美少女+ゴツい武器=何故かテンション上がる ④
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「うおおおおおおおおっ!?」
眼前に迫る青白い光線を前にして、俺は思わず身体をのけぞらせた。
反った身体の前方を光線が通り抜けていき、それは背後にある民家に向かって命中しようとして……。
「……って、それは不味い!」
このままでは、ご近所の田坂さんの家が吹っ飛んでしまう。
先日、田舎の親戚から送られてきたドリアンをおすそ分けしてくれた田坂さんが……!
「いや、田坂さんは何人だよ!」
田舎でドリアンを生産しているって、いったい何処の出身だというのだろう。
ともあれ、俺は田坂さんの家を守るために魔法を発動させる。
「時よ止まれ……ザ・〇ールド!」
時間を停止させて、破壊光線の前に回り込む。
そして……バレーのレシーブの要領で光線を受け止めて空に向けて軌道を逸らす。
「真砂レシーブ!」
うわ、それなりに熱い。
スキルで強化した腕で受けたから良いものを、直撃していたら鉄板にだって穴が開いていたことだろう。
「こんな攻撃を街中で撃つとか非常識な……! とりあえず、排除してもよい敵であることは間違いないな!」
「攻撃失敗。相手の行動、および発動させた魔法を解析、学習します。引き続き、パターンを変更して排除行動を続けます」
最終兵器女性(仮)が機械じみた声で言うと、背中から数十発のミサイルが出現した。
止める間もなくミサイルが放たれ、様々な軌道から俺に向けて殺到してくる。
「ザ・〇ールド!」
再び時を止めて、ミサイルをどこか別の場所に転移させる。
とりあえず宇宙空間にでも放り出せば問題ないだろう。物騒な兵器は宇宙の彼方まで飛んでいってくれ。
「対象を攻撃します」
「なあ!?」
だが……女性の攻撃はまだ続いていた。
まだ時間を停止させているというのに、最終兵器女性がこちらに飛びかかってくる。
女性の両腕はそれぞれサーベルのような形状に変わっていた。遠距離攻撃をあきらめて近距離攻撃に切り替えたのだろうか。
「時間を止めてるってのに……マジで何者だ!?」
俺は焦って叫びながら、首を斬りにきたサーベルを回避する。
時間を止めるというのは、マンガやライトノベルにおいて最強とされる能力だ。過去にもこの魔法を破る敵はいたが……いずれも神やそれに近い存在ばかり。
「つまり……この敵も神に匹敵する能力を持っているわけかよ!」
壊れたアスファルトの破片を材料にして錬金術を発動。剣として形成して、最終兵器女性のサーベルを受け止める。
「フンッ!」
「…………!」
「喰らえ!」
そのまま胴体を蹴り飛ばして距離を取り、魔法で攻撃。環境にも優しい風属性の魔法が女性に向けられる。
最終兵器女性の胴体に切り傷が刻まれて、赤い血が飛び散った。とりあえず赤い血が流れている生き物のようである。
「攻撃パターンを解析、学習いたします……攻撃発動」
「うわっ!」
最終兵器女性が風の魔法で攻撃してきた。先ほど、俺が繰り出したのと同じ技である。
「俺の能力をコピーしているのか……!?」
そうだとすれば……結構な脅威である。
時を止めている空間の中で動けているのも、俺の時空魔法をコピーしたからなのか。
「こちらの能力を学習してどんどん強くなる……! 長期戦は禁物だな!」
ならば……とるべき手段は短期決戦。
一撃必殺の大技によって、一気に勝負をつけてやる……!
「学習する暇は与えない……超加速!」
スキルによって極限まで身体能力を強化させる。
限界まで強化された速度により、目の前の敵……最終兵器女性(仮)に雨あられのような攻撃を浴びせかけた。
「ウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラアッ!」
「ッ……!」
無数の打撃が炸裂。
全身のあらゆる場所に拳が蹴りが頭突きがビンタがヒップドロップがシャイニングウィザードが乳揉み攻撃が噛みつきがスクリュードライバーが殺到する。
最終兵器女性が吹き飛ばされて地面を転がっていき……そのままに倒れて、動かなくなった。
「勝負あり……戦いというのは虚しいな」
倒れた最終兵器女性の姿を見て、俺はゆっくりと首を振った。
勝利はしたものの……俺の胸にあるのは虚無のような虚しさである。誰が好き好んで女性の姿をした相手を叩きのめさなくてはいけないのだろう。
勝っても負けても、女性をぶちのめすなんて悲しくなるだけである。
「う……ん……」
「ん……?」
だが……女性はまだ、死んではいなかった。
当然だろう。倒すだけで殺さない程度に手加減をしたのだから。
「まだ動けるのか……手加減をし過ぎたみたいだな」
俺はトドメを刺すべく女性に近づいていった。
もちろん、殺すわけではないが……二度と戦えないように心を折らせてもらおう。
「機能停止……再起動……損傷率45パーセント。精神を司る部位に重大な損傷あり」
「ん……?」
「損傷個所を復旧……失敗。マスター登録が抹消されています。新しいマスターを認証します」
「おい、大丈夫か?」
打ちどころが悪かったのだろうか。
さすがに心配になり、治癒魔法でもかけてやろうかと彼女に近づく。
しかし、唐突にその女性が顔を上げて、俺のことをまっすぐに見つめてくる。
「新しいマスターを登録……認証完了いたしました」
「へ……?」
「これから、よろしくお願いします。マイマスター」
「おおう!?」
女性が立ち上がってハグしてきた。
先ほどの攻撃によって服が破れており、剥き出しのお乳が押しつけられる。
「えっと……ナニコレ……?」
避ける間もなく……というか、服が破れて半裸になった女性のハグを回避する理由がなかったため、されるがままに抱き着かれた。
俺は困惑しながら、男の本能によって彼女の胸の感触に集中するのであった。
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