激闘! 退魔師試験!⑫
何者かが放った炎の一撃により、俺がせっかく作った家が消し飛んでしまった。
後に残されたのは巨大なクレーターだけ。爆炎から逃れた木々も軒並み倒れており、まるで核ミサイルが撃ち込まれた爆心地のようなありさまとなっている。
「ハア、ハア……危なかった。あと少しで跡形もなく消し飛ばされるところだった……」
直撃した家から1キロほど離れた場所で、俺は荒い呼吸を繰り返す。
かなりのピンチだった。吸血鬼の『神』と戦って以来の危機感である。
不意打ちで広範囲攻撃を撃ち込まれた俺であったが、魔法で時間を止めることによってどうにかやり過ごした。
時間操作は精霊の加護を得てパワーアップした俺にとっても大技。かなり魔力を消耗する大魔法だ。
そうしなければ回避できなかったということは、それだけあの一撃が強力だったということである。
「とんでもない奴が現れたな……おそらく、アイツが『金』のメダルの持ち主。この島の主といったところか」
俺は頭上を睨みつける。
見上げた先……そこには金色の尻尾をなびかせた獣が空に立っていた。
圧倒的な威圧感を放ちながら、当然のように空を飛んでいるのは9本の尾を生やした体長3メートルほどの狐。
いわゆる『九尾の狐』と呼ばれるビッグネームの怪物だった。
『クオオオオオオオオオンッ!』
九尾の狐は高々と鳴くと、どこかに飛んで行ってしまった。
どうして襲われたのかも不明である。ひょっとしたら、意味なんてない気まぐれだったのかもしれない。
「神格に至った俺でさえ持て余すような強大な怪異。なるほどね……退屈な試験かと思いきや、なかなか面白くなってきたじゃないか」
「あの……月城さん、そろそろ下ろしてはいただけませんか?」
「ん? ああ、そうだった。君らがいるのを忘れてた」
俺は視線を下げて、両手にそれぞれ抱えた少女らに目を向ける。
右腕に抱えられているのは雛森紫蘭。左腕に抱えられているのは遠藤カスミ。爆炎に包まれる家の中から、ギリギリのところで救出してきた女の子達である。
2人は入浴している最中だった。もちろん、一糸まとわぬ全裸である。
髪の毛までぐっしょりと濡れており、胸もお尻も余すところなくさらけ出されていた。
「悪いね、さすがにタオルに包んでくるほどの余裕はなかったんだ。許してくれ」
「いえ……私も状況は理解していますので大丈夫です。大丈夫、なのですが……あまり胸を触らないでいただけますか?」
「へ……胸だって?」
「そんなに強く揉まれるとおかしな感覚が…………んああっ!?」
紫蘭が鼻にかかったような声を上げる。
両手に少女らを抱えている俺であったが……その手がワシャワシャと彼女達のおっぱいを揉みしだいていた。
これは俺のものだと所有権を主張せんばかりに揉みまくり、先端をつまんでは引っ張り、反対にグッと押し込んだりと、それはもう好き勝手に弄んでいる。
これまで男からそんな暴虐を受けたことはないのだろう。紫蘭はビクビクと身体を震わせながら、両脚を所在なさげにすり合わせていた。
「はう~。ばたんきゅ~……」
ちなみに、カスミの方は目を回して気絶していた。
こちらも大きな胸を揉まれまくっているが、完全な無抵抗である。
紫蘭の胸が掌サイズのジャストフィットな大きさであるのに対して、カスミの胸は八甲田山級。
エベレスト委員長には遠く及ばないものの、なかなかボリューミーな感触だった。
「うわっ! なんていうことだ、全然気がつかなかったぞう!」
俺は慌てて彼女達の胸から手を放そうとするが……両手が吸いついたように離れない。
男の欲望に負けてしまったのではない。本当に離れなくなっているのだ。いや、マジでね?
「クッ……やはり力を使い過ぎるとこうなってしまうのか! 俺としたことが、力に飲み込まれるなんて情けない!」
吸血鬼の『神』と戦った時にも起こったことだが……妖精の加護によって得た力を過剰に使うと、何故か周囲にいる女性にセクハラをしてしまうのだ。
追い込まれて命の危機を感じたことで子孫を残そうという欲求が高まってしまうのか、それとも俺の身体に宿っているあのスケベな妖精が前に出てきているのか。理由は不明である。
「負けるんじゃない、俺! 頑張れ、俺!」
「あっ……ダメです、そんなところを……ああんっ!」
「ふえ……私はお風呂に入っていたんじゃ……って、何ですかこれはああああああああっ!」
どうにか妖精の力を押さえようとする俺であったが……残念ながら、簡単に抑え込むことはできない。
2人の身体をセクハラしまくり、土下座して謝罪することになったのである。
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