第2章30話 「世界の根幹(Part.1)」
かなりお待たせしました!!
今回もPartごとに書いていく内容になりますが今回の部分はサブタイトル通り
この物語の根幹に大きく関わる内容となります。
言ってしまうとこの最新話から見てもどういったことになっているのか
少なからず分かってしまうくらいです。ですがキャラなどの説明は最初から見ないと
分からなくなっているのでもしも最新話から見て気に入った方は是非初めからご覧ください(^^♪
では、前回のあらすじも含めてどうぞご覧ください!
《これまでのあらすじ》
山城慶はツキネ達と協力し世界からアナスタシオスという
存在を消し去ることによって元の調和の取れた世界を目指し、
百鬼夜行に所属する世界線から陰陽道に所属する世界線へと転生する。
転生した矢先慶は反百鬼夜行派である香山由理と政略結婚することとなり
それなりの生活を手に入れた。
そんな中アナスタシオスに関する情報を開示されないままの慶は
狭間の世界の書庫の管理人である雲雀へ情報の開示を求める。
その後疑念が晴れた慶は雲雀らに"情報と真実"を教わるために
狭間の世界へ行くこととなる。
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明日は三者会合が開かれる。
元は由理の友達付き合いの交流会みたいなものだったのだが
事情が変わったがために使用人らは特に大忙しだ。
肝心の由理はまだ本調子ではないが昨日の件からは復活したようだった。
三者会合……各妖怪系組織の総大将らが集い会合する集会であり
本来は対象となる三者以外はその会合には入ることができない……が。
今回はある意味異例のようなものだった。
一時的に百鬼夜行の現総大将となった坂崎銀次郎の存在である。
銀次郎が総大将となってしまったことでただの交流会が
三者会合に変わってしまったのだ。
陰陽道の現総大将は山城慶でその妻は反百鬼夜行の香山由理
……本当はお祝いの挨拶も含んでいるというのに話される内容が
自分たちの今後ではなく各組織らのことだと思うと気が重い。
まぁまぁそれ自体はともかくとして。
俺、山城慶はこれから狭間の世界へ行く。
昨日、話してもらうと約束した情報と真実を当の本人に
聞きにいかなくちゃならなかったからだ。
ここで疑問を挙げよう。
どうしてアナスタシオスは"命"を集めるのか
そもそも狭間の世界とは何なのか?
ツキネたちの目的は本当に世界を正すこと?
もし仮に世界を正すことだとしたら、どうしてそんなことを?
大まかに聞きたいことはこれだけだが
それでも聞かなければ分からない内容だ。
―――どうして自分が選ばれたのかということも。
狭間の世界の行き方は行けるものが例えばトイレの扉に繋げて
"狭間の世界に行く"ということを考えて開けるとその通りに行けるようになる、
つまり狭間の世界自体の行き方は何もトイレだけじゃなくても良いのだとか。
例えばこの別荘の中庭奥にある、狭間の世界とは違う古びた書庫だったり、
自分の部屋だったり……と扉と考えるキーワードと入る資格があれば
狭間の世界には自由に行き来ができる。
で……その自由に行き来ができるという点でも疑問が浮かんだ。
―――じゃあそんな自由に行き来できる狭間の世界、
もしも違う世界線の俺に俺自身が会うことは可能なのか?
ということ。
狭間の世界の提議で聞いたのは詳しいことは省いて取り敢えず
どこにも存在する世界と世界を繋ぐ隙間の世界……ということなのだが
じゃあなんで天界のエクリクシィらは狭間の世界から来たのではなく
直接天界から来たのか?
この世界は大きく三つに分類されているとツキネは言った。
俺らが住む常界と天使らの集う天界と魔物が蔓延る魔界の三つ。
じゃあ今世界線が分かれてるらしい常界に
どうして天界は自由に行き来できる?
