第2章32話 「世界の根幹(Part.3)」
やっとかけたぁあああああああ!!!!
すみませんまとめるのが難しくて二か月もかかってしまいました、
どうも久々ですね…工藤将太です。
文量も多めでかつ今回の説明パートではかなり難解とも取れる部分が出てくることがあるので、
後で説明を分かりやすくするために挿絵をつけようかと考えています。
それでは待ちに待った方もいるでしょうwでは続きをどうぞ!
※前回のあらすじは書いてないです、申し訳ない(;'∀')
「これ以降は直接は私と関係のない話。
とある家族が常界と呼ばれる世界で殺される事件が起きた。
正直言うと私はアリスの後継者にはなったものの他の世界の干渉を
許可された身じゃない。
だからその事件のことも見る気も聞く気も無かった。
でもその事件を起こした人物を知った時そうはいかなくなった。」
ツキネはそう言い慶もその先を追う。
慶はきっとこういうのだろうと、
今までの話の流れを掴みながら呟いた。
―――アナスタシオス……
「そう、彼だったのよ。
そして私はその世界のことを調べ始めた。
何せ今まで関わったことのない世界だからね。
そして衝撃の事実に行きついた。
追放を受け彼が降りたった世界、常界。
彼は降り立ったわけではなく"介入転生"したのよ。」
―――介入転生。
造語のためかよく理解できていない慶に対しツキネは
知識を補うために"転生"と"介入転生"の違いを比較しながら話し始めた。
転生というのは別の世界からまた
別の世界へと生まれ変わることを指している。
輪廻転生とはまさにこのことで
仮に○の世界から△の世界へ転生すると仮定する。
このとき○の世界の転生者は△の世界のもう一人の自分、
もしくはもう一人の自分に成り代わるモノに、
置き換わることで転生自体は完了する。
ただし要注意点として転生は前の世界が初めてあって成り立つもの、
つまりこの例で言えば○の世界があってこそ
△の世界へ転生することが出来る。
しかし今回のアナスタシオスのケースは
転生ではなく"介入転生"に値してしまう。
介入転生と転生の違いは例で言えば○の世界の有無なのだ。
○の世界はツキネがアナスタシオス追放のため消滅させている。
―――つまり、○の世界の情報がない。
アナスタシオスがどこで生まれたかを示す場所や世界の情報が、
世界の消滅を見た者だけが記憶しているだけで世界の情報は
すっかりと無くなってしまったのだ。
○の世界の情報がない場合△の世界へ転生する際に
生い立ちや境遇が転生者の記憶のみとなり結果は残されない。
その結果、転生者の情報を補うために世界は分岐し複雑な一途を辿る。
世界が二手にまた三手に、複数に分離する……本来は一つの世界線が
疎らに広がり始めたのだ。この世界に複数の自分を転生させること。
これこそ介入転生と呼ばれるものだ。
「通常の転生であれば置き換わる前の人の人生を
自分がそこに置き換わるからメリットはそこかもね。
転生する前の世界が破滅的であれば転生することで
その転生した人の人生になるんだもの。
でも介入転生は違う。
複数の世界線にそれぞれ転生していること、
それ自体は何も問題じゃない。
問題なのは介入転生者が関わり
"捻じ曲げた事実がその世界線の恒常"になるの。」
世界線の恒常、常に同じであることとして扱われるもの。
例えばB君が50歳まで生きることができていたのを
介入転生者が18歳の時点で殺して死なせてしまった場合、
どのような理由があれ他の世界線で
B君は18歳までしか生きられなくなる。
「【終焉】ってスキル覚えてる?
私が君に世界を延命させるために行使することにするといったあれ。
あれはこの介入転生によって起こったことを
無かったことにするスキルでもあるの。」
先の例を用いて言うと……
B君は元々50歳生きることが出来たが
介入転生者によって18歳という若さで殺され
以降B君は18歳までしか生きることが出来なくなってしまった。
だけれどこの事実を無かったことにすることが出来る。
【終焉】のスキルの力は"無限を有限にし強制的に0にする"というもの。
この例で言えばB君が18歳で死ぬということが
初めて起きた世界線を、【終焉】で消滅させることによって
B君が18歳で死ぬという事実は消滅することとなる。
「じゃあ俺がこの世界に初めて来たとき確認をしたのは……」
「ええ、あの世界で起こったことを消してリセットするということ。
あなたにはある意味強引に話を進めてしまったけれどね。
ちなみについでに答えるけどどうしてあなたを選んだのかという質問、
それの答えはあなたが【終焉】によって
消滅させた世界で最もアナスタシオスに
近づき二度も正体を破ったことに繋がっているわ。
初めは偶然なんては信じなかったけど必然でもないから
これこそ奇跡……とでも言うのかしらね。」
ツキネは紅く透明感のあるTカップの中の紅茶に映る
自分を見ながらそう寂しげに呟いた。
「じゃあ聞くけど俺はその介入転生ではないのか?
