1.昼
夜こそが美しい。
夜だけが美しい。
おかしなもので、僕にはそう思えてしまってならないのだ。
昼は辛いよ、夜にしか僕は生きられないんだ。
痛々しい、病んだ考えだろうとは思う。
何を言っているのか、僕だって笑ってしまいそうだ。
馬鹿らしいのはわかっているんだ。
だけど、僕にはそう思えてしまうんだ。
こんなことを考えてしまっている、それは、ただそれだけで苦しいことであり、心が傷付けられることであった。
昼なんて存在しなければ、ずっと夜であってくれれば、こんなことを思うことだってないだろうに……。
ますます馬鹿らしいことである。
夜は夜であり影なのだ。昼は昼であり、そちらこそが明であり光であり、そちらこそが表であるのだ。
認めざるを得ないことであるし、僕が否定したところでなんともならない、正である。
そんなことを思っていると、僕は昼には存在してはいけないように思えてくる。
否定することにより、否定されているような気分になり、自己否定が自分を追い詰める。
僕は、僕はどうしたらいいんだ。
僕の居場所はどこにあるんだ。
日が暮れるその瞬間まで、僕の苦悩は、葛藤は終わらないのだった。
このまま日が長くなっていったとしたら、いつ苦しくなって、耐えられなくなってしまうのかがわかったものじゃない。
夏を越えることさえ、自信がなくなって来るのだった。