衝撃的だったのだろうか。


「俺はそんなにモテないと思われていたのか。いや、モテないけどさあ」


『デイリークエストを達成。スキル【精神強化Lv7】を修得した!』


「やかましいわ!」


 妹を説得して混乱を宥めて、ようやく家に帰り着いて数時間。

 うじうじと考え込んでいたせいで、最後に残っていたデイリークエストを達成してしまった。

 瞑想を3時間……まあ、たしかにこれは瞑想と言えなくもないのだが。


「はあ、まあいいや。これでデイリークエストは全部達成したな。ゴールデンウィークも今日で終わり……最後の最後で濃い1日だった」


 俺はクエストボードを操作してステータス画面を表示させる。


―――――――――――――――――――――


月城真砂


STR:28

VIT:28

DEX:12

INT:26

AGI:28

LUK:10


スキル

・身体強化Lv7(↑1)

・精神強化Lv7(↑1)

・筋力強化Lv2

・生命強化Lv2

・敏捷強化Lv2

・命中強化Lv1

・魔力強化Lv1(NEW)

・毒耐性Lv1(NEW)

・剣術Lv4

・体術Lv1

・治癒魔法Lv2(↑1)

・無属性魔法Lv1(NEW)

・祈祷Lv2(↑1)


装備

・新品のジャージ

・新品のトランクス


―――――――――――――――――――――


 ゴールデンウィークの7日間を終えて、ずいぶんとスキルもステータスも増えたものである。

 ステータスにいたっては、命中と幸運をのぞくほぼ全ての数値が初期値の3倍近くにまで上昇している。

 つまり俺の身体能力は常人の3倍。今だったら陸上競技で軒並み世界記録を出せそうだ。


「……これだけのステータスがなかったら、この数日で何度ケガをしたり、死んだりしたかわからないな……絶対に呪われている気がする。どうにかして幸運も上げられないものかな?」


 ステータスは全般的に上昇したものの、幸運は体感的には下がっているような気がする。

 いや、2人の美少女とデートをしたり、不可抗力とはいえ後輩女子の下着姿を目撃したりできたのだからトントンなのかもしれないが。


「何はともあれ……本当に濃厚すぎるゴールデンウィークだったな。ひょっとして、こんな感じで明日から学校が始まるのか?」


 俺はベッドに横になって、ここ数日の出来事を思い返した。

 脳裏に浮かんでくるのはこの7日間で出会い、関係を深めたりこじれたりした女の子たちの顔である。


 妹の真麻は例外として……クラスメイトだった藤林春歌とはろくに話をしたこともなかったが、彼女と彼女の友人である桜井早苗とデートするまでの関係になった。


 真麻が通う剣術道場の師範の娘である雪ノ下沙耶香には、なぜか目をかけてもらったようで道場に誘われており、今日はなぜか家までやってきてくれた。


 教会の娘さんであり同じ高校の後輩である朱薔薇聖からは、なぜかターゲットに指定されて命を狙われている。まさか学校でも襲ってこないだろうな?


 このゴールデンウィークで会った少女たちはかなり癖があるものの、全員が全員、とびきりの美少女ばかりである。

 クエストボードを手に入れただけで女性関係まで変わるのかと驚かされるばかりだ。


「これでゴールデンウィークも終わり。明日からはまた学校か……」


 そんなことをつぶやきながら、俺は右手を胸にあてる。

 胸の奥ではバクバクと心臓が高鳴っている。


 以前であれば連休の終わりはひたすらに憂鬱な気持ちになったが、今晩はやけに気分が高揚している。


 クエストボードという日常に落ちてきた大きな変化が、平坦で平凡だった高校生活にどれだけの影響を与えるのか楽しみになってきた。


「やばいな、興奮してきた」


 異能を隠して生活している少年や、魔法少女であることを隠して日常を送る少女。

 今の俺ならば彼ら彼女らの気持ちがわかってしまう。

 自分の人生が非日常へと踏み込んで特別なものになったことを、あらためて痛感する。


「やばいやばい、これじゃあ今晩は眠れないな。明日は早く起きてデイリークエストをやってから学校に行きたいっていうのに。ああ、まったく。落ち着け落ち着け。今夜は早く寝ないと…………あ?」


 と、そこまで独り言ちて気がついた。

 高揚していた気分が瞬く間に鎮火する。


 ガバリとベッドから身体を起こして机の上に放り出してある通学カバンを見つめ、これでもかと顔面を歪める。


「…………ゴールデンウィークの宿題、忘れてた」


 ゴールデンウィーク最終日。

 徹夜が決まった瞬間であった。



いつも応援ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白い。 [気になる点] 13話で剣術Lv4になってるので、今回上がったのはおかしい。 [一言] Lv表記管理はしてください。
[良い点] 学生は宿題からは逃れられない……
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