元の世界を消したとはいえ複数の世界線なんだろ?
俺のいる世界は」
慶の声にジト目のような状態で一度
慶を一瞥するツキネはそっと目を閉じもう一度開くと
口もほぼ同時に動かして顔を上げる。
「そう、あなたの世界は既に複数に分離している。
でもあなたは一度この世界を経由している、
また別の言い方をすれば
あなたの○の世界はこの狭間の世界として登録され、
あなたが行き交う世界は△の世界なの。
介入転生の利点は介入転生者ではない
別の転生者であれば何度でも転生できるという点ね。
でもそれは力の行使でもあるから
もう十数回くらい……いや一桁台が限度ね。
ちなみに余談だけど介入転生者は
介入した世界から離れることはできないわ。
それを現に証明した人物がいるからね。」
現に証明した人物?
誰のことかと思っているとすぐにツキネがその名前を口にする。
しかしその名前に覚えがあった。
というより自分が今でも思い出すたびに
胸が痛くなる人物の母親だったからだ。
「―――紗々。
彼女は元々私たちと同じ世界にいた子で
アナスタシオス同様に介入転生させた子よ。
先に言っておくことがあるんだけど
一応介入転生したあとまた違う人物が
介入転生を行っても世界がまた二分することはないから安心して。」
「二分…つまり一つの世界線が二つの世界線になったとして、
そこからまた二分すること……
四つの世界線にはなることはないってことか。」
そう。とツキネは呟き紅茶を啜りながらここまでの状況を軽くまとめる。
紗々の件についてはこれから話すとして重要なことはまず
・ツキネとの戦いでアナスタシオスは慶らのいる常界へと降り立った。
だがそれは介入転生と呼ばれるもの。
・介入転生した世界は複数の世界に分かれるが
一度介入転生が起こった世界では
また複数に世界が分離することはない。
・介入転生者が世界に影響を与えた時、
その影響は他の世界線での恒常となる。
(つまりどの世界線も繋がっておりそれが同じ事実にすり替わる)
・介入転生を行ったものは二度と他の世界に介入することはできない。
「補足として他の世界へ介入ができないっていうのは、
介入した世界の時間帯から抜け出すことは出来ないって意味でもある。
何月何年何日どこに何をしてどうしていたのか……先も言ったように
介入した時間帯以降から介入転生者は自由に物事を変化できる。
でも裏を返せば……その前に介入転生者を世界線から外すことができた場合、
その後の変化した物事はなくなる。だってやった本人がいなくなるもの。
……私の目的がなんとなく掴めたかしら?」
慶は頷く。
だが目的を理解したところでさっき言いかけたことを
聞かずにはいられなかった。
―――峰崎紗々の件だ。
「さっき峰崎紗々は介入転生者だって言ったよな?
話でなんとなく掴めているんだが
もしかしてアナスタシオスの撃破を
一番初めに託したのって……紗々さんなのか?」
「その通り。
紗々は元々狭間の世界が崩れる前の世界の住人で、
私の数少ない友人だったの。そしてこの事件に直面したとき
一番に撃破の件を受諾した本人でもある。
私もそのときは疲弊してたから……でも介入転生が起こった時、
紗々は介入転生者特有のものを引き起こしてしまった。
それこそ、記憶喪失。」
記憶喪失……いつの日かエクリクシィさんから聞いた"鳥栫售の話"
その話には覚えがあった。
「誰でも介入転生が行えるのならみんな好き勝手やるでしょう?