帰る際はそのまま天空へと羽ばたいて帰ったと聞くが
それだとまるで
「―――常界の世界が複数あるみたいじゃないか、と考えたわけですが
どうだと思います?雲雀さん。俺の推理は当たってました?」
「40点……かな、まぁ喜べ山城くん。
100点満点だから4割正解してる。
事実として今君らがいる世界は分断されているからね」
昨日の約束を果たすために慶は書庫へ向かい
疑問に思ってきたことの一つを雲雀へ口にする。
今の慶は戦闘服ではないにしろ黒い甚平姿、
それに相対する雲雀は前と変わらない着物を崩した
慶と同じく動きやすい服装だった。
あの着物をどう表現して良いか慶には分からないが
清楚が残りながらも誘惑されれば一溜りものない可憐さが残っている
と言った感じだろう。慶はその姿に圧倒されながらも
既に"分断されている"という言葉が返ってきたことに驚いた。
「分断されている……?もう既にってことですか?」
「それに答えるのは私ではないさ。」
そう言った雲雀に慶は首を傾げながらも椅子に座り待つ。
雲雀は本を手で触り読み進めていくように見えた。
それに慶は不思議と目を合わせる。
「……?何か私の顔についているかな?」
雲雀は慶の方を向く。
目が見えないはずの雲雀は目が見えない分他の五感が良いらしい。
こうして現に慶が直視した方に目を向けているのだから頷ける話だ。
「え?ああ、どうして雲雀さんは文字をなぞっているのかなって。」
その質問に雲雀は驚いたようにその白い目こちらに向ける。
そして何か考えるかのように俯きぶつぶつと呟き始めた。
「あっ……あの雲雀さん?」
「確かに君には……ああ、そうだな。
しかしよくよく考えれば……そうか、私が……」
考えをすべて口に出す雲雀に慶はじっと見つめて
机に頬杖をつき溜め息をつくと
そのついたタイミングで雲雀は顔を上げた。
「そうだな、ツキネが来る前にある意味でのおさらいをしておこう。
これは今後のこと、過去のことそして君の運命についても
左右してしまう事柄だからよく聞いてくれ。」
と雲雀は慶に本題に入るまでのおさらいを説明し始めた。
雲雀はツキネ、討伐目標のアナスタシオスらの慶とは違う出身の者、
言うなれば狭間の世界の出身と呼ばれている者らには特殊な能力が
備わっている。
「私、雲雀は生まれつき目が不自由で物を見ることはできない。
だがこうして本を読めているのは【接触】というスキルが
存在し備わってるからだ。
ここでは能力のことはスキル…と仮称だがそう呼ばせてもらうよ。
私の【接触】は触れた物や者、事柄を瞬時にすべて頭に入れることが
できるというものだ。
だからこそ目が見えなくとも触れた本の題名も
文字を触れば疑似的に読むことができるのさ。
頭に情報として入るわけだからね」
「疑似的に読む……」
だから初めて会った時も今日来たときも
本をなぞって"読んでいた"というのか。
「しかし私はそれしか持っていない。
何かに【接触】して物事を推し量ることしかね。
だからある意味ではツキネには負けているスキルであり才能だよ。」
才能と言われて慶は思わず俯いて考える。
もしかして…と考えたことがあったからだ。
その対象は雲雀ではなく前に【終焉】と呼ばれる力を使った
ツキネのことだった。
だがお見通しなのかどうかは別として雲雀は続ける。
「スキル、と仮称はしたが本来これは生まれつきか
もしくは誰かに託された"意思"であり"才能"なのだよ。
さて、軽く話したところで軽くまとめよう。
この話は今後にも出てくるからね。
―――通称、狭間の世界と言われる世界にいた者らは
スキルと呼ばれる力を持っている。
それは一つの"意思"であり"才能"である。
力の効果範囲や及ぼす対象は持つ者、持つスキルによって違い
またスキルは生まれつき持つか、誰かに託されることで
力を発揮することができる。
とまぁこんなとこだろう。
さ、ツキネがもうすぐで来るだろうから話を本題に戻そうか。
まぁほとんどツキネが話してくれると思うがね」
雲雀は本を閉じる。
それに合わせて扉は開かれメイドのクロと一緒に
朱色の着物を着たツキネは姿を現した。
慶は黒色の甚平姿で自分よりも背の小さい狐を見やり
一瞬目を瞑ってから覚悟ある眼で見る。
「さぁ、教えてもらおうか。
隠していた事実とやらを。」
