■1章 害獣設定
1章で出た害獣の設定のようなものです。
読み飛ばしていただいて構いません。
■琥珀の沼
体長:約10m(地形に合わせて広がる為可変)
半透明で琥珀色をしたゲル状の害獣。
大抵の場合は半径5m前後の沼に擬態しており、常に甘ったるい香りを漂わせている。
あまり活動的ではなく、普段は「疑似餌」を作り出すことで狩りを行う。
疑似餌は近付いてみれば人間ではないとはっきり判るほどに出来が悪く――平たく言えば、崩れた泥人形のようなモノ。
しかしそれも遠くから見れば判別を付けづらく、疑似餌の位置を調整することで獲物を誘うのだ。
獲物が逃げられない距離まで近付いたなら、その時ようやく琥珀の沼は動き出し、そのゲル状の体で哀れな獲物を包み込む。
甘い香りと柔らかな感触は、獲物の体からすぐさま力を奪い、しかし苦痛を与えながら徐々に、徐々に溶かして捕食していく。
物理的な干渉に強く、火に極端に弱い為、燃やすのがとにかく有効。
基本的には緩慢にしか動かないが、命の危機に瀕した際に、時折暴れるようにのたうち回る個体が存在するため、注意が必要である。
■柔肉の沼
体長:不定(捕食してきた生物に応じて際限なく広がる)
より悪辣な能力を得た、琥珀の沼の変異種。
琥珀の沼の疑似餌を作成する能力がより強化されており、形成した繭に捕えた生物の能力を疑似餌に反映させるにまで至った。
繭に生物を捕えた柔肉の沼が形成する疑似餌は人間同様の知性を得ている為、それがそうと判別する事は困難である。
同時に柔肉の沼自身の知性も捕えた生物の数に応じて増していく為、一度人間が捕えられれば手口はより巧妙に、狡猾になり連鎖的に被害が拡大していく。
過去にパラディオンが数名捕われた時には、小隊規模の編成をもってして尚、柔肉の沼を駆除するまでの間に甚大な被害を受ける程であった。
もっとも、柔肉の沼自体の能力は完全に捕えた生物に依存している為、何も捕えていない場合は然程驚異ではない。
繭に捕われた者を救助さえ出来たなら、ただの巨大な琥珀の沼となる。まずは、捕らわれている物を救助する事が最優先。
救助したならば、後は琥珀の沼と対処法は同様である。
ただし、駆除の際は一つだけ注意しなければならない点がある。
生存本能か、それともそういう生物――否、害獣だからか。
柔肉の沼は自らが命の危機に瀕すると、今まで捕食してきた犠牲者の断末魔を再現する習性があるのだ。
これを見て精神的に不安定になる者も少なくない為、駆除は出来うる限り迅速に行う必要がある。