でもそんな完璧じゃないのよこれは。
そう……介入転生を行った場合期間がどうあれ、
必ずその者は記憶を一定期間忘れてしまうの。
まぁ無理やり思い出させるスキルを持っている人もいるし、
仲間にそういうのが居れば有りかもしれないけど……
そのときは何分私も知らなくて。
そして介入転生した紗々はそのまま記憶を無くして
私の監視も届かない場所へと行方をくらました。
……長い年月が経ってようやく連絡が取れたかと思えば
紗々は子供を産んでいたわ。峰崎という苗字まで背負ってね。」
紗々さんは元々サシャという名前で漢字はなかったという。
これ以降はツキネも紗々本人から聞いた話なのだが
記憶を喪失した紗々は峰崎家という吸血鬼一族に拾われたという。
紗々本人も吸血鬼ということでそのまま峰崎家で居候することとなり、
その時の峰崎家の当主と付き合いを始める。
紗々自身の境遇は一族でも一時責め立てられたが、
強く賢く峰崎家にかなり貢献したお陰で一族は
百鬼夜行へ正式加入することになったという。
この件を以来に二人はめでたく結婚し、峰崎美世という子供を授かった。
そして記憶を思い出したのは美世を出産した直後だったという。
「漢字は当主である夫から貰った当て字で、
娘の名付けと同じくして授かったと聞いているわ。
話を戻すけどその後紗々は自身の目的を思い出して、
アナスタシオスを私が授けた青龍刀で討ち倒すことに専念してもらったわ。
正直紗々との連絡が途絶えてやっと連絡ができたとき、すごく嬉しかった。
母親になっていたっていうのはそれ以上に驚いたけど。
それならそのまま幸せになってもらいたいって友人として刹那に考えたわ。
でも彼女はそうは考えず自身が今まで忘れてきたことを悔やんで自分を責めて……
その考えも彼女には結局響かなかった……。
そして悲劇が起こったの。」
青龍刀は私が知り合いの友人である
鍛冶師に頼んで作ってもらった妖刀なのだけれど
効果は何度も言っている通り斬った相手の存在を消すというもの。
当時紗々は自身のまた百鬼夜行の脅威だとして
峰崎家に訴えて峰崎家を動かし、
その後アナスタシオスと交戦することとなった。
「戦いは長引きでも意外な形でその戦いは終わることになったわ。
それはアナスタシオスが紗々の夫に寄生してしまったことよ。
憑く、という言い方でも良いかもしれない。
そして紗々はアナスタシオスを自身の夫から
取り除こうとして刀を構え斬った。
本当は嫌で嫌でしょうがなかったけれど、
その当主さんに背中を押されてそれで斬ったそうよ。
でも結果当主だけが存在を失ってアナスタシオスは生き長らえてしまった。
その後は埋め合わせで起こる事実改変で
紗々は峰崎家の当主ということになったそうよ。
こんなことを言うのもなんだけどね、
何もかもが間違ってると思うのと同時にどちらも正しかったとも思ってるの。
だって否応にも彼女は追い続けることを選んだと思うから。
……私がこの話をしたのは私の決意の表れをあなたに示したかったからよ、山城慶。
私ができることはもう少ないけれど、
それでも私は何としても彼女に起こった悲劇を
繰り返してはいけないと思ってる。だからあなたも協力してほしい。
これから先の障害を乗り越えていくためにも、そして目的を果たす上でも。
……私からは以上よ。」
そう言ってツキネは俯く。
しんと静まり返った部屋に残るは沈黙、だが嫌な感じはしない。
慶は俯いたツキネに声をかける。
「俺はもう悲劇を目の当たりにしたよ。
あれはもう二度とごめんだ。
もしかするとこれからもああいったことが起こるかもしれない。
でもそれ以上に手遅れになることは絶対したくない。
……手伝おう。
ちゃんとした理由も目的も分かった。
なら俺ができるのは手を差し伸べることだけだ。
まぁこれはアンタへの恩返しも含まれているがな。
【終焉】だっけ?あれをやってくれなきゃ、
今頃俺の知り合いはほとんど全滅だしな。
あの世界で起こったことも重要だがそれ以上に悲劇もあった。
笑い話じゃないけど実際助かったしな、ありがとう。」
と椅子から立ち上がって握手を求める。
見上げたツキネの目はその手を見つめて
若干涙交じりで立ち上がって握り返す。
「これでちゃんとした共同戦線だ。
もう隠し事はしないでくれよ?
さすがに問い詰めるのもめんどい。」
「君こそ隠し事はプライバシーだけにしてくれな。」
そう言って握手を固くさせるとじゃあと
今後の予定と目標について話し始めるのであった。
次はもっと早い段階で書きたいですね(´・ω・`)




