第2章34話 「再確認」
久々の更新です…!覚えていない方がいらっしゃるかと思ったので
これまでのあらすじを序盤につけています。
より深く見る方は都度ご覧ください。
ではあらすじ含めご覧ください(^^♪
*これまでのあらすじ*
人と鬼の間に生まれた半妖である山城慶は所属した百鬼夜行での
事件を調べていくうちに復活者と呼ばれる異形の存在と相対する。
復活者、アナスタシオスの目的が不明瞭のまま慶はアナスタシオスをよく知るという人物、
ディオミスらと協力し排除しようとするのだったが
その思いも無念に百鬼夜行と陰陽道による戦が開戦してしまう。
アナスタシオスを撃破後、慶はディオミスのお願いからその世界から離れ
時の止まった世界、狭間の世界へと足を踏み込む。
狭間の世界では管理人でありディオミスの主、ツキネが協力を申し出る。
それはアナスタシオスを世界からその存在を消して元の調和のとれた世界にする、というもの。
慶はそれを了承し百鬼夜行に所属していた世界線から陰陽道に所属する世界線へと転生する。
転生した後の世界では慶は陰陽道の次期大将として同じく反百鬼夜行派の次期大将である、
香山由理と政略結婚をすることになりめでたく慶は由理と結婚するのだった。
政略結婚をして月日が経った後慶は自分が置かれた立場をよく理解するためにも
更なる情報の開示を求め狭間の世界へ押しかけアナスタシオスに関する過去、
そしてその他様々な情報を得る。しかしその情報は穴だらけで肝心なことを教わることが無かったため
慶はツキネと書庫の管理人、雲雀に迫る。
アナスタシオスと繋がっているのではないかと疑われた慶は
その後疑念が晴れることになり本当の情報と真実を知り、
これまでよりはか信頼した関係となり慶は三者会合のために
狭間の世界から元の世界へと移動するのであった。
・
目が覚めると慶はいつものように敷布団の中にいた。
普段となってしまった日常では横に由理がいるのだが
今日も自室で妖気含め身体を養っているだろう。
慶と由理、二人が信頼関係になるために
模擬試合をした後由理は妖気が枯渇しかけた
ためそれを回復するためにもここ2~3日は安静にしている。
今日は由理の友人含め百鬼夜行総大将となったという坂崎銀次郎が来る。
正直懐かしい気分なのは由理だけじゃない。
(俺も……だな)
しかし銀次郎が百鬼夜行総大将となっていたのは驚きだった。
前の世界線ではそんなことは起きてなかった。
前の世界線、自分自身が百鬼夜行に所属していたあの世界。
あの世界線では銀次郎は次期総大将という地位にはついていない。
初めて起きた?となればまた一から世界線について考えることになるが
多分、百鬼夜行に所属していた世界線よりも
前の世界線で次期総大将として選ばれていたか
もしくはこの世界線で初めてそれが起きたか。
何にせよそこは問題ではない。
(百鬼夜行内の問題は……別だが)
親父に電話をした時に得た情報、それは百鬼夜行内部に不審な動きがあったことだ。
そしてそれが調べてもらった"復活者"に関する情報であること。
この事件から手を引けと言われたがどんな情報だったかは分からない。
あくまでも親父は簡潔的に述べたまでだからだ。
だがこのことを銀次郎は知っているのだろうか?
いやしかし俺が分かったのはあくまでも居場所だけだ。
あちらがどこまでを取り込んでいるのかは分からない。
復活者、アナスタシオスは相手の心を折ることで
その者を自分の思うように操れるようになる。
前の世界線では多くがアナスタシオスに
操られたり心を折られ乗っ取られりした。
今回もそのようなことが起きるなら
事前に居場所だけじゃなくそういった情報も欲しいとこだ。
誰を取り込んでいるのか、そしてアナスタシオスは本当に単独で動いているのか。
自分自身ここまで動けるのは他人の協力もなしにやるのは困難だからだ。
全員が全員そうではないがそれでも協力者がいると考えてもおかしくはない。
「……いっそ銀次郎にすべて話す?
いや……そんなことしたら世界線についても話さなきゃ……。
……!待てよ?銀次郎のいる百鬼夜行には紗々さんがいる。
それに話すと言っても百鬼夜行内部の脅威として話せばいい。
なら一理あるのか……?協力関係ってのも……」
時間は近い。
着替えながら慶は考えを巡らせる。
考えが固まるころには午前中と呼ぶにふさわしい時間で
客人が来てもおかしくない時間になっていた。
由理の自室前へと移動し声をかけると中から
由理が入っても良い、という旨の返事をしたため
慶はそのまま由理の自室へと入る。
入ってすぐに襖を閉めて振り向くと慶は一瞬驚いて
わっ!という小さな声を出してその目線の先の由理を見やる。
由理は上下ともにあられもない姿で着る衣服について頭を悩ませていた。
「あ、襖ちゃんと閉めた?」
「しっ……閉めたけど……」
慶は由理の裸を恥ずかしながらも
上から下にかけてチラチラと見つめていく。
由理はそれに気づきもせず衣服を比較しながら悩ませて慶を見る。
「どっちが良い?」
「どっち……って……えっ何が?」
焦ってたためか聞かれてキョトンとした慶に
由理はもう~と言いながら衣服を前に突き出す。
その時小さく実った二つの果実と言えば良いか。
それがぷるんと揺れる。
正直服よりも慶は由理の身体に目がいっていた。
この世界線での由理は前の世界線同様に身長も150か160くらいの平均で
体格も痩せ過ぎず太過ぎず、平均だがそれでも彼女の本質である屍特有の
薄い白肌も零れた朝日により
綺麗な光となって慶を魅了していた。
※妖怪の本質についてのおさらい
妖怪の本質、それはある種の妖怪それぞれが持つ習性のようなもの。
種族によって苦手なものがあったり得意なものがあったり、
また種族によって肌の色だったり見た目に差異が出たりする。
(違う意味での本質、例えば言葉の本質といった意味合いの違う語句が
過去に出ている場合があります)
「……」
「……?どうかしたの?
