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僕と妖怪少女と常日頃 Re:salvation  作者: 工藤将太
第2章【陰陽道所属の世界】
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第2章19話 「別の駆け引き」


そのころ一方、百鬼夜行執務室にて。

その青年は多忙を極めていた。

総大将に告げられたことが一番の要因なのだが

それ以外に理由があるとしたら

…友人の結婚したというニュースだろう。

それもよりによって元敵方の男ときたもんだ。

だからこそ僕はその友人である香山由理に

結婚祝いと挨拶をと手紙を出していた。


「お兄ちゃーん…

 まだこんなに書類溜まってるけど…?」


「悪い、今それどころじゃねぇわ」


そう妹に受け答えをし頼まれた資料と

そのデータの整理を見て行う。

―坂崎銀次郎は次期総大将となろうとしていた。

大まかな理由は前述通り、総大将から会合で

直接言われたことが始まりだった。

反百鬼夜行の総大将は酒呑童子から香山由理へ、

陰陽道の総大将は山城源代から山城慶へ。

若い世代に繋がりを見せていることを理解した百鬼夜行総大将ぬらりひょんは

若い者に任せようと、自分は隠居でもしようと突然言い出したのだ。

そしてそれから自分の名前が挙がるのは意外にも早く、

選抜理由はすべての幹部と繋がりと親交があり

人を統括する力があるとのことだった。

選ばれた以上その務めをこなそうと思った。

だがこれが異常なほど大変なことに気付いた。

これをこなしていたのか…総大将は。と思ったのが間違いだった。


「まさか…あなたがため込んでいたとは

 思いませんでしたよ?紗々さん。」


「いやぁ総大将代理と総大将補佐役の仕事を

 何故か総大将自らがやってくれるとは

 私も目から鱗だったんだよ?まぁ止めはしない。

 やってくれるならそれで良いしね」


嵌められた。

峰崎紗々に君には仕事が残っているだろうと

今までやってこなかった分を任せられたのだ。

自分がやってこなかった分を次期総大将となった僕に。

怒りは感じないが後悔だけが募っている。

複雑な気持ちを前に紗々さんは

この執務室に自分と妹の孕子との3人でいる。

紗々さんの娘であり良き友人の美世は

今確かさとりと詩織と一緒にいるはず。

何やら話し込んでいるのを見かけたが話しているならば

無理に声をかけようとは思わなかった。


「そうですか。

 で、この資料のデータはまとめましたがどうします?

 印刷して渡しましょうか?」


「いや、USBにでも入れてくれればいい。

 正直紙で保管することは好きではない。

 "雲雀"のところにあるにはあるしね…」


「?…何か言いました?」


いや何でもないよ。と笑顔になって

答える紗々さんの顔には嘘が見られなかった。

疑いはせず妹の方へ目を向けると何かの本を読んでいた。

ずっと静かだと思ったら…と目を瞑りデータを保存し終えるとそのまま

紗々さんが未だ片付けない資料やらその他諸々の紙を眺め、

はぁ…と溜め息をつくとそういえば…と紗々さんは切り出した。


「モニターにある資料は全部目を通したかな?」


「…ええ。そうですが何か?」


「見て何も思わなかったのかい?

 あれは三か月前の三者同盟の裏切り者を

 炙り出すことのできる切り札だよ?」


と紗々さんは紅茶を傍にクッキーを頬張る。

心底楽しそうな笑みを浮かべる紗々に

銀次郎は目だけをキリッと向ける。

だが丁度孕子が本を読み終え紗々さんと

一緒に頬張っているのを見て一瞬覚悟した気持ちが緩む。

溜め息をするとそれだけ幸せが逃げるとか

どこかで聞いたことのある風潮を思い出し

ぐっと口をつぐみ堪えるとその紗々さんの質問に

銀次郎は背を向けたまま答えた。


「ではどうして陰陽師と繋がりがある

 あなたがそれを陰陽道に伝えない?

 彼らはそれを追っている、だから何でもいいから

 情報が欲しいと会合の時も

 総大将は言っていましたが?」


「後者を答えよう。

 私は基本、他者の話を聞かない。」


知ってるよ、と思いながら


「……前者は?」


と質問する。


「後者に引き続いて私は基本、表上には出ない。

 理由は出ても出番はすべて誰かが持っていくからだ。

 お前には一度見せたことがあるだろうから見せないが足のこともある。

 両足がきちんとするまでは車椅子での生活だったし何より―」


そこで銀次郎は面倒くさくなり、はいはいとその話を締めくくる。

もう何を言っても無駄だとさすがに勘づいたのであった。

悩む銀次郎にただ本を読みクッキーをむしゃむしゃと頬張る妹、

そしてそんな彼女に便乗してクッキーを食べながら紅茶をすする紗々。

話し合いは難航の色を辿る。


「あー…ならもう良いです。

 切り札を取っておくというのは持ち手の自由ですからね。

 ん?…持ち手の自由??」


「どうしたんだい?坂崎くん?

 そんな当たり前のこと―」


「これって今編集してるの僕ですよね?

 ならこれを完全削除しようが

 USBを燃やそうが僕の自由なんですよね?

 紗々さん…」


そこでようやくハッと我に返りモニターから離れようともせず

ただじっと紗々だけを見つめる銀次郎はその後にこやかに

また紗々はやっちまったという後悔を顔に張っ付け


「このデータ…今は僕が編集してるんです。

 あなたのまとめたものであっても

 これは今僕の手持ちにあるんです。

 意味分りますよね?」


「……分からないかな…?」


「理由と引き換えに交換と言うのはどうでしょうか?

 この…USBとあなたの計画の詳細を…ね。」


話し合いの船は…舵を取り戻した。


今回はここまでです。なんとか1日中に書けてよかったです。

ギリギリなのは…許してください!何でもしますから!(何でもとは言っていない)

ということで次回お楽しみに!

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