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第十二話『プライドクロスランス』

 伊之助が行ってしまった。


「行ってしまったものはしょうがありません。私たちはできることをやりましょう」


 伊之助のお姉さんが静かにそう言う。兵士たちももう加勢に行ってしまい、ここに残っているのはボクとマシューとお姉さんだけだ。


「伊之助ッ!!」


 ボクは外に向かって叫んだ。外では激しい戦闘が繰り広げられていた。

 国王様が放った電撃はプライドに楽を与えず、トモヒロのオーラグマナから射出された魔力弾はプライドの獅子を穿つ。そして伊之助は総毛逆立てて白銀の闘気(オーラ)を眉間から放ち、魔力を溜めている。


 そして――――三人は何故か全裸だった。


「……」


 長い戦闘で全裸になるというのはまだ理解できるが開始十分もたたない内に全裸というのはもはや自分から脱いだんじゃないだろうか。


『三人に続けェェェッ!!』


 全裸の兵士たちが燃え盛る炎を纏った剣を手にプライドに向かっていく。


「なんで脱いでる…なぜ脱ぐゥ!! トモヒロッ!!」


 マシューが思わず突っ込んでいたが、それは恐らくボクらの総意だろう。


『溜まりましたッ!!』

『よし! トモヒロ殿ッ!! 締め付け、コレノスケ殿は魔力弾を放ってくれッ!!』

『『はい!!』』


 橙色の魔力が、白銀の闘気を纏いプライドにぶつかる。


      ○


 やったか……?


「ッ!! 無傷だ!!」


 くそっ……僕の魔力はあれが限界だ。とはいえ二人は戦っているので魔力は期待できない。どうすればいい。どうすれば……。


『伊之助!!』


 後ろからピートくんの声がする。振り返ると、そこには恐怖に顔を染め、それでもなお立つピートくんがいる。


『本気でッ!! 世界を殺す気でッ!!』


 ―――本気で行こっ、世界をハチャメチャに殺す気で!!


「ピートくん……」

『城も大地もどうせ直せるから……出せる限り最大限の力で!!』


 出せる限り最大限。出せる限り最大限か……それだったら、もう誰にも迷惑かけないかな。

 みんな、僕を認めてくれるのかな。


「ありがとう。ピートくん」


 届かないだろうが、僕は呟いた。


 所詮僕らは意味不明で、愚か者なのだ。だったら僕はこんなくだらない世界に向かって拳を向けたい。思い出した。



「行くぞプライド。魔力はないが、僕も…プライドがあるんだ」

「GAWOOOOOOOOOOOOOOOOO!!」


 魔獣の咆哮。

 振り上げられた右前脚からは爪が伸び出ていて、当たったら即死だろうと、僕に直感させる。


「うおぉぉぉぉおおおおおおおおッ!!」


 国王様が何かを投げてくる。オーラグマナ?


「闘気版だ!! 使え!!」

「感謝するッ!!」


 待て、なんで闘気版? まあいっか。


 僕はオーラグマナを握り締め、籠手の形にする。僕、闘気あったのか。


「行ける気がする…ッ!!」


 プライドが睨め付けてくる。

 僕は飛び出し、プライドに向け拳を握る。

 プライドは土属性の魔法か、岩を生成し投げ付けてくる。


「やかましいわ、ボケェッ!!」


 籠手を纏った右腕でそれを跳ね除け、地面から瓦礫を手に取り、プライドに向けて投げつける。


 プライドはワニのような尻尾を使い、瓦礫を防ごうとするが、智宏がその尻尾を蹴りあげ、そうさせない。


「ナイスだよ、智宏!!」


 後に知ったことだが、僕の魔力の橙色は身体能力を底上げする魔力だったようだ。ちなみに白銀の闘気はすべてを底上げする天使の闘気とも呼ばれているそうだ。


愛厳聖星(アガンセイセイ)―――」


 智宏が何かを呟く。愛岩聖星……ちょっと待て。お前それはあかんで。


「やめ―――」

愚乱釘突(グランテイツ)ッ!!」


 ドゴォォォォォォンッ!!!!!!!!


 智宏の叩き込んだ金色の拳によりプライドは空高く打ち上げられた。


「やめろって言っただろうがァァッ!! お前腕大丈夫か!?」

「ああ。魔力のお蔭でな」

「あぁもう……心配させんな…ばか……」


 段々と降下してきたので僕も闘気を拳に纏う。白銀の闘気だ。


阿玩誓世(アガンセイセイ)―――」


 プライドは僕を睨めつけ、吠える。

 阿呆な世界の玩具の僕は誓ったんだ。世界を壊してやると。


救嵐諦吐(グランテイツ)ッ!!」


 白銀一閃。 カタは付いた。


      ○


 それはまるで黄金の槍だった。それはまるで白銀の十字架だった。その槍と十字架は伝説級の魔獣…プライドを貫き、血の雨(レクイエム)を降らすに至った。


 これが現時点での異世界訪問者の実力。


「ははっ」


 面白いじゃないか。待っているぞ、伊之助、ついでに、過去の私よ。


      ○


「ふぁ……」


 思わず声を洩らした。綺麗だった。十字架と化した彼の闘気は


「コレノスケ…さん!!」

「ピートくん」


 伊之助はふうと息を溢して滲んだ汗を拭いた。


「かっこ良かった…!!」

「あはは。ありがと」


 額に灯った闘気がフシュウと音を立てて消えた。

 なぜそこから出てきたのだろうか。ちょっと気になる。


「勝利か?」

「お疲れさん、智宏」

「おう」


 負傷兵は約五人。僕らは最良の勝利を納めた。


 これも異世界から来てくれた二人のお蔭だ、ということで王国は報酬として百万ゴールドを二人にあげたのだが、二人は高額金の前で気絶して倒れてしまった。


 強い人なのにお金が弱点なんて常人過ぎる。化け物馬鹿なのに。

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