「ああ、良いだろう。まぁまずは座らせてくれ。」
ツキネはそう言って席に着く。
クロは目を瞑りながら冷静を装った顔で同じくツキネの横に座る。
クロの格好は最後に見た時のラフな格好ではなく初め会った時と
同じようなメイド姿だ。机は長方形の角を丸くしたようなもので
慶は本棚を背に長辺側に座りその前にツキネが座る。
ツキネの背、出口側にはクロが今は座ってはいるがすぐ傍に椅子はあった。
そしてツキネから見て左、慶から見て右の短辺の机の場所に椅子を置き雲雀は座る。
「さて何を話したら良いか…手っ取り早く
まずは自分らが置かれている状況を説明するとしようか。
それともこの世界のことから言った方が良いかな?」
「じゃあ後者で。
この世界についてはよく分からないことがありすぎる。
特にツキネ、あんたのスキルも含めてだ。」
そのスキルという言葉とその言い方、重みに何か気付いたのか
ツキネは雲雀をチラリと横に見やる。
雲雀は我関与せずといった風貌で虚空を見つめていた。
「ふぅ……どこまで知ったかは謎だけど
スキルの説明、つまりはその説明中にあった
"狭間の世界の出身者"とやらがよく分からない、というより
詳しく説明されてないってことでしょう?」
それ以外にもあるがそんな感じだとツキネに伝える慶。
狭間の世界については前から触れてはいるがほとんど事実を端折った
言い方が多く事実として本当の意味は聞いたことがない。
だからこそ真の意味を知りたかったのだ。
そう決意した目をツキネに向けた慶にツキネも決意を向けた目を向ける。
「分かったわ。
じゃあ話しましょう。事の顛末とそして私たちの過去を。」
そう言ってツキネは話を始める。
まず話を始める前に訂正することから始めるとしよう。
狭間の世界についてだ。
あれについて今まではどこの世界からも介入できるものとしていた。
どこの世界からも介入できどこの時間軸にも存在している世界だと。
だがその力は何も"狭間の世界"の特徴なだけであり狭間の世界自体は
普遍する世界と同じであるということだ。
「狭間の世界は今は亡きアリス・シャルロッテ・ホープが
作った世界のことを言うの。
普遍する世界・時間軸に介入するという力自体は狭間の世界にはない。
このこと自体は分かっているでしょう?
じゃあ何故狭間の世界という世界が必要なのか。
それは世界・時間軸に介入する力……【時空支配】というスキルを
行使するための場所が必要だったの。
【時空支配】はかなり大規模なスキルだから。」
スキル【時空支配】は天界や魔界、常界といった
世界ごとを丸ごと飲み込み支配下に置くというかなり強力な力を持っている。
その気になれば天界や魔界、つまりは普遍する世界を一瞬で消し去ることも可能、
だがアリスはそれをせず代わりに【時空支配】の対象となる場所を世界から
"普遍する空気"として見て変えた。
「空気はどこにも存在するし何にも染まり染められる。
アリスは世界を支配下に置くのではなく
すべての世界の存在する"空気"を支配下に置いた。
そしてその世界を別称として"狭間の世界"と呼んだ。
だからこそ"狭間の世界"はどこにも存在するし
どこからも介入できるという訳だ。」
それを聞いて慶は一つの疑問を思いつく。
だがツキネは分かっていたかのようにそれを呟いた。
「じゃあ"狭間の世界の出身"というのはどういうこと?だね。
あれはとある名もなき世界のことをカモフラージュする言い方だ。
本来は名前がない世界のことだが呼びやすいように
ここでは仮名としてAとしよう。
Aの世界はすべての種族が暮らす世界で天界と魔界の間に挟まれた、
平和で豊かで戦争の歴史の一片もない綺麗な世界だった。
だがあるときその世界は崩壊を迎えAの世界は消えてしまうこととなる。
それこそ私が生きてきた中での一番の失態であり後悔なのだがね」
クロが静に給仕をしてお茶を3名分出しながらツキネは
唇を噛みしめながら右親指の爪を噛む。
「Aの世界は……」
慶の声かけにツキネはふふっと苦笑して呟く。
「Aの世界は私は滅ぼしたんだよ。」
スキルについて今まで""や『』と括っていたかもしれませんが
【】に統一します。なので近日中に再度加筆修正を予定しています。
とは言え次の加筆修正は来年になるでしょう、恐らくは('ω')
では次回の投稿はしばらくお待ちください。