なんかついてる?」
「いっ、いや!つい……」
だがそれでも由理はキョトンと何をしているんだろう
といった疑問の目を向けていた。
前いた世界と今の世界での違いに、
慶は目の前にいる由理を見つめながら思い出す。
前いた世界で初め、由理は感情をはっきり出して喜怒哀楽を出していた。
美世に聞いた話じゃ打ち解けた後はかなりテンションが高くて明るく前向き。
それでいて百鬼夜行に匿われているときは戦闘面でも才を出していたと聞く。
だが今の世界はその性質は変わらないものの
恥ずかしいという感情が抜けているとは思わなかった。
前の世界ではそんなことはないように見えたが
あれは見間違いだったのだろうか?
「肌白くてきれいだな、って」
「!……そっ、そう?照れちゃうな……あまり見せないしね。
慶は特別だしね……。」
前言撤回、恥ずかしいという感情はあるみたいだ。
というかどうしたんだ?
今まで俺は由理のことを背伸びした少女、
といった印象が少しあるにはあったが
とても大人びた女性のように目の前の彼女はそう見えた。
……いや、やめておこう。それ以降の考えはあとでしておこう。
「そ、そういやチラッとしか聞いてなかったけど
由理の種族って何なんだ?俺は人間と鬼の間に
出来た子だから半妖ではあるんだが……」
「えっ、私話したっけ?」
「いや前模擬試合した後由理すぐに休息摂ったろ?
あの後、須原(※由理の小姓役)に聞いたんだ。
屍だって。……どうした?」
すると由理は複雑そうな顔をしながら慶を見つめながら呟く。
「あのね、私純粋な屍じゃないんだよね…」
「純粋ってことは純血ってことか、ってなら半妖ってことか?」
そう言うと由理は呟く。
確かに半妖であると、だがそれだけではなかった。
「お父さんが屍でお母さんが慶みたいな鬼と人との間に生まれた人なの。
一応立場上は一番血が濃い屍……だけど本当のことを厳密に言うと
屍、鬼、人の三種族があることになるね。
でもあまり話したくなかったからさ、この話。」
「ん?どうしてだ?種族自体は別に問題じゃ……」
「いやあるよ。
特に権力って力があっても時と場合によっては問題視されるの。
反派閥だとしても妖怪を率いた百鬼夜行なんだよ。
なのにそれを率いる一番トップの人が純血じゃないしかも三種族の
血があるだなんて知られたら世間体的には不味いことになるの。
だからあまり言いたくなかったんだ。
まぁどちらにせよ屍だって分かってくれただけ良いかな。」
世間的に不味い。
それに慶は自分のことを含めながら陰陽道のことについて考える。
陰陽道は基本半妖がいない。
人間だけのみで成り立つ組織であり妖怪は入れてはならない。
だからこそ親父は母さんと別れて暮らしたりしたのか。
何か決まり事があるのかと思ったら
そんなくだらないモノだったのか。
慶はそっと由理の髪を撫でる。
茶色の長髪が揺れまた漏れ出た光は
その茶色の髪も掠め取って彼女を綺麗に照らした。
「別に大丈夫だよそんなの。
俺はそんなことで変な目で見たり不味いだなんて思わないさ。
話してくれてありがとうな、じゃあお揃いだな!
俺も鬼と人間の半妖だしさ!」
「……暖かいね。うん、ありがとう。
えへへ……嬉しいよ♪」
由理は笑いそれに俺も答えるように笑ってさぁ!と言って突き出された着物に
慶は恥ずかしそうにこっちの方が肌の色にも似合うんじゃないか?
と言ったりと審議をして着る着物が決まった、その時だった。
後ろの襖が開きそこには先ほど話題の中に登場した須原雪南が立っていた。
「香山様、着物の方はどうなされましたk―――」
「あ!雪南!丁度良かった~これ!慶が選んでくれたの!」
話題に上がっていた雪南に振り向く前に慶は気付く。
今由理がどんな状態で自分と喋っていたかを。
そして慶は何故か悪寒が走り振り向きたくない
衝動に駆られ一時停止してしまう。
その光景に由理は?マークを浮かべていた。
「……そうなんですね。それでヤマシロ様?
これは一体どういう状況なのですか?」
「あっ、いっいや……」
「こちらを向いてください。今向けば痛くはしません。」
痛くするって聞こえたが嘘だろう。
だって立場的に俺の方が上なわけだし。
だが今のこの状況的に俺は最底辺にいるだろう。
「どうしたの、慶?」
「いや何でもないよ。」
「ヤマシロ様……?話を聞いておられますか?
……聞いても無駄なようですね。
香山様、これは一体どういう状況なのですか?」
「ん~?
えーっと……慶に慰めてもらってから
私に合う着物を選んでくれたっていう感じ?
この着物の方が私の肌に合うって―」
「山城様?」
由理の前半誤解を招くかもしれない言葉に須原はニコッと
目だけは笑わずに慶を見つめる。
こればかりは振り向かないと、と思った慶はその笑顔を見て冷や汗を垂らす。
そして。
「着替えは私が手伝いますのでここから出て行ってもらえますか?
それとも他にやることがあるのですか?」
「……いや。じゃあ俺はこれで。」
「??うん、じゃあまた後でね!」
なんだその軽いノリは。
そう考えながらも目が笑っていない須原に背中を刺すように見つめられながら
慶はその場を退散した。




